2ntブログ
2024年11月 / 10月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫12月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
EDIT  |  --:--  |  スポンサー広告  |  Top↑

2014.02.16 (Sun)

ディジー・ガレスピーのアルバム『グルーヴィン・ハイ』を聴く



 このアルバムは録音が1945年2月から1946年11月に及び、その中から13曲が収録されている。なので当然のようにモノラル録音でSP時代であるからどの曲もほぼ3分半以内と言う短さである。つまり現在のように長時間の録音が出来なかったというよりも、1枚のレコード盤に収めてしまうには長い曲が入れられなかったという制約があったのだろう。だから実際のライヴと違っていざレコード盤に収録となると1曲の長さも3分程度に短縮していたのだろう。それがクラシック音楽となると、演奏の途切れがなく一つの楽章でも長いのが多いので、交響曲1曲が何枚かのSP盤に分割して収録されていて、曲の途中でレコード盤を変えなくてはならいという不都合があった。曲の途中で盤を変えるなんて、今のデジタルで育った人には判らない苦労だろうな。考えてみると今のCDとは大違いである。その後に誕生したLP盤時代でもベートーヴェンの第9なんか、2枚組でも第3楽章の途中で切られていたりして不愉快だったものだ。そういった意味においてはデジタル時代になり便利にはなったし、音楽がより日常的になったということかもしれない。なにしろ戦後間もい頃は蓄音器すら各家庭になかっただろう。なので実際に音楽を聴くとなると生演奏でしか接することが出来なかった。あとはラジオか映画ということで、そういった時代だから『リンゴの唄』が長い間、巷ですたれずに流行ったのだろう。
 そういった第2次世界大戦後、間もない頃にこのアルバムは録音されていると言っても、寄せ集め的な物であるが・・・・・・。全13曲で『ブルーン・ブギー』『グルーヴィン・ハイ』『ディジー・アトモスフィア』『オール・ザ・シングス・ユー・アー』『ホット・ハウス』『ソルト・ピーナッツ』『ウー・バップ・シュバム』『ザッツ・アール・ブラザー』『シングス・トゥ・カム』『ワン・ベース・ヒット・パート2』『レイズ・アイディア』『アワ・ディライト』『エマソン』以上である。
 曲の大半はディジー・ガレスピーによって書かれたもので、現在でもよく演奏される曲が多いのが判る。この頃はスウィング・ジャズからちょうどビ・バップにジャズそのものが変わる変革期であって、その中心にチャーリー・パーカーやバド・パウエルとともに当然ディジー・ガレスピーがいた。それでジャズ演奏もビッグ・バンドからコンボ主体の演奏に移行しつつあったのだが、このアルバムはコンボ演奏もあり、ビッグ・バンドの演奏もある。ディジー・ガレスピーは当時アドリブのソロをフューチャーした時代になていたもののコンボ演奏もしつつ、一方ではビ・バップらしき要素を加味してこの当時はビッグ・バンドでの演奏活動をしているのである。だから収録に参加したメンバーを見ても判るが、チャーリー・パーカー(as)、デクスター・ゴードン(ts)、ミルト・ジャクソン(vib)、ケニー・クラーク(ds)、レイ・ブラウン(b)、アル・ヘイグ(pf)といったジャズの巨人が加わっている。こういったメンバーを得てスウィング・ジャズ時代になかった方法で訴えてくる。これこそ以前のジャズとは違って新しい時代を予感させる演奏である。
 したがってスウィング・ジャズ時代にあったような演奏スタイルから脱皮し、よりソロが強調されるようになり、その後のモダン・ジャズに至る過程の中で、ビ・バップの初期とはこういうものであったというような演奏が、このアルバムには残されている。ビ・バップというものが生まれるにおいてチャーリー・パーカーがいてディジー・ガレスピーの両者が参加しているというだけでこのアルバムの価値はある。ディジー・ガレスピーは圧倒的な演奏スピードとハイノートと呼ばれる高音を奏でることで有名だが、当アルバムでは幾分、それは抑えているかなと言った印象は受けるものの、チャーリー・パーカーやミルト・ジャクソンのソロを活かしつつ、ガレスピー自身もやるべきことはきっちり仕事しているというような感じが受けるアルバムである。少なくとも後年、マイルス・デイヴィスやジョン・ゴルトレーンが登場するまでは、こういった感じのビ・バップがモダン・ジャズと言われていたのだろう。


Groovin' High の演奏。相変わらず上に曲がったトランペットをディジー・ガレスピーは吹いている。

EDIT  |  09:33  |  音楽(ジャズ)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  Top↑

*Comment

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除するのに必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示
 

*Trackback

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

 | BLOGTOP |