2009.12.07 (Mon)
サイモン&ガーファンクルのアルバム『明日に架ける橋』を聴く

サイモン&ガーファンクルの曲を初めて聴いたのは確1966年だったと思う。ラジオから聴こえてきた『サウンド・オブ・サイレンス』という曲に聴き入った。その時の印象は綺麗な曲だなあという印象でしかなかった。それが、映画『卒業』のテーマ曲として使われ、こんなにいい曲だったのかと再認識したものであり、その時に『スカボロー・フェア』『ミセス・ロビンソン』等もヒットし、すっかりサイモン&ガーファンクルは日本でも有名なフォーク・デュオとなった。とにかくアート・ガーファンクルの美声と、ガーファンクルに絡むポール・サイモンとのハーモニーが見事であった。
彼らは共に、1941年、ニューヨーク郊外のユダヤ人の中産階級の家庭に生れた。出会いは小学校の学芸会というから、ポールとアートは幼馴染だったのである。彼らは何かと趣味が合い意気投合しフォーク・デュオを組み、トム&ジェリーというふざけた名前で10代のときに既にヒット曲を出しているそうだが、サイモン&ガーファンクルという名で1964年にデビューし、最初のアルバム『水曜の朝、午前3時』をリリースしたのである。そして、この時に挿入されていた曲が『サウンド・オフ・サイレンス』であり、彼らの最初のヒット曲となった。でもこの時の『サウンド・オフ・サイレンス』は、後年にヒットした同じ曲と違って、ドラムスもエレクトリック・ギターもベースもなく、アコースティック・ギターだけの伴奏によるシンプルな曲であった。それが2年後にエレクトリック・ギターとベースとドラムスが加えられてフォーク・ロックの名曲として再ヒットし、その時に私はよく聴いたのだと思う。こうしてサイモン&ガーファンクルは日本でも認知されるような、有名なフォーク・デュオとなった。
そして、1970年になって早々、サイモン&ガーファンクルは一枚のアルバムを出す。それが『明日に架ける橋』である。その前の年、彼らの『ボクサー』という曲がヒットし、その曲も『明日に架ける橋』に組み込まれていた。それで私は、彼らが出した新アルバム『明日に架ける橋』の同名タイトル曲を聴いたのだった。
When you’re weary, feeling small,
When tears are in your eyes, I will dry them all,
I’m on your side. When times get rough
And friends just can’t be found,
Like a bridge over troubled water
I will lay me down.
Like a bridge over troubled water
I will lay me down.
その時の第一印象は何て美しい曲なんだろう・・・・・。それが今でもその時の印象を保ちつつ、『明日に架ける橋(Bridge over troubled water)』は名曲であるという認識が私にはある。メロディもいいし、ハーモニーもいいし、何しろ詩がいい。これを名曲といわないなら何を名曲というのか・・・・・・。もっとも今時のビートのきいた曲を聴き慣れた人の中にとっては反論があるかもしれない。でも20世紀のポップス史において残しておきたい曲の一つに入ることは間違いがないだろう。でも、私の姉はビートルズの『Let it be』に似ているから嫌いだといったが、何処が似ているのだろうか・・・・・?
1970年春、万国博覧会がちょうど大阪で開幕した頃、この『明日に架ける橋』がアルバムからシングル・カットされ流行っていた。当然、この曲がコピーしたくなり友人とギターを片手に早速2人で歌ってみたが、とても無理だったことを思い出す。あのガーファンクルの声は到底、我々のような素人では真似できないものであり、自分のどうしようもない低音を恨んだものである。
尚、このアルバムは全部で11曲収録されていて、タイトル曲の『Bridge Over Troubled Water』『El Condor Pasa』『Cecilia』『Keep The Customer Satisfied』『So long, Frunk Lloyd Wright』『The Boxer』『Baby Driver』『The Only Living Boy In New York』『Why Don’t You Write Me』『Bye Bye Love』『Song For The Asking』・・・・この中で『コンドルは飛んで行く』は、ペルーのフォルクローレに基づき、民族音楽家ダニエル・アロシアス・ログレスが1913年に発表した曲にポール・サイモン詩をつけてシングル・カットもされ、『バイ・バイ・ラヴ』もシングル・カットされたが、元はエヴァリー・ブラザースのヒット曲である。エヴァリー・ブラザースというのは彼らのアイドルであったというから、何れはカヴァー曲として彼らはステージでよく歌っているのである。しかし、今聴いても心が洗われるような曲が多く耳に心地よい。
サイモン&ガーファンクルはこのアルバムを残してデュオを解散した。その後はポール・サイモンはソロとして歌い、アート・ガーファンクルは映画に出たりして、別々の路を歩んだりしていたが、1982年だったろうか、2人がデュオとして来日し大阪と東京でライヴを敢行したことは忘れない。当時、私はポップスというものをほとんど聴かなくなっていたが、久しぶりにチケットを購入し、会場の甲子園球場へ出かけていった。場内はオールド・ファンで埋っていたが、若いファンもいて彼らの日本での人気の高さが窺えるが、ポール・サイモンがヤンキースの帽子ではなく、阪神タイガースの帽子を被って登場したことはご愛嬌であろう。こうして『サウンド・オブ・サイレンス』以下、20曲ぐらい歌ったのだろうか(流石に昔のことで覚えていない)。当然、『明日に架ける橋』を歌ったことはいうまでもないが、今年の夏だったろうか、彼らが再びデュオを組んで来日し、ライヴを行なったようである。私は行かなかったが、今でもガーファンクルはあんな美声が出るのだろうか、2人のハーモニーは息がぴったりなのだろうかと思いながら、私の青春時代を駆け巡った当時を懐かしんだのでもある。
『明日に架ける橋』を歌うアート・ガーファンクル(今年の夏のシドニーでのライヴから)・・・高音域が出にくくなっているね。往年の美声はやや褪せたか・・・・・
『ボクサー』を歌うサイモン&ガーファンクル。2人とも歳をとりました。
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