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2008.02.29 (Fri)

芝生のお話

 見事なまでに美しい阪神競馬場の芝
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 明日からJRA(日本中央競馬会)の競馬開催は、競馬場が代わって関東は中山競馬場、関西は阪神競馬場、ローカルで中京競馬場開催となる。それで今年の冬は当初、暖冬の予報だったのが見事にはずれてしまい、連日の雪、みぞれ、雨で寒風吹きさらし、競馬場の馬場も例年以上に荒れていた。そのせいかもしれないが、何時になくレース中の故障も目立っていて、観ていてあまり気持ちの良いものではなかった。でも最近、競馬に目覚めた方はあまりご存じないと思われるが、1980年代までの冬の競馬場というのは、もっと馬場が荒れていた。・・・いや寒々しいというか、芝が枯れていて、今のように青々とした芝ではなかったのだ。

 私が競馬に興味を持ち出した昭和40年代の前半というのは、馬場の内側半分が剥げていて、外側の芝が剥げてない所でも冬場になると芝が枯れるので、土の色と同化してしまい、芝が生えているのか剥げているのかスタンドからでは判らないほどであった。だから5月ぐらいから10月までの競馬場は芝が青々としていて、観ていても気持ちが良かった。それが11月になると途端に芝が枯れ出し、薄い茶褐色に変化してしまう。だから馬場が見た目以上に悪化している感じがしたものである。

 何故、そうなるかというと日本の競馬場は野芝と言って、日本在来の芝を長い間使っていたからである。そもそも芝というのはイネ科の多年草の総称で、見た目が美しいから、昔から造園に使われてきたのである。だが、日本の野芝というのは、日本の本州以南に自生している芝で、高温多湿に適応しているが、気温が23℃以下になると生育が停まってしまい、葉が変色してしまうのである。ところが、この芝は繁殖方向が直線的で伸びが速いという長点があり、アスファルトの隙間でも生えるなど踏圧に強い。だから競馬場で使われていたのだが、緻密な生え方をしないのが欠点であった。そういったことで、競馬場で使われたが、ゴルフ場やサッカー場、野球場では野芝は用いられず、こういったところでは、主に高麗芝、姫高麗芝等が用いられたのである。

 このように昔から日本の競馬場や野球場、ゴルフ場とかで芝生が植えられているのを見かけられたものであるが、気温が低くなる11月になると、芝が冬枯れしてしまい、青々とした美しさは消えいったから、まことに残念であったものだ。これは、日本の在来芝というものが、全て夏型の芝であるからで、種類としては中芝、大高麗芝、高麗芝、姫高麗芝、ビロード芝、朝鮮芝等が挙げられる。

 一方、冬でも青々とした芝というものがある。それは西洋芝である。いや、冬は強いが、日本の芝と反対に夏に弱いというべきかもしれない。でも西洋芝は草丈も長く冬に強いので、日本の芝が冬枯れする中でも青々としているのである。とはいうものの踏圧に弱く、夏場になると病害虫に気をつけなければならない。つまり野芝は冬に弱く、西洋芝は夏に弱いと、まるで正反対の芝どうしなのである。

 さあ、こうして芝の特徴を語ったが、この野芝と西洋芝の何処が違うのかと・・・・・。そこでお互いの欠点を補う方法としてオーバーシードが開発されたのである。

 オーバーシードとは、1980年代後半に開発された天然芝の育成システムで、芝の二毛作とも言う。こうして野芝が枯れかかったときに、西洋芝の種を蒔き、冬でも青々していてる錯覚に囚われるのである。こうして年から年中、芝の青さを保てるシステムが一般化されると、これらはさっそくサッカー場や野球場で使用されるようになった。それは競馬場でも例外ではなく1991年の師走開催となった阪神競馬場で初めて試みられたのである。

 1991年の年末であっただろうか。一年半にも及ぶ閉鎖で、阪神競馬場は全面的に改築され、久々に競馬開催日を迎えた。そして、私は朝早くから新装オープン成った阪神競馬場に入場した。新しいスタンドに屋根つきのパドック、余りにも斬新な造りに驚いたのであるが、それ以上に驚愕したことがある。それは芝生がヨーロッパの競馬場のように青々としていたことである。それは過去の競馬場ではお目にかかれない光景であった。師走だというのに何という芝生の美しさだろうか・・・。目の前で見られる阪神競馬場の芝生の青さに比べて、テレビから映し出される同時開催の中山競馬場の冬枯れた芝生が哀れに思えて仕方が無かった。私はオーバーシードという言葉を、その時に初めて聞いたが、何のことなのかさっぱり判らなかったが、この時に言葉の意味が判明したのである。

 このようにして阪神競馬場で行われたオーバーシードは、翌年から全国の競馬場で行われるようになり、今では冬場でも競馬場の芝生は青いというのが、当たり前の現象となってしまったのである。夏は日本在来の野芝を使い、冬は野芝と併用してライグラスやトールフェスクといった西洋芝を使うようになった。西洋芝は芝丈が高く、芝丈の低い野芝を覆い隠すように生えている。でも欠点は踏圧に弱く痛み易い。だから最近はライグラスに加えてフェスク類の芝まで一緒に使用することが多くなった。フェスクは寒地型と暖地型、両方の性質を持ち、気温に適応力がある。だから夏場でも野芝と一緒に使われることがあるのだ。

 さて、明日からの中山開催は野芝にイタリアン・ライグラス、トールフェスクといった芝を混同させたコースを使うらしい。一方、阪神は野芝とイタリアン・ライグラスの混同芝である。まだまだ寒く、馬場も固いと思うが、芝がクッションになって高速で走るサラブレッドの脚を守っていると考えると、芝一つとっても気になるものである。どうか故障馬が出ませんように、祈るような気持ちでレースを見守りたいと思う。

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*Comment

♪はじめまして

 宮チンさん、はじめまして。
凄い情報量と言っても、私はただ皆さんよりも長い間、人生を送っているだけです。亀の甲より年の功・・・・・・というものです。
uncleyie |  2008.03.01(土) 17:26 |  URL |  【コメント編集】

凄い情報量ですねφ(._.)メモメモ
宮チン |  2008.03.01(土) 01:57 |  URL |  【コメント編集】

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