2016.05.15 (Sun)
ハーブ・・アルパートを聴く
ハーブ・アルパートといっても若い人には聞き慣れない名前だろうが、我々の年代にとっては実になじみ深い名前である。昭和40年代初頭、この人の名前を洋楽のヒットチャートでよく耳にしたからである。当時はハーブ・アルパートがティファナ・ブラスというバンドを組織してよく彼らの曲がラジオで流れていたものである。なかでも1番ヒットしたのは『A Taste of Honey』である。この曲はカヴァー曲であるが、インスルメンタルのハーブ・アルパートとティファナ・ブラスのアレンジ版がヒットしたのである。本来はブロードウェー・ミュージカルのためにボビー・スコット書いた曲で邦題を『蜜の味』といい、何組かがレコーディングしている曲であり、面白いことに初期のビートルズがこの曲を歌っている。どうもビートルズがハンブルグで修業していた時代に、この曲をロックンロール嫌いの客用に歌っていたという。だから本来は歌付きの曲である。それがテイファナ・ブラスのインスルメンタル版が大ヒットし、この曲のイメージとして定着してしまった感がる。またそれ以外にも、上の写真に載せているアルバム『Whipped Cream And Other Delights』に『A Taste of Honey』は入っているのだが、このハーブ・アルパート&テファナ・ブラスで1番有名な曲というのは同アルバムに入っている『Bittersweet Samba』であろう。この曲は深夜ラジオ番組のオールナイト・ニッポンのテーマソングとして使われたからであって、タイトルも誰の演奏家も知らないが、曲だけは誰もが知っているという。ジャズメンのソル・レイクが作曲したものでハーブ・アルパートがそれをアルバムに収録したのであるが、まさかアジアの日本で長い間、テーマソングとして使われるとはハーブ・アルパートも思わなかったであろう。
ハーブ・アルパートはアメリカのロサンジェルスで1935年に生まれたミュージシャンで、作曲家であり、トランペット奏者であり、テファナ・ブラスのリーダーであり、A&
Mレコードの創始者の一人でもある。両親がユダヤ系ルーマニア人で、8歳でトランペットを習い始め大学を出てから音楽の道に自然と進むようになる。やがてルー・アドラーとの共作で『Wonderful World』を書きサム・クックが歌ってヒットした。その後、プロデューサーとして活躍する傍らレコード会社を作り、自ら起こしたバンドがテファナ・ブラスである。テファナ・ブラスは1969年に解散するまで活動し、その後は新たなブラス・バンドを組織したりソロ・ミュージシャンとして今も多岐にわたり幅広い活動を行っている。
2006年、彼はロック殿堂入りしたのであるが、これは奏者としてではなくA&Mレコードがロックに貢献したと言うことであり、また奏者としても2013年にグラミー賞を受賞するなど年老いても商業音楽の世界で活発に活躍しているのである。
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