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2010.12.24 (Fri)

映画『スイング・ホテル』を観る

 『スイング・ホテル』1942年製作、アメリカ映画

 監督 マーク・サンドリッチ

 出演 ビング・クロスビー
    フレッド・アステア
    マージョリー・レイノルズ
    ヴァージニア・デイル
    ウォルター・エイブル
    ルイーズ・ビーヴァーズ

 【あらすじ】ショウビジネスで生きる2人、ダンサーのテッドとシンガーのジム。ジムはショウビジネスに幻滅を感じ、テッドにコネチカットの田舎で農場をやり、ついでに長年のパートナーだったライらと結婚する打ち明けた。しかし、ライラはショウビジネスが諦めきれずテッドと恋におちてダンスパートナーとして残ることになった。ジムは1人寂しくコネチカットへ旅立つ。しかし農場での仕事は彼には難しかった。そこでジムは名案を思いつく。農場をホリデイ・インという名の祝日だけ開くエンターテイメント会場に改築してショウを開催するというものだった。こうして1年で祝日だけ営業するというホリデイインが営業を始めるが・・・・・・・。

 この映画は何の毒も棘もない恋愛ミュージカルの類なのだが、映画史においては価値のある映画である。それは何かというと、クリスマスのスタンダードナンバーである『ホワイト・クリスマス』がこの映画で紹介されたということである。現在では誰でも知っている『ホワイト・クリスマス』であるが、この映画の中でビング・クロスビーが歌って火がついたのである。映画は1941年11月から1942年2月まで撮影。ちょうど太平洋戦争勃発で日本の国中が慌しい時期にアメリカのハリウッドではこんな映画も製作されていたのである。映画もアメリカとイギリスで大ヒットし『ホワイト・クリスマス』も音楽チャートで1942年10月から11週間もの間首位を守るという文字通りの大ヒットを記録する。

 つまり戦前のエンターテイナーであるビング・クロスビーとフレッド・アステアの共演とアーヴィング・バーリンが曲を提供したことにより映画も曲も大ヒットしたのである。『ホワイト・クリスマス』の曲自体は一人歩きし、今では誰でも知っているクリスマス・ソングの一つとなっったが、オリジナルはこのように映画から出てきたものである。でも1942年というと日本では太平洋戦争に突入した翌年である。日本流に言うと昭和17年ということになる。この時代には当然、敵国の映画等は上映できるはずがない。したがってこの映画そのものも戦後に入ってきているし、楽曲の『ホワイト・クリスマス』も実際に日本で知れ渡るようになるのも、映画『スイング・ホテル』のリメイク版である『ホワイト・クリスマス』(1954年)によるところが多い。したがってオリジナルである『スイング・ホテル』を観てない人も多く、この映画の存在さえも知らな人は意外と多いのである。当映画は、いわゆる古色蒼然としたミュージカル映画である。映画そのものは特筆すべきものではないが、ビング・クロスビーの甘い歌声とフレッド・アステアの華麗なタップやダンスは見所である。


 映画の中で『ホワイト・クリスマス』を歌うビング・クロスビーとマージョリー・レイノルズ。

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