2009.09.10 (Thu)
ヘンデル ハープ協奏曲を聴く
ヘンデルという作曲家の曲で何が1番有名なのだろうかと考えてみた。色々と作曲している人だが、同じ年に生れた大バッハと呼ばれるヨハン・セバスチャン・バッハに比べると扱いが小さく、知られている曲も少ない。意外にもヘンデルはオペラの曲が多くて、その他ではカンタータやオラトリオの作曲家といったイメージがある。やはりこのあたりはバロック時代の作曲家というところだろう。それでヘンデル作曲の有名曲ってなんだろうかと思い起こす。管弦楽曲の『水上の音楽』『王宮の花火の音楽』も良く知れ渡っている。合奏協奏曲、オルガン協奏曲もあるが一般的にあまり有名ではない。室内楽曲も同様で、チェンバロ曲もバッハの曲と比較するから知名度がない。すると最も有名なのはチェンバロの曲で『調子の良い鍛冶屋』か、オペラ『セルセ』の中の『ラルゴ(オンブラ・マイ・フ)』か、オラトリオ『メサイア』の中の『ハレルヤ・コーラス』のどちらかだろうと思い込んでいたところ、高校野球を観ていて思い出した。よく考えてみると誰もが知っている曲があった。これもオラトリオの中の曲で、『マカベウスのユダ』というオラトリオの第3幕の中の曲『見よ、勇者は帰る』である。『見よ勇者は帰る』なら、どんな人でも一度は聴いたことのある曲だと思う。よくスポーツ大会の表彰式で流される曲なので、メロディが流れると、ああ、あの曲かと判るだろう。でもほとんどの人は、だれの曲かも知らずに聴き流しているのだが・・・・・。
さて、ヘンデルの最も有名な曲は『見よ、勇者は帰る』ということであるが、今回はヘンデルの『ハープ協奏曲』について書くことにする。何だそれはなんていわないでくれ。この曲は正式には『ハープ協奏曲 変ロ長調 作品4の6、HWV294』という。そもそもオルガンの協奏曲として1738年に出版されたということになっているが、当初はハープ協奏曲だったらしい。初演は1736年ということで、オルガン協奏曲として楽譜が出版される以前ということになる。だからオルガン協奏曲第6番変ロ長調と、このハープ協奏曲は同じ協奏曲ということになる。それで、この『ハープ協奏曲』であるが、全3楽章からなっていて、15分以内で終わる可愛らしい曲である。冒頭のハープを含めた合奏が印象的な愛くるしい曲である。曲そのものは、これといって採り上げるほどのこともないが、あのバロック時代の荘厳なオルガン曲と違い、こちらは軽いタッチの聴きやすさが特徴でBGMとして充分効果がある。そもそもハープの曲自体が少ないから、この曲は数少ないハープの協奏曲の中ではよく演奏される曲なのであるが、どうも女性的な音色と思われているのか、好きだという人にお目にかかったことが無い。でも私は比較的、よく聴く曲ではある。
ところで、このゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデルであるが、バッハと同時代の人で、バッハが音楽の父と言われるのに対し、音楽の母と言われることもあるほどの大作曲家ののだが、バッハの扱いに比べると小さく、せいぜいバロック時代の宮廷音楽家といった程度の認知度でしかない。真に寂しいことであるが、日本での人気はバッハの方が断然に優っている。でもイギリスではドイツから帰化したこともあって、ヘンデルの人気は高いという。最近ではサッカーのヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグの入場曲『UEFAチャンピオンズ・リーグ賛歌』の原曲として、ヘンデルの曲がクローズアップされている。その原曲は『戴冠式アンセム』~『祭司ザドクHWV258』である。でもイギリス人がヘンデルのことを、ジョージ・フリードリック・ハンデルと言うのにはどうしても違和感があるなあ・・・・。
ヘンデル『ハープ協奏曲』第一楽章の演奏
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