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2016.11.27 (Sun)

カストロが死んだ

 キューバのフィデル・カストロ前議長が90歳で亡くなったという。今の人にフィデル・カストロといってもピンとこないかもしれない。でも我々の年齢にとっては大変なネームバリューがあった。キューバ革命を成し遂げた人として当時の日本の若者の間では有名な人であった。といっても今の時代には全く合わないので何処が凄いのといわれるとそれまでであるのだが、当時のキューバの大統領バチスタの絶対的独裁政権を倒したという意味では世界的に有名な人であった。まあ今となってはカール・マルクスの書物を読む人も激減したし共産主義や社会主義を理想郷とする人もいなくなった。現実問題として世界最初の社会主義国家だったソビエト連邦が崩壊してもう20年以上になるし、当時の東欧と言われた社会主義国家も軒並み資本主義導入に至る有様。中国でも経済的疲弊から鄧小平時代にとうとう経済開放政策に移っていて一気に経済大国へとのし上がってきたことは言うまでもない。つまり現在のイメージだと共産主義国家、社会主義国家というのは独裁者、貧困、経済の停滞、言論統制、報道管制・・・・ほとんど良いイメージはない。だからといって資本主義が必ずしも絶対に良いとい言う訳でもないのだが、あの当時は東西冷戦といわれアメリカ、日本、西ヨーロッパを中心とする資本主義国家対ソビエト連邦を中心とする社会主義国家との対立があった。19世紀のマルクス主義を掲げロシアで革命を起こしたレーニンによってソビエト連邦が形成され実験的な計画経済を実践されたのだが・・・・。レーニンの死後スターリンの恐怖政治が始まり、結局の所、理想郷と思われた社会主義国家だったのだが、段々と裏の事情がわかってからは誰もユートピアとは言わなくなった。でも1960年代まではそのような考えが一部で支配していたと言うと嘘と思われるかもしれない。
 実際には理想郷どころか独裁者が蔓延り恐怖政治に走るというのが社会主義国家の変遷だと言うことは今では常識になりつつある。スターリン、毛沢東、そして金日成、チャウシェスク、今の北朝鮮もそうなのだが、ソビエト連邦崩壊後はこういった社会主義思想が崩れていき、結局は資本主義をやむなく導入しなくならなくてはいけない状態になったというところである。しかし必ずしも東欧諸国が経済的に回復したというのでもなく相も変わらず貧困のところが多い。つまり理想郷と思われた社会主義国家が崩れていき、資本主義国家ばかりが残ったと言うことになる。でも社会主義国家はまだ生きている。金日成の孫が独裁ぶりを発揮している北朝鮮。ベトナム。そしてキューバである。ベトナムなどは社会主義国家とは思えないところがある。中国もそうなんだが中国は共産党が独裁していて、経済こそは資本主義導入で急速に発展したものの報道管制、言論統制は今でもあるし、インターネットでもある部分になると規制がかかるのである。やはり社会主義国家というのは闇の部分があり国民皆平等を謳って形成されたものの理想とはかけ離れてしまったというのが現実ではある。
 さてキューバの話に戻ろう。1959年カストロは同志であるアルゼンチン出身のチェ・ゲバラ(この人のことは2009年1月12日の記事を参照してください)とともにキューバ革命を成功させる。それまでのバチスタ政権というのはとにかく酷かったからだ。フルヘンシオ・バチスタは元軍人で、軍事クーデターにより大統領についた。かつてアメリカに亡命してこともありアメリカ政府、企業のみならずアメリカのマフィアとも癒着していて私腹を肥やし国民の生活をないがしろにした。アメリカ大企業からの搾取がキューバ国民にのしかかり国民は貧困にあえいでいたもののバチスタは裕福な生活であぐらをかいていた。まあ、資本主義国家ではあり得る話なのだが、ここで登場したのがカストロである。1959年にキューバ革命を起こしバチスタ政権を倒したのである。これが当時の日本の若者を活気づかせたことは言うまでも無い。イデオロギーによる蜂起をすれば政府をも倒せるのだと思ったのかどうか判らないが、1960年の日米安保反対デモへと繋がっていく。これにより岸信介首相が退陣したことは事実である。また赤と言って共産主義者が革新的であり左翼的でり急進的と言われた時代でもある。その後、これが活発化し全共闘の時代へと進み過激化し赤軍、連合赤軍・・・・結局は自滅みたいなものである。
 つまり理想郷なんてこの世に存在しないしマルクスの思想も難はある。社会主義も資本主義も完璧ではない。今、世界では経済的行き詰まりが起きているという。かつてないほど世界視野で苦難に立たされているのだ。経済学者が四苦八苦している時期でもある。ただ当時のキューバの惨状を考えたば場合、カストロの登場は諸手を挙げて国民から支持されたことは言うまでもない。ただカストロは前大統領のバチスタがアメリカとの癒着から国を堕落させたとしてソビエトと接近し共産主義国家となった。このことからアメリカとの関係は絶たれ、キューバ危機という問題も発生した。なにしろカリブ海に浮かぶ共産主義国家であるアメリカと距離的にも近い所にソビエトが核ミサイル基地を設けたのだから問題にもなる。それ以来アメリカとは絶縁状態となり経済支援は受けられなくなりソビエトに頼ることとなるがソビエト連邦崩壊後は経済的にも苦しくなる。でもバチスタ政権時代を知るキューバの多くの国民は貧しくもあるが国から搾取されることもなく生活を送り、自ら質素 な生活を送ったカストロを尊敬し崇めていた。確かに今となっては時代錯誤かも知らないが、時代が求めた英雄であり革命家だった。それがフィデル・カストロである。
 
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