2017.05.21 (Sun)
ビゼーの組曲『アルルの女』を聴く

フランスの作曲ジョルジュ・ビゼーといえば何の曲が1番有名だろうかと考えたらほとんどの人が『カルメン』と答えるだろう。でも演奏会で演奏される前奏曲や闘牛士の歌、ハバネラ等は演奏会用の組曲であってオペラ版の演奏ではない。従って本来は歌が入るものだが、大方の人は歌の入らないカルメンの曲を知っているに過ぎない。だからオペラ『カルメン』を観てくれと言いたいが、オペラとなると組曲の1曲をを聴くのと違って忍耐力もいるし聴く方も構えなくてはならないのか敬遠される。でも世界中のオペラの中で最も上演回数の多いオペラである。すなわち最も有名なオペラと言ってもいい。つまりヴェルディのオペラやワーグナーのオペラよりも人気があるってことだろう。そのオペラの中の1曲1曲が有名と言うことになるのである。つまりビゼーというのは『カルメン』で有名な作曲家といっても過言ではないのだ。でも多くの曲を作曲しているが、その他はあまり聴かれないような気もする。一応、交響曲も3曲書いているしカンタータやピアノ曲も作曲しているのだが演奏回数は『カルメン』に比べると遥に少ないように思う。一般的にはオペラの作曲家のように思われていて、実際『真珠採り』『美しきパースの娘』『イワン雷帝』といったオペラやオペレッタの曲が多い。それと劇附属音楽というものがある。それが『アルルの女』である。そもそもドーデの同名の戯曲の伴奏音楽として1872年に作曲されたもので全27曲ある。でも全曲演奏となると流石に長い。そこでビゼーは演奏会用に組曲を再編した。それが『アルルの女』組曲である。第1組曲と第2組曲があり、それぞれ4曲ずつある。第1組曲が前奏曲、メヌエット、アダージェット、カリヨン、第2組曲がパストラール、間奏曲、メヌエット、ファランドールからなる。ただしビゼー自身の編集によるのは第1組曲であって第2組曲はビゼーの編集ではなく、ビゼーの友人でパリ音楽院の教授をしていたエルネスト・ギローにようるもので、ビゼーの死後管弦楽法に優れていたギローが煌びやかな管弦楽曲に編曲している。したがって第2組曲の有名なメヌエットは実は『アルルの女』からの編集ではなく、ギローがビゼーのオペラ『美しきパースの娘』の中の曲を『アルルの女』第2組曲に組み込んでしまったのである。今では第2組曲で1番人気のある曲かもしれない。実のところこういった事情を全く知らず、ビゼーのメヌエットといえば『アルルの女』第2組曲のメヌエットと連想されるほど有名になってしまったのである。フルートとハープによる美しい曲で、今日では戯曲『アルルの女』が上演されるとき第3幕の前に演奏されることが一般化してしまったようだ。
このメヌエットはフルートが強調されるが、フルートという楽器は唇の薄いフランス人に向いた曲と言われる。ランパルを始め名手を大勢生んだフランスであるが、ホルンのような理屈っぽい人向きではなくラテン人に向いているとも言われ、それだけに人気のある楽器で、比較的に平凡なタイプの人の方が上達しやすいらしい?
もっともフルートの名手となるとそれすなわち非凡ということになるようで、奇想天外な考えをしたり突拍子もない意見を言う人はこの楽器に向いてないそうです。物事を常識的に判断して処理をするという型の人がフルートに向いているととある音楽家が言っていたのである。ついでに言うとクラリネットはユーモリスト。ファゴットは道化のような人。物事にこだわる追求型の人はチェロが向いているという。またトランペットは長命の相。トロンボーンは呑べえの相。オーボエははげ頭の相。これには理由があるらしい。本当かなとは思うがそれなりに理由があるらしい。
話は脱線したが、今日に演奏される『アルルの女』といえばほとんどが、この第1組曲と第2組曲で劇音楽の方は長いので演奏されることが少ない。でもビゼーの神髄はオペラ作曲家であっただけに組曲よりも戯曲の附属音楽の27曲を聴く方が良いんだろうけど演奏されることが非常に少ないというのが現実である。
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