2014.12.21 (Sun)
イエスのアルバム『こわれもの』を聴く

イエス(YES)というロックバンドは一応プログレッシヴ・ロックに入るらしい。入るらしいといっても当時、プログレッシヴ・ロックなんて言い方はしなかったから、後年に言われるようになっただけである。その中にはキング・クリムゾン、ピンク・フロイド、エマーソン・レイク&パーマーなんていうのも含まれるが、全てアメリカではなくイギリスから生まれるというのは面白い現象である。だから小生は土臭いアメリカン・ロックよりもブリティッシュ・ロックの方が好きだったのかな。
このイエスのアルバム『こわれもの』が発売されたのは1972年だったと思うがはっきりは覚えてない。それ以前から存在したバンドである。ただこの『アルバム』の中の『ラウンドアバウト』がラジオで何度か流れていたので覚えているぐらいだ。でもあまり印象に残ってない。後に何故イエスがプログレッシヴに分類されるのかも判らなかった。それで小生1980年代になってCDが世に出るようになってから、この『こわれもの』を買い求めて聴いてから、ああなるほどと思った次第である。プログレッシヴ・バンドなんてシングルカットされた曲だけを聴いていては判らない。アルバムをトータルで聴いてやっと判る代物である。ところで顔見知りの20代の若い子が、このイエスの『こわれもの』というアルバムを持っているという。「どこで知ったの?」と尋ねると最近のアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』のエンディングに使われたという。そこからイエスの名を知り、原曲が『ラウンドアバウト』だからということでアルバムを持っているのだということらしいのだが、 彼は残念ながらアルバムのその他の曲を聴いていないらしい。何とももったいない。今時の若者らしい聴き方でがっかりした。今はCDが売れないのだ。ネット販売で好きな曲だけ配信で買えるから、聴きたくない曲は買わないのだ。だからあの当時のコンセプトアルバムなんて意味がないのだと思った。それにCDの9曲目に入っている『燃える朝やけ(Heat Of The Sunrise )』は2、3年前の日産のテレビCМにも使われているのにな。
イエスの『こわれもの』に関しては冒頭と最後に収められている『ラウンドアバウト』は8分ほどもある曲だが、もっとも小生が聴いて驚いたのは2曲目の『キャンズ・アンド・ブラームス』である。歌詞はなくキーボード奏者のリック・ウェイクマンがブラームスの交響曲3番の3楽章を弾いているということ。クラシックの曲をそのままキーボードで弾くと言いうのは、かつてエマーソン・レイク&パーマーがアルバム『展覧会の絵』で試みていたから珍しいことではないが、アルバムの展開としてはここでクラシックのインスルメンタル曲が来るか? と思った。これでイエスがプログレッシヴ・ロックに属す一因になったかもしれないが、やはり中心となるのはキーボードである。プログレッシヴ・ロックにはギターよりもキーボード、シンセサイザー、メロトロンがフューチャーされる場合が多く、ここらはハード・ロックあたりとは大きく違っている。それとあと一つ、10曲目にサイモン&ガーファンクルの『アメリカ』のカバー曲が収録されている。もっともLP盤には入ってなかったが、CDにはボーナストラックとして収められているのだが・・・・。
ところでイエスと言うバンドの歴史は意外と古いのだ。1,968年にはバンドの母体が出来上がっている。だからピンク・フロイドやキング・クリムゾン同様、60年代後半に出てきたバンドである。1969年にはファーストアルバム『イエス』を出している。その時のメンバーはクリス・スクワイア(ベース)、ジョン・アンダーソン(ヴォーカル)、ビル・ブルーフォード(ドラムス)、ピーター・バンクス(ギター)、トニー・ケイ(キーボード)だった。当時はプログレッシヴ的ではなく、どちらかというとサイケデリック・ロックと言ってもいいかもしれない。サイケデリックと言うのが流行ったからな。でも日本ではさほど注目されなかった。結局はメンバーの入れ替えがあり、リック・ウェイクマンが入り、この4枚目のアルバム『こわれもの』で知名度が上がったバンドである。だからピンク・フロイドやキング・クリムゾン、ELPに比べると後から出てきたバンドのようなイメージがあったのである。そして5枚目のアルバムとして『危機』がリリースされた。しかし、この後にビル・ブルーフォードはキング・クリムソンに移籍する。何ともおかしなことになっているが、代わりにジョン・レノンのプラスティック・オノ・バンドでセッションに参加していたアラン・ホワイトが加わるなど、イエスはメンバーを度々入れ替え、活動停止も含め、現在でも活動している。でも小生はイエスを知っているのは最初の3、4年と言うことになるかな。まあ、歳とって今ではロックもあまり聴かないから、70年代ぐらいまでしか詳しいことは知らないが。
ラウンドアバウトの演奏(1991年)
*Trackback
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
| BLOGTOP |