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2007.10.22 (Mon)

比叡山の千日回峰行

 昨日の10月21日未明、比叡山延暦寺大乗院住職の星野円道さんが、「堂入り」の行を終えて無事に堂を出たという。それで、私はこの話を聞いて仰天した。

 京都の北東に比叡山という標高848mの山がある。この山は高野山と並び、昔から信仰対象の山とされ、京都の鬼門の方角にあたるので王城鎮護の山とも言われていた。そんな比叡山に天台宗の総本山延暦寺がある。

 延暦寺の修行は厳しいので有名であるが、山内の院や坊の住職になるためには最低でも3年間における籠山の修行をしなくてはならない。さらに12年籠山行というものがあり、厳しさは口で言い表わせない。そして、その上に千日回峰行があり、12年籠山行を終え、百日回峰行を終えた者の中から選ばれた者だけが許される行である。行者は途中で行を続けられなくなると自害する決まりとなっていて、首を吊るすための紐と短刀を常時携行するという。回峰行は7年間続き、700日目の回峰行を終えた日から「堂入り」が行われるのである。

 その「堂入り」なのであるが、その内容はというと、比叡山中の明王堂で9日間、断食、断水、不眠、不臥(ふが・・・横にならないの意味)の状態で不動真言を唱え続けなくてはならない。つまり天台宗の荒行千日回峰行の最難関が「堂入り」なのである。それで、昨日の未明に無事、星野円道さんが行を終えて堂を出たというから驚嘆したのである。

 この行を達成した行者は6年ぶりのことで、戦後12人目というから、如何に限界を超えた荒行かということが解るだろう。・・・・比叡山中を計1000日かけ約4万㎞を踏破する千日回峰行の最大の難関が「堂入り」というから、容易に達成できる行ではないが、寝ない、食べない、飲まない、横にならない・・・・この状態で真言を10万回唱えるというから、体力も衰弱するであろう。通称「生き葬式」と呼ばれ、お供えの水を汲みに行く以外は堂を出ず、5日目から許されるうがい以外は何も口にすることが許されないのである。

 その上、介添え役や、一緒に線香をあげたりする僧侶などが常に20人はいるため、睡眠は不可能である。そして、無事に「堂入り」を終えても、体調の快復は容易でないという。食事は食べても吐いてしまうから、ジュース、流動食から始め、暫くは寝ようとしても寝られないという。

 一般的に言って、断食、断水、不眠の限界はせいぜい5日だという。脱水症状になると血圧低下で脳に血液が送られず意識朦朧となり、細胞も浸透圧の低下でミイラのようになってしまうと言うから死と隣り合わせの難行、苦行、荒行なのである。

 なお、星野円道さんは、この後、京都市内の寺社など1日84kmの行程を巡る「京都大廻り」の行が待っているという。・・・・いやはや、お寺の僧というのは、とんでもない行をやらないといけないんですね・・・・。参りました・・・。
                                
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