2015.02.15 (Sun)
映画『博士の異常な愛情』を観る
『博士の異常な愛情』1964年制作、イギリス/アメリカ映画
監督 スタンリー・キューブリック
出演 ピーター・セラーズ
ジョージ・C・スコット
スターリング・ヘイドン
キーナン・ウィン
スリム・ピケンズ
ピーター・ブル
【あらすじ】アメリカの空軍基地バープルソン。司令官のリッパー将軍が突然のようにB52爆撃機34機にソビエト連邦への核攻撃を命じる。これはR作戦と呼ばれ第2次世界大戦で使用された全ての爆弾・砲弾の16倍の破壊力の水爆を搭載していた。そしてペンタゴンでの会議中にそのことが伝わる。マフリー大統領はその命令は自分以外は出来ない筈だと言うが、リッパー将軍は気が狂って命令を発したようである。これは大事だと捉えたアメリカ首脳は直ちにソ連大使をペンタゴンに呼び、ソ連の首相とのホットラインで対話をする。するとソ連は核攻撃に備え、もしソ連が攻撃を受けた場合、自動的に発射され爆発して地球上のありとあらゆる生物が死滅する放射線物質を降下させる爆弾が配備されていることが判る。つまり人類皆殺し装置である。アメリカがソ連に核爆弾を投下した段階で皆殺し装置は発射される。それ故に誰も止めることが出来ない。これは大変だとアメリカとソ連との間で喧々囂々となる。アメリカ側は策を講じ暗号を解読し作戦中止の命令を発す。大半の爆撃機は攻撃を中止し帰還する。それ以外は爆弾を投下される前に爆撃機をソ連側が撃墜してくれと頼みこむ。ソ連側は3機を撃墜。ところが1機だけが撃墜もされず、帰還命令受信も届かず目的地に向かって進撃していた。ミサイル攻撃をかわしたときに被害を受けたが破損のみで、計器や受信器全てが故障。やむなく低空で目的変更してシベリアの基地を目指して飛び続けるのでレーダーにもかからなかった。とうとう事はなされ、たった1機のB52が落した水爆が爆発。これにより人類皆殺し装置が発射される。もうきのこ雲の雨嵐・・・・・。そして美しい音楽と共に映画が終わる。
この映画を初めて観たのは学生の時だったかな。何とも恐ろしいブラック・ユーモア満載の映画である。スタンリー・キューブリックが『2001年宇宙の旅』を撮る前の作品が本作品である。副題に『または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』とついている。この映画では登場シーンこそ少ないがストレンジラヴ博士が登場する。彼はドイツから帰化した大統領化学顧問であり側近である。脚が悪く車椅子に乗っていて、大統領を総統と言い間違えるのもナチス・ドイツ時代の名残で、興奮してくると義手が勝手に動いてしまい、それを左で押さえつけるなど奇行が目立つ人物で絶えず薄気味の悪い笑みを浮かべ、人類が生き残るための自説を展開。何とも不気味な博士をピーター・セラーズが演じていて、大統領もピーター・セラーズ、リッパー将軍の副官のマンドレイク大佐もピーター・セラーズという一人3役で出演している。
冷戦時代の産物のような映画であるが、とにかく当時の社会情勢から考えると必然的に出てきた映画のように思える。この映画制作直前にはキューバ危機というものがあったし、何かとアメリカとソ連が対立していた時代の映画である。それを鬼才キューブリックが彼特有のアイデアで、偶発的なことから核攻撃が始まり人類滅亡と言う最悪のシナリオが待っているという様をシニカルに描いている。登場心物は全て利己的で邪悪。精神を害しているし、まさに皮肉たっぷりの風刺コメディである。小生、このおぞましい内容にもかかかわらず、この映画を観ていて笑いが絶えなかった。下手なコメディよりもよほど面白い。ただ現実に起こりえたら笑ってはいられないが・・・・。
ところで全編、『ジョニーが凱旋するとき』が流れ、最後に核爆弾が連続して爆発を繰り返すところではイギリスの歌手ヴェラ・リンが歌う『また会いましょう(We’ll Meet Again)』(1939年)の甘美なメロディが流れる。
We’ll meet again,
Don’t know where, don’t know when.
But I know we’ll meet again, some sunny day.
Keep smiling through ,
Just like you always do,
Till the blue skies chase those dark clouds, far away.
So I will just say hello,
To the folks that you know,
Tell them you won’t be long,
They’ll be happy to know that as I saw you go
You were singing this song
We’ll meet again,
Don’t know where,don’t know when.
