2014.08.03 (Sun)
映画『永遠の0』を観る

『永遠の0』2013年、東宝公開
監督 山崎貴
出演 岡田准一
三浦春馬
井上真央
濱田岳
新井浩文
吹石一恵
風吹ジュン
夏八木勲
【あらすじ】司法試験に落ちた26歳の佐伯健太郎は進路に迷っていた。そんな健太郎は祖母松乃の葬儀の日に驚くべき事実を知る。それは、葬儀の日に号泣した祖父健一郎と自分との間には血の繋がりはないということだった。血縁上の祖父は別にいて、その名は宮部久蔵といい、優秀な0戦の操縦士だった。だが60年前の神風特攻隊で戦死。宮部久蔵のことは何も知らされてなかったが、姉と共にその宮部久蔵のことを興味から調べることとなる。すると昔の操縦士仲間は口をそろえて腕は確かだが臆病者だという。0戦乗りとしては天才的であるが、生き延びることを考え、空中戦になると真っ先に離脱したという。宮部久蔵は妻松乃に「必ず生きて還る」と言って戦地へ赴いていたのである。だが、たった一つの約束事の「必ず家族のもとへ還ると」と公言していた男が何故、特攻隊に志願して死を選んだのか。それは健太郎にとって謎だった。そして調査を進めていきたどり着いた結果が、思いもよらぬものだった。
この映画は今年の正月映画として上映され、多くの人の涙を誘ったという。原作は言わずと知れた百田尚樹。放送作家として活躍する一方、小説でもヒットを連発する百田尚樹のデビュー作にして一大ベストセラーとなった同名小説を「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴監督が映画化した戦争ドラマである。小生、この映画が上映されていても観に行ったと言うのでもなく戦争関連の映画は嫌いだから観る気もなかった。だが知り合いの家の女子大生が「是非観てください。大泣きしてしまいました」と言うので、このほどDVDが発売されたついでに観てしまったという訳である。
そういえば今年の1月、当ブログにおいて0戦と神風特攻隊のことを書いたと思う。なので、ある程度、特攻隊のことは知っていた。だが、いざこうして物語として観てみると確かにジーンとくるものがあり考えさせられることも多い。歴史的事実なのだが、現在とは何もかも違いすぎる。平然と生きることが出来ない。戦時中の最中だとはいえ、狂気、異常な時代の中で敢然と生き延びることを選択する。だがこれが許されない。それ故に宮部久蔵は臆病者と言われ続けた。しかし、調べ続ける間に、祖父は実は臆病者ではなく、自分が死ぬことによって残された妻と子供の将来が壊れることを一番恐れていたということを知って健太郎は、祖父に対して誇りをもつようになる。そして最後に究極の事実が・・・・・・。これは言ってしまうといけないだろう。ミステリーのからくりを教えるようなものだから。
ところでCGを今まで莫迦にしていたが、この映画の戦闘シーンは迫力がある。事実にも忠実で、0戦は真珠湾奇襲の頃、白っぽいグレー(餳色とされるが諸説ある)に塗装された二一型。ラバウルでの二二型、敗戦濃厚の昭和19年~20年の特攻隊に使われていた濃緑色の五二型0戦、さらには迷彩色に彩られた0戦等、かなり細密に再現されている。個人的には翼が長めの二一型がもっとも0戦らしいと思うが・・・・・。最も戦争関連の映画は好きではないが、航空母艦赤城等も含め、ムスタングやワイルドキャット、ヘルキャット等、戦闘シーンも含めセットでは此処までの映像表現が出来るかどうか、ややSF映画の映像っぽいところもあるが、見せどころは満載である。しかし思うところ、こういった物語はあの当時、起こっていた現実が今となってはあまりにも架空の話のようで、あまりにもかけ離れた世界の話でしか思えないのは、今となっては古すぎるからに他ならない。今や平成になって26年、昭和でさえも四半世紀以上前になってしまった。ましてや昭和16年~20年の戦時下という時代。だんだんとあの時代を語れる人が少なくなってきた。そういった意味では何故に平成の今、このような映画が製作されたか、考える意味では大きな役割を果たしたと言えよう。
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