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2009.05.13 (Wed)

京都観光5000万人突破

 京都に訪れる観光客の数が2008年度の一年間で5012万人に及んだと新聞に書かれていた。何年も前から観光客を京都に呼ぼうと京都市が躍起になって、修学旅行の誘致強化や冬枯れのの季節に嵐山や東山の花灯路などを実施し、それらが功を奏し念願の5000万人突破となったようだ。でもこの数字は多いのか少ないのかと問われれば、これといって新しい名所も増えず、昔からの遺産だけで食っている街にしては大した数字だと思う。しかし、千葉浦安の東京ディズニーリゾートだけで京都市の半分の2500万人が詰め掛けることを考えれば、大したことないなあとも取れるだろう。ただ、京都というところは何一つ、客を呼ぶために意図的に作られたような集客力のあるテーマパークもなく、企画された祭りもなく、各地にあるような大型商業施設も乏しくて、それでいて街の変化が遅い京都という街に5000万人の人が毎年、詰め掛けるというのは、それはそれで凄いことである。

 何でも物が集まった(集めた)東京を訪れる人は年間で1億人を超えるだろうが、その大半がビジネス絡みだということを考えれば、純粋に観光のみで訪れる人の多い京都は日本最大の観光都市と言い切ってもいいだろう。だが、修学旅行で京都に訪れる高校生、中学生などを見ていると、この子らが何処まで京都の良さを認識しているかどうか甚だ疑問だが・・・・・・。はたして寺社、仏閣、唐山水の庭園、ワビとサビ、京町屋の風景、これらを観て面白い、興味がある、いいなあ・・・・と思っている子は非常に少ないと考えられる。事実、今から20年ほど前だが、嵐山に多くのタレントが経営している店やタレントのグッズが売っている店の中が、修学旅行生で溢れかえっていたのに、ある寺院では観光ガイドが説明していてもつまらなさそうに欠伸をしていたり、興味なさそうに友達同士でお喋りをしている生徒たちを頻繁に見かけたからである。また、彼らはグループ活動の自由時間が与えられると、さっさと京都から電車で大阪に向ってしまった。大阪では道頓堀、新世界でたこ焼きを食べたり、芸人グッズを買ったりして、京都にいるよりも遥かに楽しそうである。

 つまり京都というのは観光都市であるが、それは歴史の上に成り立った特殊な街であると考えなくてはならない。悪く言えば東京のような現在進行形の街ではなく、新しいものが日常茶飯事に現れては消えるような所とは一線を画しているのだ。今、テレビでやっているような物を求めている中学生や高校生等は、京都よりも東京の原宿や渋谷、お台場に行くほうが楽しいだろう。なのに年間5000万人もの人が京都を訪れるかを考えてみると、そこには余所の街に無い京都独自の風情を味わいたいと思惟する人々の存在があるからだろう。やはりローマは1日にしてならずと言うが、京都も同様に1200年も前から都会であり続けた日本唯一の街だからである。根っからの京都人は物腰が柔らかく、奥が深く見える(一見だが)。それでいて人間観察は鋭く、1200年もの間、日本の治乱興亡の中で生きつづける方法論を見出してきた人達の末裔は、何処か排他的でもある。でもそれが都人なのであり、東京や大阪のような植民地が都会化したのとは違うということである。結局、先人達が産んできた伝統的な住居、衣、器、生活様式、これら一切合財が都の人の智慧で伝承されてきたものであり、そういった雰囲気が街のいたるところに、まだまだ残っている街なのである。だから修学旅行生が京都に来るのもいいが、まだまだ青臭い子供には、京都の趣を感じ取るには教養や経験が足りなさ過ぎると思う。彼らが大人になって、半生を振り返ったときに、ふっと行きたくなる街、それが京都なのだと思う。
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