But I know we’ll meet again, some sunny day.
エンディング
監督 スタンリー・キューブリック
出演 ピーター・セラーズ
ジョージ・C・スコット
スターリング・ヘイドン
キーナン・ウィン
スリム・ピケンズ
ピーター・ブル
【あらすじ】アメリカの空軍基地バープルソン。司令官のリッパー将軍が突然のようにB52爆撃機34機にソビエト連邦への核攻撃を命じる。これはR作戦と呼ばれ第2次世界大戦で使用された全ての爆弾・砲弾の16倍の破壊力の水爆を搭載していた。そしてペンタゴンでの会議中にそのことが伝わる。マフリー大統領はその命令は自分以外は出来ない筈だと言うが、リッパー将軍は気が狂って命令を発したようである。これは大事だと捉えたアメリカ首脳は直ちにソ連大使をペンタゴンに呼び、ソ連の首相とのホットラインで対話をする。するとソ連は核攻撃に備え、もしソ連が攻撃を受けた場合、自動的に発射され爆発して地球上のありとあらゆる生物が死滅する放射線物質を降下させる爆弾が配備されていることが判る。つまり人類皆殺し装置である。アメリカがソ連に核爆弾を投下した段階で皆殺し装置は発射される。それ故に誰も止めることが出来ない。これは大変だとアメリカとソ連との間で喧々囂々となる。アメリカ側は策を講じ暗号を解読し作戦中止の命令を発す。大半の爆撃機は攻撃を中止し帰還する。それ以外は爆弾を投下される前に爆撃機をソ連側が撃墜してくれと頼みこむ。ソ連側は3機を撃墜。ところが1機だけが撃墜もされず、帰還命令受信も届かず目的地に向かって進撃していた。ミサイル攻撃をかわしたときに被害を受けたが破損のみで、計器や受信器全てが故障。やむなく低空で目的変更してシベリアの基地を目指して飛び続けるのでレーダーにもかからなかった。とうとう事はなされ、たった1機のB52が落した水爆が爆発。これにより人類皆殺し装置が発射される。もうきのこ雲の雨嵐・・・・・。そして美しい音楽と共に映画が終わる。
この映画を初めて観たのは学生の時だったかな。何とも恐ろしいブラック・ユーモア満載の映画である。スタンリー・キューブリックが『2001年宇宙の旅』を撮る前の作品が本作品である。副題に『または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』とついている。この映画では登場シーンこそ少ないがストレンジラヴ博士が登場する。彼はドイツから帰化した大統領化学顧問であり側近である。脚が悪く車椅子に乗っていて、大統領を総統と言い間違えるのもナチス・ドイツ時代の名残で、興奮してくると義手が勝手に動いてしまい、それを左で押さえつけるなど奇行が目立つ人物で絶えず薄気味の悪い笑みを浮かべ、人類が生き残るための自説を展開。何とも不気味な博士をピーター・セラーズが演じていて、大統領もピーター・セラーズ、リッパー将軍の副官のマンドレイク大佐もピーター・セラーズという一人3役で出演している。
冷戦時代の産物のような映画であるが、とにかく当時の社会情勢から考えると必然的に出てきた映画のように思える。この映画制作直前にはキューバ危機というものがあったし、何かとアメリカとソ連が対立していた時代の映画である。それを鬼才キューブリックが彼特有のアイデアで、偶発的なことから核攻撃が始まり人類滅亡と言う最悪のシナリオが待っているという様をシニカルに描いている。登場心物は全て利己的で邪悪。精神を害しているし、まさに皮肉たっぷりの風刺コメディである。小生、このおぞましい内容にもかかかわらず、この映画を観ていて笑いが絶えなかった。下手なコメディよりもよほど面白い。ただ現実に起こりえたら笑ってはいられないが・・・・。
ところで全編、『ジョニーが凱旋するとき』が流れ、最後に核爆弾が連続して爆発を繰り返すところではイギリスの歌手ヴェラ・リンが歌う『また会いましょう(We’ll Meet Again)』(1939年)の甘美なメロディが流れる。
We’ll meet again,
Don’t know where, don’t know when.
But I know we’ll meet again, some sunny day.
Keep smiling through ,
Just like you always do,
Till the blue skies chase those dark clouds, far away.
So I will just say hello,
To the folks that you know,
Tell them you won’t be long,
They’ll be happy to know that as I saw you go
You were singing this song
We’ll meet again,
Don’t know where,don’t know when.
But I know we’ll meet again, some sunny day.
エンディング
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