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2011.04.06 (Wed)

ストラヴィンスキー・・・・・『春の祭典』を聴く

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 セルゲイ・ディアギレフというロシアのプロデュサーがいる。この人なしには20世紀の音楽はこれほど発展しなかったに違いいないといわれる。彼はバレエやオペラのプロデュサーであったが興行師でもあった。そこで彼の地位を利用して数多くのオペラやバレエを西欧に紹介し興行した。これにより多くの作曲家、バレエ・ダンサー、振付師、歌手が出世したことは言うまでもない。ミハイル・フォーキン、ムソルグスキー、レオン・バクスト、カルサヴィナ、ニジンスキー・・・・。なかでもバレエ界にとってはその貢献度は大きくディアギレフが組織するバレエ・ルッスにより新作バレエが上演されたのである。ラヴェル『ダフニスとクロエ』『ラ・ヴァルス』、ファリャ『三角帽子』、サティ『パラード』、プロコフィエフ『道化師』、ドビュッシー『遊戯』等、これらは何れもディアギレフによって世に出たようなものであり、作曲家の名もこのバレエの成功によって一躍名が知れるようになったことは言うまでもない。

 さて、イゴール・ストラヴィンスキーであるが、彼こそディアギレフによって見出され育てられ有名になったといってもよいだろう。彼の出世作『火の鳥』がそもそもディアギレフの依嘱によって作曲されたバレエ音楽であり、その後、彼の作品がことごとくディアギレフによって世に出ているのである。こうして有名になったストラヴィンスキーであるが、1913年5月29日、パリのシャンゼリーゼ劇場でストラヴィンスキーの新作バレエ『春の祭典』の初演が行われることとなった。この日、ディアギレフ率いるロシア・バレエ団がニジンスキーの振り付けで演じられるのである。さあ、客席が埋まり指揮のピエール・モントゥーがタクトを振った。その瞬間、一本のファゴットが、それまで誰も使はなかった高音域で神秘的なソロを吹き出すと客席が騒がしくなったという。演奏は進むが、嘲笑され始めますます騒ぎ出す。対して進歩派の叫びが拡がり、とうとう座布団が乱れ飛ぶ始末となったようである。奇怪なリズム、不気味な旋律、異様な咆哮、伝統的な音楽に対する徹底的な破壊行為は保守的な聴衆の激怒を買い、ストラヴィンスキーはイントロダクションの数小節を聴いただけで劇場を出て行ったという。もっとも初演の指揮をしたモントゥー自身が最初に曲のデッサンをストラヴィンスキーの弾くピアノで聴いたとき「スキャンダル以外の何ものでもない」と思ったというから、よほど当時の聴衆には耐えられなかったに違いない。

 確かに今聴いてもそれまでのバレエ音楽とは違い変拍子を駆使して5管編成というオーケストレーションの常識を無視した新しいサウンドを生みだそうとしていたことは容易に理解できる。特に第2部の最後、『いけにえの踊り』で1小節ごとに拍子が変わるのである。16分の2、16分の3、8分の2、16分の2、16分の3、8分の2、16分の3、16分の5というようにめまぐるしく変わり奏者泣かせの曲とも言えるだろう。

 演奏時間は35分ぐらいでさほど長い曲でもないが色々な試みが見られ面白い。確かに斬新である。20世紀初頭の人にはあまりにも型破りすぎて驚いたことは想像できる。でも過去の慣習を打破しないかぎりは新しい物が生まれないが芸術の破壊者というのは何時の時代でも絶えず批判の対象になるものである。


ストラヴィンスキー『春の祭典』の演奏・・・冒頭から約8分半
  指揮 マイケル・ティルソン・トーマス
  サンフランシスコ交響楽団



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