2009.06.23 (Tue)
映画『ペーパー・ムーン』を観る
『ペーパー・ムーン』1973年製作、アメリカ映画
監督 ピーター・ボクダノヴィッチ
出演 ライアン・オニール
テイタム・オニール
マデリーン・カーン
ジョン・ヒラーマン
P・J・ジョンソン
ジェシー・リー・フルトン
【あらすじ】舞台は1930年代のアメリカ中西部。母を亡くして一人ぼっちになってしまった少女アディ。母の葬式で、アディは、かつて母の恋人だったモーゼという男と出会う。そしてモーゼは、アディを親戚の家まで送り届けることになってしまう。こうしてモーゼという男とアディという少女が旅をすることになるが、モーゼは聖書を売りつけて小金を稼ぐ詐欺師であった。でもアディは子供だが頭の回転が早く、モーゼが詐欺師であることをすぐに見抜いてしまう。でも、アディはモーゼに父親に似た愛情を感じ始め、モーゼも本物の親子のような感情を持つようになる。奇妙な2人が旅を続ける間に結束が強くなっていく。
この映画は上映される前から、あることで話題になっていた。それは、この年のアカデミー助演女優賞を史上最年少の9歳で獲得したテイタム・オニールの演技が評判になっていたからである。またモーゼを演じたライアン・オニールと共に親子共演という興味もあった。
若い頃だったが、映画を最初に観たときの感想は、ほのぼのとしたロードムービーという印象だった。でも、何が面白かったかというと、アディとモーゼの会話のやり取りが軽妙だったことと、親子のように似ている2人(実の親子なので当然だが)が他人を演じるという奇妙なキャスティングが巧であった。また監督のピーター・ボクダノヴィッチがカラーではなく、わざとモノクロで撮ったというが、これは時代設定が大恐慌の時代ということで、カラーで撮るとオニール親子が青い目をしていることが判り、時代にそぐわないという理由からモノクロになったらしい。けどもモノクロの方がカラーよりも至って真実味があるように思われるから、結果としては成功したのかもしれない。
本来は『アディ・プレイ』という小説が原作になるが、この『アディ・プレイ』ではなく、映画の『ペーパー・ムーン』という題名も妙である。結局、映画の主題歌として使われた『It’s Only a Paper Moon』から映画のタイトルを採られたが、この曲の歌詞にもあるように・・・・・信じあえば 愛しあえば 助けあえば 紙のお月様だって 本物に見えるでしょう・・・・・・といった、奇妙な2人が旅をする間に芽生える愛情というものを、この古い1930年代のジャズ・ナンバーとが上手くマッチして、小粋な出来に仕上がっている秀作である。ただ残念なことに、映画初出演でいきなりアカデミー助演女優賞をいただいたテイタム・オニールは、その後、『がんばれ!ベアーズ』『リトル・ダーリング』等に出演するも、芳しくなく以降、低迷する。その間、テニス・プレイヤーのジョン・マッケンローと結婚するも離婚。最近はテレビ・シリーズで細々と演技をしているらしいが、女優としてはいきなり滑り台の上に上がり、後は滑っていくだけという停滞振りでがっかりさせられる。とうとう昨年は、コカインを購入した疑いで逮捕されてしまった。やはり女優というのは大器晩成型の方が息が長いということなのか・・・・・。テイタム・オニールはあまりにも若くしてオスカー女優になったがため天才子役として騒がれ、その後の女優としての生き方は辛かったのかもしれない。
最後になるが、この映画が上映されてからというもの、日本国内のジャズメンが、矢鱈と『It’s Only a Paper Moon』を演奏するようになったという記憶がある。この曲は『ザ・グレート・マグー』(1932年)という演劇作品のために書かれた曲で、作詞がビリー・ローズ、E・Y・ハーバーグ、作曲ハロルド・アーレンである。でもその頃は、あまり注目されず、翌年にミュージカル映画『テイク・ア・チャンス』で使われて広く知られるようになった。
Said it is only a paper moon
Sailing over a cardboard sea,
But it wouldn't be make believe
If you believe in me.
