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2008.11.24 (Mon)

メンデルスゾーン 交響曲『スコットランド』を聴く

 オットー・クレンペラー指揮
 フィルハーモニア管弦楽団(1960年1月録音)
s-P1010453.jpg

 フェリックス・メンデルスゾーンというと圧倒的にヴァイオリン協奏曲が有名で、その他の曲というとシェークスピアの戯曲を音楽化した『真夏の夜の夢』の『結婚行進曲』や、序曲『フィンガルの洞窟』、ピアノ曲の『春の歌』、声楽曲『歌の翼に』位で、交響曲というと4番の『イタリア』が知られているかなあと思うぐらいで、総体的に私はあまり聴かない作曲家ではある。

 こんなことを言うと失礼であるが、メンデルスゾーンはヴォイオリン協奏曲だけが突出して素晴らしく、それ以外の曲はさほど素晴らしいとは思わない。とにかく管弦楽曲を聴くとどの曲も管楽器が騒々しくて、オーケストレーションが下手だなといった感想がある。でも敢えて言わしてもらうならば、交響曲3番『スコットランド』は、いい曲だとは思う。4番の交響曲『イタリア』ほど演奏される機会はないが、私個人的にはメンデルゾーンの中では最も好きな曲である。・・・・・全体的に霧のベールに覆われたような重苦しい雰囲気があり、交響曲第4番『イタリア』の出だしのような派手さは全く無い。兎に角、管楽器が鳴りを潜め弦楽器中心に曲が構成されているから嬉しいかぎりだ。

 1829年7月20日、メンデルスゾーンはスコットランドのエディンバラを訪れ、現地の古城を見た印象を書簡に纏めている。「この地方の素晴らしさに例えることの出来るのは、私の様々の体験の中でも、僅かにスイスで体験した2、3の想い出くらいです。ここでは、あらゆるものが靄の中に霞んでいます。日曜の朝、教会から出てゆく紳士達は手に手にバグパイプを携えて、スコットランド特有の衣服に身を飾り、これまた盛装の婦人に連れ添って、如何にも誇らしげです。人々は草むす古城のあたりを、声もなく歩んでいます。・・・・・今日、スコットランド交響曲の構想が私の中に浮かびました」

 しかし、この曲が完成したのは1841年。実に10年以上経過した後のことである。その間、彼はイタリアに滞在したり、ドイツに戻ったりで、都合にして6回もイギリスを訪れているが、『スコットランド交響曲』は、なかなか完成せず、推敲に推敲を重ねたと言われている。だから先に交響曲4番の『イタリア』が完成してしまったのである。

 この『スコットランド』は、各楽章を中断せず続けて演奏するのがよいとメンデルスゾーン自身が述べていて、各楽章に休憩を入れて分断してしまってはならないと指摘している。だから聴いていても、交響曲というよりも標題付きの管弦楽曲といった印象がする。

 1楽章の出だし、オーボエとヴィオラが奏でる楽想から、いきなり霧に包まれた古城を連想させるが、甲高い金管楽器が喧しく吹かれることはあまりない。メンデルゾーンの管弦楽曲にしては木管楽器が活躍し、弦楽器が趣を加える。したがって曲全体に明るさはなく、如何にも重苦しいスコットランドの光景が、そのまま曲に展開されているような叙情的な交響曲である。

 兎に角、日本で言うならば、今頃の季節に聴くのが、この曲を理解するのに最も相応しいのではないかと思う。なかでも4楽章は、この曲の全てが集約していて、最後の396小節から490小節がコーダである。コーダはアレグロ・マエストーソ・アッサイと表記されていて、快速に、荘厳にといった意味になるのだろうか。この部分は指揮者によって解釈が大きく異なるから、聴き比べて見ると実に面白い。

 このコーダの部分、ショルティ指揮、シカゴ交響楽団の演奏では2分04秒で演奏するのに、上記の写真のクレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団の演奏では3分20秒もかかっている。これが同じ曲かと思えるほど曲のテンポが違う。曲の解釈は指揮者に任されているから、指揮者を選ぶ時に、大いに参考になる曲でもある。でも個人的には、ショルティよりもクレンペラーの解釈の方が、スコットランドの情景に合っていると私は思っているのであるが・・・・・。

 ※指揮者のオットー・クレンペラーは、このコーダについて批判的意見を持っていたらしい。クレンペラーが「スコットランド」を指揮した録音では、1960年フィルハーモニア管弦楽団とのスタジオ録音(上の写真の盤)が一般に知られているが、これは通常の演奏である。しかし、同レーベルで1966年にバイエルン放送交響楽団を指揮したライヴ録音では、第4楽章のコーダの後半95小節分をカットし、第4楽章の第2主題に基づく独自のコーダを演奏したものが残されている。この演奏では、イ長調の新たな旋律は現れず、音楽は短調のまま静かに閉じられる。

『スコットランド』の終楽章、コーダの演奏。この演奏もテンポが速い。

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