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2008.06.10 (Tue)

ジョージ・オーウェルの『動物農場』を読む

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 『動物農場』というタイトルを聞いて童話かなと思われるかもしれない。主人公は動物たちなのだからそのように思われても仕方が無いが、内容は峻烈な政治批判小説なのである。

 内容はというと・・・・・・・・・・荘園農場のジョーンズ氏に飼われている多くの動物達は、豚の老少佐の遺言によって人間の主人に叛乱を起こし成功する。その叛乱のリーダーは雄豚のスノーボールとナポレオンである。スノーボールは理論家で通り風車を建設して農場を機械化する計画を進めるのである。ところが、陰謀を働くナポレオンはスノーボールを追放して、彼とその取り巻きの連中を次から次へと処刑して、ナポレオンは独裁者にのし上がってしまう。

 やがて風車は嵐で倒れ、二度目は農場の奪回を企んだジョーンズたちによって爆破されるが農場の動物達はくじけなかった。でも目覚しい働きをする馬のボクサーが、過労で倒れるとさっさと町の屠殺場に送られる。数年たち風車も完成し、生産は向上した。だが豚以外の動物達の生活は一向によくならない。かつてのスローガン「二本脚は敵、四本脚は味方」を忘れたかのように、近隣の農場主と取引を始める豚たちは、近隣の人間を招いて宴会を催す。豚たちは人間と杯をかわしているが、傍から見るとどれが人間でどれが豚なのか見分けがつかない・・・・・・。

 『動物農場』はジョージ・オーウェルが1944年に書いた小説である。おとぎ話と副題がついている小説なのだが、この小説はソヴィエト社会主義体制に対する風刺小説といってもよいだろう。イギリス人のジョージ・オーウェルは、1917年の二月革命から1943年のテヘラン会談までのソヴィエトの歴史を忠実に再現しながら、スターリンの独裁政治を痛烈に批判しているのである。小説が完成した頃は、ソヴィエトとイギリスが同盟国であったため外務省の干渉もあって出版できなかったという事情もあったが、終戦後の1945年8月になって出版されたのである。するとたちまちのベストセラーとなってしまい、引き続いてジョージ・オーウェルは、その続編とも言うべき小説『1984年』を書く。この小説を読んでいると理論派の雄弁家のスノーボールはトロツキーのことで、無口な陰謀家ナポレオンはスターリンのことだということがすぐに判る。すると老少佐はおそらくレーニンのことであろう。

 ジョージ・オーウェルは1903年に生まれ、警察官としてビルマに赴任した。しかしイギリス帝国主義の尖兵ともいうべき植民地警察官の職に耐えられず帰国。その直後に作家を志す。やがて社会主義者となり、スペインの内戦でトロツキスト系のマルクス主義統一労働党の部隊に加わって戦い負傷する。また、その頃、ソヴィエトに後押しされた共産党の他党派に対する厳しい弾圧を目の当たりにして、生涯の反共産主義者、反全体主義者となったようである。でも今時、こんな小説を読む人もいないだろう。冷戦の頃ならいざ知らず、ソヴィエトが崩壊して既に20年近くなろうとしている。最近の大学生はソヴィエトって何?・・・・・と質問する者がいるそうだから、既にスターリンだのトロツキーだのレーニンだのマルクス主義だのソヴィエト社会主義だのと言ったところで、時代錯誤も甚だしい。ベルリンの壁が崩壊して、民主化が導入され、東西ドイツが統一され、鉄のカーテンが消えてしまい、ソヴィエトはロシア、ウクライナ、グルジア、エストニア、ラトビア、リトアニア、アルメニア、ウズベキスタン、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギスタン、ベラルーシ、タジキスタン、トルクメニスタン、モルドバ・・・・・・・・・と国が分裂してしまった。

 残念ながらジョージ・オーウェルの恐れた独裁政治、恐怖政治、一党独裁政治社会はヨーロッパにおいて崩壊してしまい、彼の未来予想は外れてしまった。ただ東アジアでは未だに独裁政治体制を布いている国があるが・・・・・・・。
 
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