2008.06.19 (Thu)
クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングのアルバムを聴く『デジャ・ヴ』

この長い名前のグループは1960年代末期から1970年代初頭にかけて活躍した。結成は1969年で、バッファロー・スプリングフィールドにいたスティーヴン・スティルス、バーズにいたデヴィッド・クロスビー、ホリーズにいたグラハム・ナッシュの3人が集まってクロスビ゛ー、スティルス&ナッシュという名前でスタートした。そして早速、1969年8月のウッドストック・ロック・フェスティバルに出演し、この時は『青い目のジュディ』を唄い好評を博し、美しいハーモニーを披露した。その後、バッファロー・スプリングフィールドに在籍したニール・ヤングが加わりクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングという名前に成り、このアルバム『デジャ・ヴ』を1970年3月にリリースしたのである。
この通称CSN&Yの『デジャ・ヴ』は才能のある4人の個性が集約された名盤で、発売されるや爆発的に売れたのである。収録曲は『Carry On』『Teach Your Children』『Almost Cut My Hair』『Helpless』『Woodstock』『Deja Vu』『Our House』『4+20』『Coutry Girl』『Everybody I Love You』の10曲で、冒頭の曲『キャリー・オン』はスティーヴン・スティルスの作で、アコースティック・サウンドとエレキ・サウンド混合の名曲で彼らのハーモニーがフルに発揮される。『ティーチ・ユア・チュールドレン』『アワ・ハウス』は何れもグラハム・ナッシュの曲で、『ティーチ・ユア・チュールドレン』は映画『小さな恋のメロディ』にも挿入された優しい曲である。『オールモスト・カット・マイ・ヘアー』『デジャ・ヴ』はデヴィッド・クロスビーの作になり、『ヘルプレス』はニール・ヤングの曲で、映画『いちご白書』の中で使われていた。ニール・ヤングの甲高い声が少し気になるが、印象に残る曲である。このように彼ら4人の曲が集合し完成したアルバムが『デジャ・ヴ』で、唯一、『ウッドストック』はジョニ・ミッチェルの作である。でもCSN&Yが演奏した、このアルバムに入っている『ウッドストック』が映画『ウッドストック』のタイトル曲に使われたのである。
このように4人の名前をくっつけただけのグループ名を持つクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングは、或る時は集まってある時はソロで活動するというグループのようなセッションのようなグループであった。要は仲間同士で何かをやりたい時は集まって、ソロでやりたければ各自勝手に活動をする。つまり縛られるのがきらいな連中がお互いの個性をぶつけるのには、このような関係でいる方が音楽活動を末永く続けられるのかもしれない。だからグループは解散したというのでもないが、1970年代中頃にはグループの活動を停止している。実際にはニール・ヤングは一年ほどの在籍期間だっのであるが、その後、CSN&Yとしては1988年と1999年にアルバムを発表している。結局、グループというよりも気心の知れた音楽仲間が忘れた頃に集まって曲を発表できればいいと、そのようなグループがクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングなのかもしれないが、彼らが影響を与えたミュージシャンは数多く、レッド・ツェッペリン、イーグルスらもその中に入るのであり、CSN&Yは活動期間も短く、実態のつかめないグループであるがロック史上に名を残すグループであることは確かだ。
『青い目のジュディを演奏するクロスビー、スティルス&ナッシュ
『ヘルプレス』を演奏するクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングとジョニ・ミッチェル
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