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2011.02.23 (Wed)

バド・パウエルのアルバムを聴く『シーン・チェンジス』

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     バド・パウエルのアルバムを聴く・・・・・『シ-ン・チェンジス』

 バド・パウエルというとこのアルバムの冒頭の曲『クレオパトラの夢』で有名であるが、それも一般的にこの曲が知れるようになったのはテレビのCМで使われてからのように思う。でも古くからのジャズファンの中ではバリバリのジャズピアニストであり、それも天才肌のピアニストである。彼は1924年生まれというから日本流で言うなら大正13年である。何と大正生まれだったのである。彼のピアノのプレイとテクニックぶりからとても大正時代に生まれた人のようには思えないし、また彼が作った曲は真新しく感じられる曲が多い。

 彼はチャーリー・パーカーやディジー・ガレスピー等とともにビバップを確立したが、バド・パウエルの場合はジャズ・ピアニストととして優れていたので、このようなビバップはお得意だったのかもしれない。もともとビバップはコードの変化をスピードアップして複雑化することだった。そういったジャズプレイの遊びから始まって、盛んに演奏に取り入れるようになったのだが、コードとメロディを同時に演奏できるピアノという楽器で彼の才能が自由に活かされたのであろう。

 バド・パウエルは音楽一家の家庭に生まれたから音楽の素養は幼いころに身についていたのである。祖父はフラメンコ・ギタリスト、父はストライド・ピアニスト、兄はトランペッター、弟もピアニストというから音楽が溢れた家庭で育ったことになる。そして小さいことからクラシック音楽を習い7歳でドビュッシーやリストの曲を弾きこなしていたというから早熟なピアニストだったのである。それが10歳でジャズに興味をを持ち13歳でプロのバンドに加わっていたという逸話がある。なので彼のテクニックからして、ポピュラー曲のコード進行をヒントにテンポやアクセント、和音の構造まで変化させて違う曲をつくってしまうビバップというジャズの手法を試す場にあって、バド・パウエルのように古典から現代音楽までの知識とテクニックを備え、それを鍵盤の上で再構築する。まさに彼のビバップの申し子のようなジャズプレイヤーだったのである。

 しかし、天才にありがちな精神的疾患が彼にはあり、麻薬とアルコールに溺れていった。演奏の歳には好不調の波が激しいといわれ、多くの録音にも呻き声を発しながら演奏していることが窺える。結局、彼は有り余る才能を持ちながら41歳の若さで1966年に亡くなっているて、今では彼が残した多くの録音でしか演奏を聴くことができない。

このアルバムの『クレオパトラの夢』を聴くとエキゾチックであり、それでいて速いテンポでまくしたてる。曲の流れを無視してブツブツを曲に合わせながら声を出しながら左手でブロックコードを叩きこむ。今ではモダンジャズの代表曲のように言われるが、当時としてはさぞや斬新なプレイスタイルだっただろう。


 熱演するバド・パウエル(1962年)



 『クレオパトラの夢』を演奏するバド・パウエル・トリオ(音声のみ)



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