映画の冒頭
監督 ピーター・ボクダノヴィッチ
出演 ライアン・オニール
テイタム・オニール
マデリーン・カーン
ジョン・ヒラーマン
P・J・ジョンソン
ジェシー・リー・フルトン
【あらすじ】舞台は1930年代のアメリカ中西部。母を亡くして一人ぼっちになってしまった少女アディ。母の葬式で、アディは、かつて母の恋人だったモーゼという男と出会う。そしてモーゼは、アディを親戚の家まで送り届けることになってしまう。こうしてモーゼという男とアディという少女が旅をすることになるが、モーゼは聖書を売りつけて小金を稼ぐ詐欺師であった。でもアディは子供だが頭の回転が早く、モーゼが詐欺師であることをすぐに見抜いてしまう。でも、アディはモーゼに父親に似た愛情を感じ始め、モーゼも本物の親子のような感情を持つようになる。奇妙な2人が旅を続ける間に結束が強くなっていく。
この映画は上映される前から、あることで話題になっていた。それは、この年のアカデミー助演女優賞を史上最年少の9歳で獲得したテイタム・オニールの演技が評判になっていたからである。またモーゼを演じたライアン・オニールと共に親子共演という興味もあった。
若い頃だったが、映画を最初に観たときの感想は、ほのぼのとしたロードムービーという印象だった。でも、何が面白かったかというと、アディとモーゼの会話のやり取りが軽妙だったことと、親子のように似ている2人(実の親子なので当然だが)が他人を演じるという奇妙なキャスティングが巧であった。また監督のピーター・ボクダノヴィッチがカラーではなく、わざとモノクロで撮ったというが、これは時代設定が大恐慌の時代ということで、カラーで撮るとオニール親子が青い目をしていることが判り、時代にそぐわないという理由からモノクロになったらしい。けどもモノクロの方がカラーよりも至って真実味があるように思われるから、結果としては成功したのかもしれない。
本来は『アディ・プレイ』という小説が原作になるが、この『アディ・プレイ』ではなく、映画の『ペーパー・ムーン』という題名も妙である。結局、映画の主題歌として使われた『It’s Only a Paper Moon』から映画のタイトルを採られたが、この曲の歌詞にもあるように・・・・・信じあえば 愛しあえば 助けあえば 紙のお月様だって 本物に見えるでしょう・・・・・・といった、奇妙な2人が旅をする間に芽生える愛情というものを、この古い1930年代のジャズ・ナンバーとが上手くマッチして、小粋な出来に仕上がっている秀作である。ただ残念なことに、映画初出演でいきなりアカデミー助演女優賞をいただいたテイタム・オニールは、その後、『がんばれ!ベアーズ』『リトル・ダーリング』等に出演するも、芳しくなく以降、低迷する。その間、テニス・プレイヤーのジョン・マッケンローと結婚するも離婚。最近はテレビ・シリーズで細々と演技をしているらしいが、女優としてはいきなり滑り台の上に上がり、後は滑っていくだけという停滞振りでがっかりさせられる。とうとう昨年は、コカインを購入した疑いで逮捕されてしまった。やはり女優というのは大器晩成型の方が息が長いということなのか・・・・・。テイタム・オニールはあまりにも若くしてオスカー女優になったがため天才子役として騒がれ、その後の女優としての生き方は辛かったのかもしれない。
最後になるが、この映画が上映されてからというもの、日本国内のジャズメンが、矢鱈と『It’s Only a Paper Moon』を演奏するようになったという記憶がある。この曲は『ザ・グレート・マグー』(1932年)という演劇作品のために書かれた曲で、作詞がビリー・ローズ、E・Y・ハーバーグ、作曲ハロルド・アーレンである。でもその頃は、あまり注目されず、翌年にミュージカル映画『テイク・ア・チャンス』で使われて広く知られるようになった。
Said it is only a paper moon
Sailing over a cardboard sea,
But it wouldn't be make believe
If you believe in me.
映画の冒頭
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