2016.12.20 (Tue)
ホームドアを考える
先日、大阪のJR新今宮駅でおかしな男が数人の女性を背中から押し、60代の女性はホームから線路上に落ち、電車が慌てて急ブレーキをかけ、あと5mのところで停止したという。まあ頭のおかしい奴もいるものだが、ホームドアがあればこういう危険はなかっただろう。また最近、盲目の人がホームから転落して電車に轢かれ死亡した例もある。今は忘年会シーズンで酔っ払いも多く千鳥足でふらふらしてホームから転落ということも多いという。それで安全のため設置が急がれているのがホームドアと言うことになる。
でも昔は駅のホームから転落しても今ほど大騒ぎしなかった。つまりホームドアなんて考えがなかった時代だから記事としても取り扱いが小さかった。でも最近はホームドア設置が出来る時代になったので急に駅のプラットホームの危険性を耳にすることが多くなった。というのも最近は急速にアジアの国が発展し、最近になって敷設された鉄道というのはほとんどホームドアが設置されているからだ。ことに韓国の地下鉄はほとんどの駅にホームドアがついているから日本の都市鉄道のホームドアの設置度の遅れが目立ってしまうのだ。最近は韓国人は日本のJRや私鉄、地下鉄を見てホームドアがないことを馬鹿にして韓国の方が進んでいると発言する人が多いと言う。でも当たり前だろ。韓国というのは日本より半世紀遅れて1974年に地下鉄が最初に開通した。それも日本の技術援助と円借款のおかげである(韓国ではそのことを知らない人が多いが)。そのときのソウル地下鉄1号線は日本の車両であり、日本人が運営システムから何もかも指導したことさえ忘れているのかもしれない。つまりホームドアというのは近年になってから開発されたもので、最近になってホームドア、ホームドアと煩く言うようになっただけである。考えてみればそれ以前の駅というのはホームドアという概念はなく、ホームに柵はあっても自動で動くホームドアなんてものはなく、危険であるのは承知でもあったがホームドアという考えはなかったから、最近のように駅の危険性をこれだけ、やいやい言うようなことはなかった。それに昔の方が電車は混んでいたし、プラットホーム上に人が溢れていようがなんとか凌いでいたというのが現実である。
それが1981年2月5日に神戸の新交通システムであるポートライナーが開通した。そして1ヶ月後の3月16日に大阪のニュートラムが開通。どちらも無人運転でスクリーンドアが設置されていた。ここから事情が変わる。こういうものが既に実現していたのだが、既存の鉄道では設置が難しかったのである。なにしろ日本の鉄道は複雑でありすぎる。都市交通で言うならJR、地下鉄、私鉄各社があり、それらが入り乱れ、総合乗り入れもある。また電車の車両規格が違い、5枚扉、4枚扉、3枚扉、2枚扉。色々とあり、車両の長さも違うので、いざホームドアを設置するにも簡単にはいかないのである。よく東京の山手線のホームドア設置率が高いのに同じような大阪の環状線のホームドア設置は何故進まないのかという声が上がるが、山手線は全て同じ規格の車両で統一しているからホームドアの設置は容易である。一方、大阪の環状線は実は環状線と言うが、同じ線路内に奈良行きだとか和歌山行きだとか関空行きだとか京都行きだとか違う路線の電車まで乗り入れている。まあ土地買収の問題もあり今更、複線を複々線、3複線化出来ないので同じ線路上に違う路線の電車が走っているからこういうことになるのである。それで仕方なく、JR西日本は環状線の新車両を全て3枚扉に統一し4枚扉の車両を走らせないようにしてようやくホームドアを設置することにしたらしい。でも駅自体古くホームドア設置した場合の重量に耐えられるかが問題になり、こちらの方の強化も必要だという。だからホームドア設置もすぐには実現できそうもない。
