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2008.01.30 (Wed)

映画『ラストエンペラー』を観る

 『ラストエンペラー』1987年製作 イタリア、イギリス、中国合作

 監督 ベルナルド・ベルトリッチ

 出演 ジョン・ローン
     ジョアン・チュン
     坂本龍一
     デニス・ダン
     ヴィクター・ウォン
     高松英郎
     ピーター・オトゥール

 【あらすじ】1908年の清国。北京の紫禁城内、西太后により溥儀が皇帝に任命された。でも愛新覚羅溥儀はわずか3歳。溥儀は清の皇帝として弟の溥傑と共に何不自由なく暮らすが、1924年のクーデターで突然、紫禁城から退去させられてしまう。清国の滅亡である。溥儀は北京を追われ天津に逃れる。ここで日本の関東軍と密接な関係を持つようになり、やがて日本のバックアップもあり、建国された満州国の皇帝となる。しかし、満州国は日本の傀儡国家であることは歴然としていて、溥儀は操り人形でしかなかった。時代が進み大東亜戦争が終結。日本の敗戦と共に溥儀もソビエト軍に捕らえられ戦犯として裁かれる。

 波瀾万丈の一生を送った清国最後の皇帝・愛新覚羅溥儀の生涯の映画化である。アカデミー作品賞を始め、9部門で賞を獲得するなど話題になった大作である。この映画が公開された1988年の一年後に昭和は幕を降ろすが、日本とも関係の深かった溥儀の物語であり、溥儀と昭和という時代は密接なつながりがあったのだと考えると、日本の現代史において興味深い映画である。

 僅か3歳の幼児である溥儀が清の皇帝として即位したものの、20世紀という時代、彼は大きな国の変革と激動の嵐に飲み込まれ翻弄され、かつてないほど波瀾に満ちた生涯を送った。皇帝の座から追われ、傀儡政権での皇帝、戦犯として収容所に収監、釈放、その後は一市民として余生を送り、細々と死んでいった。こういった一生を送った人も珍しいが、中国の変動期において、何かと関係の深かった日本の国民としては、この映画を観ていて辛いところがあった。かつて日本は中国に侵略し、盧溝橋事件、南京大虐殺・・・あまり触れて欲しくない歴史もあって、日本人を良く描いてないというのもあるが、そんな中でもけして誇りと紳士然とした態度だけは保ち続けた溥儀。それに対して、関東軍の甘粕正彦は欲望と陰謀の塊のように映り、日本人の卑しさが目に付いた映画であった。

 大東亜戦争で日本が無条件降伏すると同時に、溥儀は自ら満州国を解体し退位したのである。その後、収容所に収監され、皇帝から一転して戦犯扱いの身となる。1960年には恩赦があり長い収容所生活から釈放された。でも、溥儀は溥傑ともども一市民として生活を送らざるを得ず、儚くも時代は毛沢東の世の中。中国全土を襲った文化大革命の嵐の中、当然のように溥儀は目立った生活は封印した。でも癌に侵され、治療もままならず、とうとう1967年10月17日、愛新覚羅溥儀は「チキンラーメンを食べたい」といって亡くなったという。

 この頃、中国は最も自由の利かない時代であり、溥儀は隠れるようにして生きていた。おそらく皇帝から戦犯まで経験し、最後は一市民として、共産党が支配する世の中でも過去の栄光に縋ることもなく、しょぼくれた一人の人間として生きながらえていた。そしてそして、愛新覚羅溥儀は最後までラストエンペラーとして語り継がれるのである。

                           

                                
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