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2015.04.12 (Sun)

発車メロディ

 先日、久しぶりに大阪環状線に乗った。といっても大阪以外の人はあまり判らないだろうから説明しておくと、東京で言う山手線である。大阪市街を一周しているJRの電車である。でも小生はあまり乗らない。それは乗る必要があまりないからなのだが、つまり大阪の難波、道頓堀、心斎橋といったあたりの繁華街に通ってなくて乗る必要もないからで、乗る必要に迫られると言えば関空に行く場合か舞洲、または天王寺や鶴橋から近鉄に乗りかえる時ぐらいである。したがってあまり乗らない。普段は圧倒的に地下鉄を使う。それともう一つの理由は電車が古くて汚いということ。101系を含みi103系なんていう外観が昭和30年代の電車を今でも走らせているのだ。勿論、内装を変えて台車やモーターは新しくしているだろうが、外装はそのままだ。何で大阪市内の根幹線である環状線にこんな古い車両を使っているのかというと競合する私鉄がなかったからである。だから何時までも古い車両を使っていたのだ。東京のJRの通勤車両がどんどんと新しいのに変わるのに、50年以上も前の車両外観を使用しているなんてとても考えられない。全く乗客を莫迦にした話だ。けして新しい車両が良いとは言えないが、客に対して誠意がないと見られても仕方がない。赤字路線ならいざ知らず環状線は黒字も黒字、JR西日本のドル箱ラインなのである。それなのに駅は汚いし電車は古い。まさに国鉄時代のお荷物を引きずっている。国鉄時代なら親方日の丸的な経営方針でサービスも悪かったし、それこそ東京中心で動いていて新しい車両はまず東京近郊でデビューさせ、そのお古の車両を関西に持ってくるということが多かった。なので関西は私鉄が充実したのだ。綺麗でサービスの良
い私鉄に乗客が流れ国鉄はポンコツといったイメージしかなかった。だから昔から関西は阪急や京阪、近鉄と言った私鉄のサービスが充実した私鉄王国と言われ続け、国鉄は場末の汚い田舎の電車といったイメージでしかなかった。少なくとも昭和の時代はそうだった。それが民営分割化され、JRグループになり、東京本部の御伺いをたてなくても自らの方針で何でも経営できるようになった。だから東海道線や山陽線、福知山線等、続々と新しい車両をデビューさせスピードもアップ。駅も綺麗になって行った。こうして料金さえ除けばJR西日本は私鉄を凌駕するようになってきた。その結果、私鉄から客を奪っていたのだ。
 そんな中で何故か環状線だけがぽっかりと取り残されたように約50年間も古い車両走らせていた。競合する私鉄ラインがないということで何もしないでも客は増える。まさに殿様商売である。でも世間の評判は芳しいものではなかった。それはJR側にも当然聞えていたようだ。そしてついに来年、環状線に新車がデビューすることとなり、JR西日本も重い腰を上げ徹底的に環状線にてこ入れするようになったようだ。まず各駅の改装から始まって色々と考えたのだろう。このほど電車の発車する時にメロディを流すのだが、それが各駅でそれぞれのメロディを流し出した。こういうことは東京のJRではだいぶ前からやっていたことだが、関西では島本駅で到着を知らせるメロディにサントリー・オールドのCМ曲(行政上では島本町内にサントリー山崎蒸留所がある)が使われたのが最初で、それ以降はあまり進展しなかった。それが大阪駅にやしきたかじんの『やっぱすきやねん』が去年から流れ出し、このほど環状線全19駅で発車メロディが使われ出したのである。しかし、あんまり意味があるとは思えない。東京の山手線に乗って恵比寿駅で『第三の男』や高田馬場駅で『鉄腕アトム』のメロディを聴いてもあまり意識しなかった。何でこの曲になったのと理由を聞いて、ああなるほどとは思ったが無理やりにこじつけているなあと言った印象でしかなかった。別に駅ごとのメロディが悪いとは言わないが、無理にそのメロディを持ってこなくても全駅同じメロディでもいいのにと思ったものである。そういうことで大阪環状線もこのほど駅ごとに違う発車メロディを使うようになったのだが、その各駅のメロディのリスト見て笑ってしまったのだ。まさに東京のごり押しメロディと変わりない。
 取り敢えずリストアップすると次のようになる。
大阪駅~福島駅『夢想花』円弘志、野田駅『一週間』ロシア民謡、西九条駅『アメリカン・パトロール』フランク・ミーチャム、弁天町駅『線路は続くよどこまでも』アメリカ民謡、大正駅『てぃんさぐぬ花』沖縄民謡、芦原橋『祭』芦原橋太鼓集団『怒』、今宮駅『大黒様』田村虎蔵、新今宮駅『新世界交響曲第4楽章』ドヴォルザーク、天王寺駅『あの鐘を鳴らすのはあなた』和田アキ子、寺田町『Life Goes On』韻シスト、桃谷駅『酒と泪と男と女』河島英五、鶴橋駅『ヨーデル食べ放題』桂雀三郎、玉造駅『メリーさんのひつじ』マザ-・グース、『森のくまさん』アメリカ民謡、大阪城公園駅『法螺貝』オリジナル、京橋駅『大阪うまいもんの歌』ゆかいな牧場、桜ノ宮駅『さくらんぼ』大塚愛、天満駅『花火』aiko、~大阪駅。
 このリストを見て笑ってしまった。想像もつかなった。ただ新今宮駅の『新世界交響曲』だけは想像がついた。この駅の北東部は通天閣があって一帯を新世界と言うので、この曲を使うのは判っていた。でもドヴォルザークの新世界はアメリカのこと。通天閣あたりは昔ルナパークと言って遊園地があったからいいが、現在は下町も下町。コテコテ、ケバケバな大衆繁華街。しかも隣はあいりん地区と言うドヤ街、およそドヴォルザークの新世界のイメージとはかけ離れている。どの駅の曲も強引に理由づけてごり押ししただけにしか思えないし選曲に苦労しただろうな。無理に曲を持ってこようとすると何かと理由づけて持ってくるしかない。結局こうなったてことだろう。そこに、やしきたかじん、和田アキ子、河島英五、大塚愛、aikoなんていう大阪出身の歌手を当てはめただけ。それなら同じaikoでも『三国駅』という阪急宝塚線にある駅を歌った曲があるが阪急は使う気もないようだ。その曲を小生も一度か二度だけ聴いたことあるが、さっぱり印象に残らなかったかな。
 本音で言うならば環状線の発車メロディなんて意味のないことでJRも関心を呼ぼうと思わないで、もっと他のことでサービスしてほしいと思う。またメロディは5秒ほどと短すぎて、聴いても何の曲かあんまり判らない。せめて10秒ほど流すべき。


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