2010.01.21 (Thu)
リヒャルト・シュトラウスの交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』を聴く
アンタル・ドラティ指揮
デトロイト交響楽団
交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』

この長い題名の交響詩はリヒャルト・シュトラウスの中でも傑作の部類に入る作品であろう。でも作品としては演奏時間15分程度と短く、リヒャルト・シュトラウスの交響詩『英雄の生涯』『ツァラトゥストラはかく語りき』『マクベス』等のような雄大さはない。でも何故か愛される曲である。
そもそもティル・オイレンシュピーゲルというのは何だということになるが、どうもハンガリーのハーリ・ヤノーシュと同様、14世紀にいたドイツの悪戯者で、一説によると実在したとも実在しなかったとも言われる人物である。解説書によるとティル・オイレンシュピーゲルという名前はウン・デン・シュピーゲル(尻をよく拭け)から生れたものらしく、
悪戯をしかけた相手に「尻を拭いておけ!」という捨て台詞を残す癖があったといわれ、とにかく面白い人物で、ティルの悪戯物語は中世のドイツ人の間ではよく知られていたらしい。
そこで、この話をリヒャルト・シュトラウスはオペラにしようと構想を練っていた。だが台本を書き始めたものの頓挫してしまい、結局は交響詩として書き上げてしまったのである。書き始めは1894年で翌年の5月に完成、1895年11月5日、ケルンで初演されている。
この曲は交響詩なので、当然のように物語形式に曲が構成されているが、何気なく聴いていても物語の展開が読めてくるようで聴いていて楽しい曲である。この作品は『昔の無頼の物語によるロンド形式の大管弦楽のための』という副題がつけられていて、短いプロローグから始まり、馬に乗ったティルが市場の中で暴れまくり逃げていくと、今度は僧侶の衣装で人々の前で道徳について説教を始め、その後、ティルは美女に恋するものの失恋。ここで人類に復讐を誓うのである。その手始めに学者達に論争を吹っかけるが、敵わないとみて退散する。そして、再び悪戯を始め、とうとう捕らえられたティルは裁判にかけられ死刑を宣告される。死刑を宣告されることがいいのか悪いのか知らないが、結局は絞首刑の台の露と消えてしまうのである。
こんな曲であるがリヒャルト・シュトラウスは演奏時において、この音楽的物語に何の注釈もつけなかったのである。だから曲の解釈は指揮者や演奏家まかせで、初演の時、指揮者のフランツ・ヴェルナーに話の粗筋を聞かれたとき、聞き手の方で勝手に想像してくださいといって、この質問に答えなかったのである。しかし、後にリヒャルト・シュトラウス自身がスコアに説明の言葉を書き入れ、現在では解説用として使われている。でも曲を聴いてみると判るが、そこはどんな物でも曲に再現できると豪語するリヒャルト・シュトラウスのこと、部分部分で、ティルがつかまった、絞首刑のところだなあといったぐらいは誰でも判るようになっている。昔、昔、いたずら者がいたという風に始まって、ティルのテーマがホルンのソロで奏でられ、クラリネットが悪戯っぽい動きを表現する。でもこの曲は第1ホルンとクラリネット奏者には大敵といわれるほど難しいとされるのは、奏者にもユーモア精神がないといけないからである。日本の何処かのお堅い交響楽団の奏者のように難しい顔をして演奏していると、この曲の良さが引き出されないかもしれない。つまり楽譜どおり型どおり演奏するのではなく、少々、遊んでいるような演奏も必要ということなのかもしれない。
交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』の演奏(部分)
指揮ダニエル・バレンボイム
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
デトロイト交響楽団
交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』

この長い題名の交響詩はリヒャルト・シュトラウスの中でも傑作の部類に入る作品であろう。でも作品としては演奏時間15分程度と短く、リヒャルト・シュトラウスの交響詩『英雄の生涯』『ツァラトゥストラはかく語りき』『マクベス』等のような雄大さはない。でも何故か愛される曲である。
そもそもティル・オイレンシュピーゲルというのは何だということになるが、どうもハンガリーのハーリ・ヤノーシュと同様、14世紀にいたドイツの悪戯者で、一説によると実在したとも実在しなかったとも言われる人物である。解説書によるとティル・オイレンシュピーゲルという名前はウン・デン・シュピーゲル(尻をよく拭け)から生れたものらしく、
悪戯をしかけた相手に「尻を拭いておけ!」という捨て台詞を残す癖があったといわれ、とにかく面白い人物で、ティルの悪戯物語は中世のドイツ人の間ではよく知られていたらしい。
そこで、この話をリヒャルト・シュトラウスはオペラにしようと構想を練っていた。だが台本を書き始めたものの頓挫してしまい、結局は交響詩として書き上げてしまったのである。書き始めは1894年で翌年の5月に完成、1895年11月5日、ケルンで初演されている。
この曲は交響詩なので、当然のように物語形式に曲が構成されているが、何気なく聴いていても物語の展開が読めてくるようで聴いていて楽しい曲である。この作品は『昔の無頼の物語によるロンド形式の大管弦楽のための』という副題がつけられていて、短いプロローグから始まり、馬に乗ったティルが市場の中で暴れまくり逃げていくと、今度は僧侶の衣装で人々の前で道徳について説教を始め、その後、ティルは美女に恋するものの失恋。ここで人類に復讐を誓うのである。その手始めに学者達に論争を吹っかけるが、敵わないとみて退散する。そして、再び悪戯を始め、とうとう捕らえられたティルは裁判にかけられ死刑を宣告される。死刑を宣告されることがいいのか悪いのか知らないが、結局は絞首刑の台の露と消えてしまうのである。
こんな曲であるがリヒャルト・シュトラウスは演奏時において、この音楽的物語に何の注釈もつけなかったのである。だから曲の解釈は指揮者や演奏家まかせで、初演の時、指揮者のフランツ・ヴェルナーに話の粗筋を聞かれたとき、聞き手の方で勝手に想像してくださいといって、この質問に答えなかったのである。しかし、後にリヒャルト・シュトラウス自身がスコアに説明の言葉を書き入れ、現在では解説用として使われている。でも曲を聴いてみると判るが、そこはどんな物でも曲に再現できると豪語するリヒャルト・シュトラウスのこと、部分部分で、ティルがつかまった、絞首刑のところだなあといったぐらいは誰でも判るようになっている。昔、昔、いたずら者がいたという風に始まって、ティルのテーマがホルンのソロで奏でられ、クラリネットが悪戯っぽい動きを表現する。でもこの曲は第1ホルンとクラリネット奏者には大敵といわれるほど難しいとされるのは、奏者にもユーモア精神がないといけないからである。日本の何処かのお堅い交響楽団の奏者のように難しい顔をして演奏していると、この曲の良さが引き出されないかもしれない。つまり楽譜どおり型どおり演奏するのではなく、少々、遊んでいるような演奏も必要ということなのかもしれない。
交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』の演奏(部分)
指揮ダニエル・バレンボイム
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
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