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2016.07.17 (Sun)

ダリ展に行く



 このほど京都岡崎にある京都市美術館で開催中のダリ展に行ってきた。スペイン現代絵画の巨匠サルバドール・ダリって人気があるんだね。大勢の人でごった返していた。ダリって1989年まで生きていたから、その奇抜な風貌もよく目にしていた。とにかく太い眉にギョロ目、そして針金のように一直線に伸びているあの口髭。絵よりも先に顔が脳裏に焼き付いている。一見して個性が強い人なんだなあと想像する。画風もそうなんだがぶっ飛んだ人なんだろう。実情は知らないが・・・・。
 小学校の頃、姉が持っていた画集の中に一枚のダリの絵を見つけたのが最初の出会いだった。懐中時計なんだろうか、布団のようにふにゃっと折れ曲がっていいる。金属のはずなのだが柔らかい溶けた飴のように台の上から半分垂れ下がっている。なんだこりゃと思った。この絵を見たときは衝撃だった。それはピカソの絵を見た時の印象とも違うもので、非常に興味深く感じたものである。それから月日が経ちダリの画集を姉が買ってきたことを思い出す。そして画集を捲るや奇妙な絵の連続。これは現実を超えてしまっている。それまでにピカソを始めブラックだとかマティスだとかミロだとかフォービズムだとかキュービズムだとかいった抽象画は知っていたが、それらとも違う奇々怪々な絵ばかり。それは当時少年だった小生には衝撃的な物ばかりであった。でも表現方法は写実的なのである。それでいて現実を超越していた。有り得ない現実を写実的に描いている。けしてピカソのような物体をデフォルメして再構築していると言ったような絵ではない。とにかく仰天する絵ばかりだった。それ以来、ダリという人物を知りたいと思いが募ったが、運良くまもなくテレビでダリの人物像なる番組を放映していて観ることが出来た。やはり予想通り奇人だった。こんな絵は凡庸な人では描けないだろうと思っていたから、それを裏切らない人であった。とにかく面白い。「ダリの作品はダリにも判らない」と冗談のようなことを平然という。あの口髭はどうなってるのかと聞かれ「水飴で固めている」と発言するなど、言うことも普通の人ではない。しかしこれは自分自身がアートであり、それを演じているようなところがある。なのでダリの人物像の本質が見えない。しかし本当に親しい人の中では繊細な気遣いを見せる常識人だったとも言われ、実際のところはよくわからない。
 ところで今回のダリ展であるが、日本では10年ぶりに開催される本格的なダリ展だという。初期の作品からキュービズムに影響を受けていた時代から、ルイス・ブニュエルと共同で制作した映画『アンダルシアの犬』の映像展示。そして独自の道を行くシュールリアリストとしてのアート作品の数々。何か画集ではなく実際に大きな作品を生で鑑賞するとダリの絵は圧倒され、その奇抜さに飲み込まれてしまう。現実ではないことを克明に写実する。夢の中のことを現実で起こっているかのように表現する。彼には現実だの虚構など垣根はないのか。今回、油彩画、映像、宝飾品、書籍、スケッチ、水彩画等、多くの作品が網羅してあって、久しぶりにダリの真実に触れた気がする。でも彼の頭の中はさっぱり解明できない。ダリの関心事は精神分析を超えて量子力学、相対性理論まで及んだと言うから、絵の題材は世の中の見える範囲に留まってなかったのであろう。この世に見えない物が、彼には見えたのかもしれないと思えてくるのであった。

ダリのドキュメンタリー映像

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