2013.02.11 (Mon)
フィンランドのくらしとデザイン展に行く
青森、宇都宮、静岡、長崎と巡回中だった『フィンランドのくらしとデザイン ムーミンが住む森の生活展』が最終の巡回展になる神戸で今、開催中なので行ってきた。会場は岩屋にある兵庫県立美術館。もともと王子公園の側にあったが10年前に浜側に引っ越してきた美術館である。それで旧兵庫県立美術館は現在別館及び横尾忠則美術館となっている。
ところでこの新しい美術館であるが如何にも安藤忠雄設計らしいコンクリートむき出しの建物である。この新美術館に来るのは3度目ぐらいかな。旧館も何度か行ったことがあるがあちらは阪急の西灘駅(現王子公園駅)から近かったが、新館は阪神電車の岩屋駅が最寄り駅。矢鱈と駅の多い阪神電車なので梅田からだと時間がかかる。御影で特急から普通に乗り換えるが駅の間隔が短すぎる。昔の市電並みだ。やっと着いた。駅から如何にもニュータウンらしき街並みを浜に向かって歩くこと10分で到着。大きな美術館だ。
フィンランドのくらしとデザイン展だけに美術だけでなくフィンランドの国そのものを紹介するような展覧会である。美術、工芸品、家具、繊維、インテリア、日本でファンの多い北欧デザイン。なかでもフィンランドデザインは独自の人気を地位を得ている。そんなフィンランドの魅力を紹介するような展示となっている。まずは歴史から始まってフィンランドの風土、気候を紹介。フィンランドのデザインの源流を19世紀までさかのぼりアルヴァ・アアルト、カイ・フランク、マリメッコ等の製品デザインを通して20世紀に黄金時代を迎えたフィンランドのモダンデザインを紹介。さらに今世紀に入ってからの動きも伝え出展数は350点に及ぶ。
そして目玉の展示の一つであるが、フィンランド人のトーヴェ・ヤンソン女史が描いたムーミンの世界。ムーミンというと今から40年ほど前に盛んにテレビでアニメが放映されたので有名になったのだが、それ以降も何度かアニメ化され映画も上映され誰でも知っているキャラクターだが本来はトーヴェ・ヤンソンが描いた小説の中の架空の生物。
トーヴェ・ヤンソンは画家でもありムーミンの原型はムーミンシリーズの小説を書く以前からたびたび描かれていて、ムーミンが小説に初めて登場するのが1945年。『小さなトロールと大きな洪水』にムーミントロールとして登場。作品は童話のようなファンタジー小説のような架空の世界の話。ただし内容は難しいが。こうしてムーミンシリーズが始まるのである。その後にはコミックにも登場して語学が堪能な弟のラルスが翻訳してイギリスで紹介。人気は世界へ広まっていくのである。そしてその後にアニメーション化されることとなる。日本では岸田今日子の声が特徴的で人気シリーズとなった。ところでムーミントロールって何だということなのだが一見カバのようでもある。トーヴェ・ヤンソンによると妖精の生き物ということである。作画が展示されていて幾つか拝見したが、体表には毛が生えていて直立歩行する。ムーミント言うのは種族名であり、ムーミンと言う主人公を指す場合はムーミントロールなのだそうだ。この生物はトーヴェ・ヤンソンが少女の時代、すぐ下の弟ペル・ヤンソンとの口喧嘩に負け、悔しくてトイレの壁にとても醜い生き物として描いた絵が原型らしい。それで伯父の家へ下宿して学校へ通っていた時代に、夜に勉強中、冷蔵庫からおやつを失敬して叔父に見つかり「つまみ食いをやると裏にいるムーミントロールというお化けが頸筋に冷たい息を吹きかけにくるぞ」と脅され、そこからムーミントロールという名になったという。
こうして我々は日本でアニメが放映されてからムーミンを知ることとなった。だが、同時にフェンランドと言う北欧の小国をよく知るきっかけとなったことはいうまでもない。国土の70%が森林で蔽われたスオミの国(正式名称はスオミ共和国)。北緯60度~70度にわたり南北に長い国で3分の1が何と北極圏に位置する。スオミとは湖、池を意味するスオから来ているとされ森林以外では国土の10%が湖、沼、池、川である。面積は日本よりやや小さいが人口は500万強と少ない。これより人口の多い県は日本では幾つもあり自然条件が厳しいことをある意味では伝えている。歴史上においてもスウェーデンに650年間、帝政ロシアに100年間支配され続け、その後も国境線を破られ国が消滅したこともある。でも民族愛を失うことなく独立を勝ち取った小国フィンランド。でもこんな小国であるが、教育水準が非常に高く、キシリトール、ノキア、サウナ、ログハウスの国、サンタクロース発祥の地、そしてムーミン・・・・・なにかと国の規模を考えれば凄いと言わざるを得ない。それにフィンランドは関西の人にとっては遠い外国とは思えない。ここの人のファミリーネームというとコッコネン、タッカネン、ムストネン、サルミネン、ニッカネン、アホネン、ヒュンニネン、サロネン、コーレマイネン、リストネン、ハッキネン、バタネン、ライコネン、ヒルボネン・・・・同様に関西では話し言葉で語尾にねんを付けるしね。あほやねん。好きやねん。あかんねん。しんどいねん。おいしいねん。遅いねん。違うねん。下らないオチで終わり・・・・・・・・。
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