2008.01.03 (Thu)
古い映画を観る・・・・・『第三の男』
『第三の男』1949年製作 イギリス映画
監督 キャロル・リード
出演 ジョセフ・コットン
オーソン・ウェルズ
アリダ・ヴァリ
トレヴァー・ハワード
【あらすじ】第二次世界大戦直後の荒廃したウィーン。親友ハリー・ライムの招待でウィーンに訪れた作家のマーティンスであるが、到着するや否やハリーが亡くなったことを知らされる。ハリーの死には3人の男が立ち会っていたという。それで2人の男は判ったが、3人目の男だけが判らなかった。その間、マーティンスは何者かに脅かされ始める。そして、ここから話は思いがけない展開へと進んでいくのである。
グレアム・グリーンの原作による著名なサスペンス映画であるが、映画のために書いた原作があって、同時にシナリオも書いていたという。このような一流作家によるストーリーもさることながら、何処にこの映画の素晴らしさがあるかというと、モノクロのスクリーンに映されたウィーンの街角である。第二次世界大戦後の物々しいウィーンの光と影。巧みなカメラワークにより見事に陰影で表現し、まさにキャロル・リードの演出が冴えわたっている。また、天才オーソン・ウェルズ演じるハりー・ライムが闇の取引人として姿を現す時。ウィーンの地下水道に消えたハリー・ライムを追うマーティンスとの緊迫した映像。映画の手本ともいえるべきショットが各所に見られ、全体としては優れた映画である。ただ、アリダ・ヴァリ演じるアンナと、ハリー・ライムとの関係や、ジョセフ・コットン演じるマーティンスがアンナに密かに恋心を抱くまでの過程の描きが希薄ではないかと思える。
考えて見れは僅か1時間半ほどの中で、全てを描ききるのは難しいかもしれない。おそらく、今の時代にリメイクするならば、2時間以上の映画になってしまうだろう。つまり『第三の男』は1949年の映画であることを我々は忘れてしまっている。今の映画人は、これらの見本的な映画があってこそ、よりよい作品を生み出しているのであって、現代の視点から映画の批評をしたところで、あまり意味がないだろう。
それでなくても、この映画は、ウィーンのプラター公園の観覧車も物語に組み込まれ、随所にウィーンらしき光景が現れてくるし、ところどころに見られる時代というものを十分に感じさせてくれるのだ。そして、あまりにも有名なラストシーンに到るまで、穴がほとんどない。我々が映画を文化として捉えるならば、この『第三の男』などは、歴代に残る映画として殿堂入りは確実である。それ故に覚えておかなくてはならない作品なのである。
アントン・カラス奏でるツィターの音色で、あまりにも有名な『第三の男』のタイトル曲
マーティンスはプラター公園でハリーと落ち合う。そして、観覧車に乗り・・・・・
ハりーの葬式の後、マーティンスはハリーの恋人であったアンナ(アリダ・ヴァリ)を道路の脇で待つ。しかし、アンナは知らぬ顔をして通り過ぎる・・・・これもまた、映画史上に残る有名なラストシーンである
監督 キャロル・リード
出演 ジョセフ・コットン
オーソン・ウェルズ
アリダ・ヴァリ
トレヴァー・ハワード
【あらすじ】第二次世界大戦直後の荒廃したウィーン。親友ハリー・ライムの招待でウィーンに訪れた作家のマーティンスであるが、到着するや否やハリーが亡くなったことを知らされる。ハリーの死には3人の男が立ち会っていたという。それで2人の男は判ったが、3人目の男だけが判らなかった。その間、マーティンスは何者かに脅かされ始める。そして、ここから話は思いがけない展開へと進んでいくのである。
グレアム・グリーンの原作による著名なサスペンス映画であるが、映画のために書いた原作があって、同時にシナリオも書いていたという。このような一流作家によるストーリーもさることながら、何処にこの映画の素晴らしさがあるかというと、モノクロのスクリーンに映されたウィーンの街角である。第二次世界大戦後の物々しいウィーンの光と影。巧みなカメラワークにより見事に陰影で表現し、まさにキャロル・リードの演出が冴えわたっている。また、天才オーソン・ウェルズ演じるハりー・ライムが闇の取引人として姿を現す時。ウィーンの地下水道に消えたハリー・ライムを追うマーティンスとの緊迫した映像。映画の手本ともいえるべきショットが各所に見られ、全体としては優れた映画である。ただ、アリダ・ヴァリ演じるアンナと、ハリー・ライムとの関係や、ジョセフ・コットン演じるマーティンスがアンナに密かに恋心を抱くまでの過程の描きが希薄ではないかと思える。
考えて見れは僅か1時間半ほどの中で、全てを描ききるのは難しいかもしれない。おそらく、今の時代にリメイクするならば、2時間以上の映画になってしまうだろう。つまり『第三の男』は1949年の映画であることを我々は忘れてしまっている。今の映画人は、これらの見本的な映画があってこそ、よりよい作品を生み出しているのであって、現代の視点から映画の批評をしたところで、あまり意味がないだろう。
それでなくても、この映画は、ウィーンのプラター公園の観覧車も物語に組み込まれ、随所にウィーンらしき光景が現れてくるし、ところどころに見られる時代というものを十分に感じさせてくれるのだ。そして、あまりにも有名なラストシーンに到るまで、穴がほとんどない。我々が映画を文化として捉えるならば、この『第三の男』などは、歴代に残る映画として殿堂入りは確実である。それ故に覚えておかなくてはならない作品なのである。
アントン・カラス奏でるツィターの音色で、あまりにも有名な『第三の男』のタイトル曲
マーティンスはプラター公園でハリーと落ち合う。そして、観覧車に乗り・・・・・
ハりーの葬式の後、マーティンスはハリーの恋人であったアンナ(アリダ・ヴァリ)を道路の脇で待つ。しかし、アンナは知らぬ顔をして通り過ぎる・・・・これもまた、映画史上に残る有名なラストシーンである
*Comment
Uncleyieさん、こんにちは。
『第三の男』は、NHKBSのアカデミー賞受賞作特集などて何度か放送されています。
第三の男を巡る謎解きや、下水路での緊迫感のある追跡シーンなど、ストーリー、構成に無駄がなく見せ場がうまくちりばめられています。
確かに古い作品ですが、名作と言われるのも、よくわかります。
『ゴッドファーザー』でも、場面展開した後で、荘厳な主題曲がチターで奏でられていました。『第三の男』に使われているのはとても軽快で、楽しそうな曲です。映画に合っている、というか、映画の内容との落差を面白く感じます。
『第三の男』は、NHKBSのアカデミー賞受賞作特集などて何度か放送されています。
第三の男を巡る謎解きや、下水路での緊迫感のある追跡シーンなど、ストーリー、構成に無駄がなく見せ場がうまくちりばめられています。
確かに古い作品ですが、名作と言われるのも、よくわかります。
『ゴッドファーザー』でも、場面展開した後で、荘厳な主題曲がチターで奏でられていました。『第三の男』に使われているのはとても軽快で、楽しそうな曲です。映画に合っている、というか、映画の内容との落差を面白く感じます。
JACK |
2008.01.05(土) 12:03 | URL |
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今はCGを駆使した映画や、昔の焼き直しや、やたら血が出まくる映画が多すぎて、こんな映画を見慣れてしまうと、映画作りの原点を忘れてしまいそうです。
モノクロという派手さのない映像の中で、構図も考えカメラワークも考え、陰影を見事に活かす等、今の映画人が余り考えない初歩を垣間見られるような映画なのですから、もっと若い人に観て貰いたいと私は思います。