さらに地下鉄は悲惨だ。韓国の地下鉄は1号線以外は1980年以降に開通したものばかりだからホームドア設置も簡単だったと言えよう。ところが日本は事情が違ってくる。日本の地下鉄開通の歴史は1927年の東京の浅草~上野間に始まって、1933年の大阪・梅田~心斎橋間。地下鉄ではないが1931年に京阪(現・阪急)の京都・西院~大宮間。1933年、阪神の岩屋~三宮間と地下を電車が走っている。また地下駅化に伴う一部の地下鉄道は1928年、神戸有馬電鉄の湊川駅。1933年、京成の上野駅。1938年、関西急行(現・近鉄)の名古屋駅。1939年、阪神の梅田駅。1941年、名鉄の新名古屋駅。
これだけ戦前から地下化が進んでいると今の基準に合わすのは難しい。地上駅と違い工事もより難工事になり費用も莫大になるのでホームドア設置も遅々として進まない。ことに古い路線ほどそうである。でも車両の長さとドアの数さえ合わせれば比較的設置費用が安くて工事の簡単なロープ式ホームドアなら設置しているところも増えた。まあ韓国のように完全密封型スクリーンドアは無理ではあるが、簡易方式なら設置できるだろう。それと韓国は日本の私鉄のような民間鉄道がほとんどなく国が出費している公社のような鉄道がほとんどだから統一できるというものだろう。でもアメリカやヨーロッパの鉄道は日本と同様で一部しかホームドアってものが存在しないのだが(モスクワには世界初のホームドアがあるが)、アジアの諸国の都市鉄道では最近に開通したものが多く全てスクリーンドアが設置されている。したがって日本に大勢来るアジアの観光客は日本の鉄道にホームドアがないことに驚いているみたいだ。意外と日本はハイテクの国なのに遅れていると思ったかもしれない。つまりこの20年で急速に鉄道が敷設されたアジアの都市の鉄道とは違い、日本は100年前から都市に鉄道が敷設されていたので時代遅れと思われるのも仕方がない。なので日本の駅にホームドアがないから未開だという韓国人は事情を知らないだけ。また韓国にあるスクリーンドア・システムは日本のナブテスコが開発したものなんだけどと突っ込みたくなる。でも危険防止のためホームドアはあった方が良い。これからは日本は高齢化社会が急速に進み駅での安全をより強化しないといけなくなる。したがってホームドア設置は急がれるのである。
これからこういった簡易式なロープ型ホームドアが増えるかもしれない(JR高槻駅)
でも昔は駅のホームから転落しても今ほど大騒ぎしなかった。つまりホームドアなんて考えがなかった時代だから記事としても取り扱いが小さかった。でも最近はホームドア設置が出来る時代になったので急に駅のプラットホームの危険性を耳にすることが多くなった。というのも最近は急速にアジアの国が発展し、最近になって敷設された鉄道というのはほとんどホームドアが設置されているからだ。ことに韓国の地下鉄はほとんどの駅にホームドアがついているから日本の都市鉄道のホームドアの設置度の遅れが目立ってしまうのだ。最近は韓国人は日本のJRや私鉄、地下鉄を見てホームドアがないことを馬鹿にして韓国の方が進んでいると発言する人が多いと言う。でも当たり前だろ。韓国というのは日本より半世紀遅れて1974年に地下鉄が最初に開通した。それも日本の技術援助と円借款のおかげである(韓国ではそのことを知らない人が多いが)。そのときのソウル地下鉄1号線は日本の車両であり、日本人が運営システムから何もかも指導したことさえ忘れているのかもしれない。つまりホームドアというのは近年になってから開発されたもので、最近になってホームドア、ホームドアと煩く言うようになっただけである。考えてみればそれ以前の駅というのはホームドアという概念はなく、ホームに柵はあっても自動で動くホームドアなんてものはなく、危険であるのは承知でもあったがホームドアという考えはなかったから、最近のように駅の危険性をこれだけ、やいやい言うようなことはなかった。それに昔の方が電車は混んでいたし、プラットホーム上に人が溢れていようがなんとか凌いでいたというのが現実である。
