2011.11.19 (Sat)
ベン・E・キングの面白いアルバムを見つけた

ベン・E・キングという黒人のソウル・シンガーがいる。いや、昨今ではほとんど表舞台に出てこないので知る人ぞ知るというところだ。でも洋楽を少しでも聴きかじったことのある人なら『スタンド・バイ・ミー』という曲を一度は聴いたことがあるだろう。1961年の大ヒット曲でベン・E・キングが歌っていた。ところが、この曲はその後に独り歩きし、後年に世界中の多くの人によってカバーされ続け、現在では400バージョンあるらしい。これは広いポップス界において史上2番目の多さだという(1位はビートルズの『イエスタデイ』で1000バージョン以上)。日本でも園まりが歌っていたことがある。つまり、そのスタンダード・ナンバーの『スタンド・バイ・ミー』のオリジナル版を歌っていたシンガーがベン・E・キングなのである。世界中のミュージシャンが歌い続け、現在でもどこかで誰かが『スタンド・バイ・ミー』をレコーディングしているという現実。あのジョン・レノンがビートルズ解散後に歌っていたので尚、この曲を有名にしたのだが、その後に同名の映画が上映され、その主題曲としても取り上げられさらに有名になった感がある。
これでベン・E・キングはどのような人か判っただろうが、もっと詳しく言うならば、ベン・E・キングはザ・ドリフターズのリード・シンガーであった。ここでいうドリフターズは勿論、いかりや長介、加藤茶、高木ブー、仲本工事、志村けん、荒井注のドリフターズではなく、1950年代から1960年代にアメリカで活躍した黒人のコーラス・グループのことである。実はドリフターズは現在でも活動をしているのだが、全盛期はベン・E・キングがいた1958年から1960年ということになる。そして、ちょうどそのころに『ラストダンスは私に(Save The Last Dance For Me)』(全米ヒット・チャート1位)を出している。
ドリフターズを脱退してソロになり大ヒット曲『スタンド・バイ・ミー』をベン・E・キングを出したのであるが、70歳を過ぎた今でも彼は現役である。そして今回、面白いアルバムを出したようである。CD店で物色していて偶然見つけたのが、このアルバムである。
収録曲は『上を向いて歩こう』『どこまでも行こう』『スタンド・バイ・ミー(日本語バージョン)』『ラストダンスは私に』『オン・ブロードウェイ』『渚のボードウォーク』『アワ・ハウス・アンド・ファミリー』『アイ・ミス・ユー』『グッドナイト・ベイビー(英語バージョン)』、そしてオリジナルの『スタンド・バイ・ミー』である。
実は親日家であるベン・E・キングが3月11日に起こった東日本大震災の悲報に胸を傷め、日本への思いを込めて特別に録音したアルバムなのである。
『上を向いて歩こう』は当然、誰もが知っている坂本九の大ヒット曲。1963年に全米ヒットチャートで1位となった日本の曲。何故、この曲が全米でヒットチャート1位になったかは色々と訳がある。でもここでは詳しくは書かない。でも何れ記事にすると思うが、そもそもはケニー・ボールというイギリスのジャズメンが坂本九のオリジナルをカバーして『SUKIYAKI』という曲でリリースしたことが発端であるとだけ書いておこう。当アルバムでは日本語で歌われている。
2曲目は『どこまでも行こう』で、これも日本の曲。かつて山崎唯がCМで歌っていた。3曲目は『スタンド・バイ・ミー』の日本語バージョン。自身のヒット曲を日本語で歌っている。4曲目は『ラスとダンスは私に』で、かつてドリフターズ時代に大ヒットした曲を収録している。5、6、7、8、10曲目は自身が脱退した後のドリフターズのヒット曲と今回のアルバム用の曲である。9曲目は『グッドナイト・ベイビー』とまたまた日本の曲。1968年にザ・キングトーンズで大ヒットしたが、これを英語でベン・E・キングが歌っている。そしておまけとして1961年に収録されたベン・E・キングのオリジナル版『スタンド・バイ・ミー』が収められ彩りを与えている。しかし、まあ風変わりなアルバムではあるが、企画としては面白いかも。興味ある人は一度、聴かれてみては・・・・・・。
ザ・ドリフターズ『ラストダンス私に』(動画はなし)
『スタンド・バイ・ミー』を歌うベン・E・キング
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