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2008.02.08 (Fri)

吉川英治の『三国志』を読む

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 日本人には『三国志』を好きな人が多い。古代中国における100年間の勇壮な治乱興亡の物語。歴史物語も数あれど、これほど愛され続け、読まれ続けている話も多くは無い。それが『三国志』なのである。

 そもそも『三国志』とは、中国の後漢末期から三国時代にかけての100年間(紀元180年頃~280年頃)の正史である。つまり日本では、卑弥呼が収める邪馬台国が存在したといわれる時代である。そんな古代に、中国では正式な歴史を記録した書物が既にあったというから、何と歴史の深い国なのか驚嘆する。

 そんな『三国志』であるが、書いたのは陳寿である。でも読み物としてはあまり面白くない。だが、後年に羅貫中らによって書かれた『三国志演義』という物語風の書物が世に出てきて、これが世間に広がったのである。したがって現在語られることの多い『三国志』は、この『三国志演義』が元になっていることが多い。

 さて、日本では『三国志』が何故、こんなに人気があるかというと、それは吉川英治の小説があるからであろう。吉川英治は昭和14年8月~18年9月にかけて朝日新聞へ『三国志』を連載していた。結局、その『三国志』に人気が出て、ロングセラーとして売れ続けているという。だから日本人の知る『三国志』というのは、吉川英治の書いた『三国志』が規範となっているのだろう。それほどインパクトの強い小説だったのかもしれないが・・・・・・。

 それでは吉川英治の書いた『三国志』のあらすじを簡単に紹介するとしよう。

 西暦184年、中国では政治が腐敗しきっていた。それでついに黄巾族による反乱が起こってしまった。その反乱を鎮圧するために劉備玄徳は同志の関羽、張飛と桃園にて義兄弟の契りを結び、鎮圧に乗り出すのだった。

 反乱は鎮圧したものの混乱に乗じて菫卓が権力をにぎり、恐怖政治を行う。すると魏の国で勢力を拡大していた曹操が反菫卓として立ち、そこへ劉備も加わる。菫卓は逃げ延びるが養子の呂布に殺され、時代は群雄割拠の時代へと突入する。

 こんな時代の権力者として、曹操が中国の天下統一に燃え進軍を開始する。劉備玄徳は天才軍師・諸葛亮孔明を迎え、呉の孫権と協力する。蜀呉連合の軍は、赤壁の戦いで曹操の軍を破る。これにより劉備は蜀を平定し、三国時代に入る。

 劉備は曹操に挑むが今度は、魏と呉が手を結び義兄弟の関羽が呉によって討ち死にする。呉に復讐しようとする劉備も病に倒れて、後を孔明に託し世を去る。しかし、曹操もまもなく病死。今や蜀のため戦う諸葛亮孔明であるが、魏には司馬仲達という名軍師がいて、戦いはなかなか終わろうとしない。終いには要の孔明までが五丈原で病に倒れ死去。その後、蜀は魏によって滅ぼされ、魏も司馬一族によって滅び、呉も晋によって滅ぼされる。

 以上が簡単な吉川英治の『三国志』であるが、主人公となるべき人物は劉備玄徳であり、途中からは諸葛亮孔明である。したがって蜀の人物から見た『三国志』の興亡ということになる。つまり曹操や孫権は飽くまでも敵であり、一般的に言って悪人扱いなのである。だから劉備玄徳しかり関羽しかり張飛しかりで、彼等は人情味のある人間として描かれていて、諸葛亮孔明にいたっては、超人的な部分が在り、この物語のスーパーマン的ヒーローであるといっても過言ではない。だから吉川英治が最も思い入れしたのが孔明であることは読んでいて一目瞭然で、孔明が亡くなった時点でこの話は終わっている。

 よく『三国志』は実話が7で、作者の創作が3と言われるが、吉川英治の場合は想像で書いた部分がかなり含まれていると思う。でも、この創作部分により登場人物に人格と表情を与え、表現することで話がより活性化し、だらだらと長大な叙事詩を、興味ある男のロマンが内包された物語に変貌しているのである。とにかく私がつべこべ御託を並べてもしょうがない。登場人物が多すぎるのと、同じ人物が二度死ぬなど、欠点はあることはあるが、読んでない人は一度読んでもらいたい。それが吉川英治の『三国志』である。
                                                      

 
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