それが1981年2月5日に神戸の新交通システムであるポートライナーが開通した。そして1ヶ月後の3月16日に大阪のニュートラムが開通。どちらも無人運転でスクリーンドアが設置されていた。ここから事情が変わる。こういうものが既に実現していたのだが、既存の鉄道では設置が難しかったのである。なにしろ日本の鉄道は複雑でありすぎる。都市交通で言うならJR、地下鉄、私鉄各社があり、それらが入り乱れ、総合乗り入れもある。また電車の車両規格が違い、5枚扉、4枚扉、3枚扉、2枚扉。色々とあり、車両の長さも違うので、いざホームドアを設置するにも簡単にはいかないのである。よく東京の山手線のホームドア設置率が高いのに同じような大阪の環状線のホームドア設置は何故進まないのかという声が上がるが、山手線は全て同じ規格の車両で統一しているからホームドアの設置は容易である。一方、大阪の環状線は実は環状線と言うが、同じ線路内に奈良行きだとか和歌山行きだとか関空行きだとか京都行きだとか違う路線の電車まで乗り入れている。まあ土地買収の問題もあり今更、複線を複々線、3複線化出来ないので同じ線路上に違う路線の電車が走っているからこういうことになるのである。それで仕方なく、JR西日本は環状線の新車両を全て3枚扉に統一し4枚扉の車両を走らせないようにしてようやくホームドアを設置することにしたらしい。でも駅自体古くホームドア設置した場合の重量に耐えられるかが問題になり、こちらの方の強化も必要だという。だからホームドア設置もすぐには実現できそうもない。
さらに地下鉄は悲惨だ。韓国の地下鉄は1号線以外は1980年以降に開通したものばかりだからホームドア設置も簡単だったと言えよう。ところが日本は事情が違ってくる。日本の地下鉄開通の歴史は1927年の東京の浅草~上野間に始まって、1933年の大阪・梅田~心斎橋間。地下鉄ではないが1931年に京阪(現・阪急)の京都・西院~大宮間。1933年、阪神の岩屋~三宮間と地下を電車が走っている。また地下駅化に伴う一部の地下鉄道は1928年、神戸有馬電鉄の湊川駅。1933年、京成の上野駅。1938年、関西急行(現・近鉄)の名古屋駅。1939年、阪神の梅田駅。1941年、名鉄の新名古屋駅。
これだけ戦前から地下化が進んでいると今の基準に合わすのは難しい。地上駅と違い工事もより難工事になり費用も莫大になるのでホームドア設置も遅々として進まない。ことに古い路線ほどそうである。でも車両の長さとドアの数さえ合わせれば比較的設置費用が安くて工事の簡単なロープ式ホームドアなら設置しているところも増えた。まあ韓国のように完全密封型スクリーンドアは無理ではあるが、簡易方式なら設置できるだろう。それと韓国は日本の私鉄のような民間鉄道がほとんどなく国が出費している公社のような鉄道がほとんどだから統一できるというものだろう。でもアメリカやヨーロッパの鉄道は日本と同様で一部しかホームドアってものが存在しないのだが(モスクワには世界初のホームドアがあるが)、アジアの諸国の都市鉄道では最近に開通したものが多く全てスクリーンドアが設置されている。したがって日本に大勢来るアジアの観光客は日本の鉄道にホームドアがないことに驚いているみたいだ。意外と日本はハイテクの国なのに遅れていると思ったかもしれない。つまりこの20年で急速に鉄道が敷設されたアジアの都市の鉄道とは違い、日本は100年前から都市に鉄道が敷設されていたので時代遅れと思われるのも仕方がない。なので日本の駅にホームドアがないから未開だという韓国人は事情を知らないだけ。また韓国にあるスクリーンドア・システムは日本のナブテスコが開発したものなんだけどと突っ込みたくなる。でも危険防止のためホームドアはあった方が良い。これからは日本は高齢化社会が急速に進み駅での安全をより強化しないといけなくなる。したがってホームドア設置は急がれるのである。
これからこういった簡易式なロープ型ホームドアが増えるかもしれない(JR高槻駅)
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