2010.06.03 (Thu)
アレサ・フランクリンの初期の曲を聴く

小生が小学校から中学校にかけての頃であるが、ソウル・ミュージックがよくラジオで流されていた。その頃はソウル・ミュージックがどのようなものかも当然、知るはずもないが、黒人が唄う音楽だということだけは理解していた。といってもジャズも黒人の音楽、ブルースもそうである。それらが渾然一体となって小生の頭の中に沁みこんでくる。いったいどれがジャズで、どれがブルースで、どれがソウルで、どれがゴスペルでといった具合で訳も判らず、それらを全て洋楽というジャンルで一纏めにしていたような記憶がある。
レイ・チャールズ、ルイ・アームストロング、サム・クック、ナット・キング・コール、ウィルソン・ピケット、スモーキー・ロビンソン、サラ・ヴォーン、フォー・トップス、テンプテーションズ、オーティス・レディング、B・B・キング、サム&デイヴ、シュープリームス、ディオンヌ・ワーウィック・・・・・年数が経ち次第とそれらの黒人が奏でる音楽の色分けが出来るようになったが、特色として白人と違うのは声の質が違うということは子供ながらも認識していて、声に粘り気があってリズム感があって、とにかく唄が上手いという印象は当時からあった。
そんな頃に一人の唄い手を知った。それがアレサ・フランクリンである。あの頃のアレサ・フランクリンはソウルフルでエネルギッシュな唄い方は勿論だが、今よりも美声であった。後年に映画『ブルース・ブラザース』で相変わらずパワフルな唄を披露していたが、若いときの彼女はもっと澄み切った声でみずみずしさがあった。
最初にアレサ・フランクリンの名を意識したのはオーティス・レディングのカバー曲を唄い大ヒットした『リスペクト(Respect)』だったが、オーティス・レディングよりもより白人が唄った様な唄い方で、垢抜けしているといった雰囲気があった。その直後にはバート・バカラック作曲、ハル・デヴィッド作詞の曲で一度ディオンヌ・ワーウィックでヒットしている『小さな願い(I Say a Little Prayer)』を唄ったのであるが、小生はアレサ・フランクリン・バージョンを聴いて思わず唸ってしまった。それからというものは気になるシンガーとして現在まで続いているのだが・・・・・最近のことは余り詳しくはない。
アレサ・フランクリンは1942年にテネシー州のメンフィスで生まれた。メンフィスというとプレスリーを生んだ土地柄で、こういったアメリカ南部の音楽が育まれたきた豊な土地である事が判るが、アレサ・フランクリンが育ったのはモータウン・ミュージックで有名なデトロイトである。父が牧師で3人姉妹の末っ子だったアレサは、子供の頃からゴスペルを唄っていた。さらには父と帯同してアメリカ中を唄って周り、すでに天才歌手として通っていた。アレサ11歳の時、父はレコードをリリースする。ここでアレサは2人の姉のバックコーラスをする。さらにアレサは16歳の時、マイナーレーベルでソロデビューすることになる。これがコロンビア・レコードのジョン・ハモンドの目に留まりとうとうメジャー・デビューとなった。だが、この頃は不本意な結果しか出ず、1966年にアレサはアトランティック・レコードに移籍する。こうして最初にヒットしたのが『リスペクト』(1967年)だった。こうしてアレサ・フランクリンは日本にも知れ渡るようになったのである。
ところでこのアルバムは初期の代表的な曲ばかりが収められている。『Chain of Fools』『Save Me』『Try a Little Tenderness』『I Say a Little Prayer』『Dr.Feelgood』『It Ain’t Nessessarily So』『A Natural Woman』『Do Right Woman,Do Right Man』『See Saw』『I Apologise』『Think』『My Guy』『The House That Jack Built』『I Never Loved a Man』『I’m Sitting on the Top of the World』『Respect』
主に1960年代にアレサ・フランクリンがリリースした曲が収められていて、聴いていて懐かしさがこみ上げて来た。あれから40年にはなるが、アレサ・フランクリンは一旦、2003年に引退したが、現在は撤回して歌手活動を続けているようである。1987年には女性歌手としては初のロック殿堂入りを果し、これまでグラミー賞受賞は20回。2005年秋には大統領自由勲章を授与。今やアレサ・フランクリンはすっかり大御所となってしまったが、小生には何時までも40年前のアレサ・フランクリンのパワー溢れた唄の記憶のまま現在に至っている。
『Respect』を唄うアレサ・フランクリン。
『I Say a Little Prayar(小さな願い)』を唄うアレサ・フランクリン。
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