2012.01.02 (Mon)
ヴェルディの歌劇『イル・トロヴァトーレ』を観る
歌劇『イル・トロヴァトーレ』DVD
ピエロ・カップチョリ、ライナ・カバイヴァンスカ、フィオレンツァ・コソット、プラシド・ドミンゴ
指揮 ヘルベルト・フォン・カラヤン
ウィーン国立歌劇場合唱団&管弦楽団(1978年収録)
年が改まって2日目になる。日頃、時間に追われていて暇がなく、早くゆったりとした時間が欲しいと思っていてやっと正月になった。待ち焦がれた正月だけに何もしなくてもいいが、いざ正月になったらなったで夜更かしをしてしまう、せっかく時間が余計にあるのに、ただ寝て過ごしてしまうと勿体ない。テレビはくだらないから観ないが、読書をしようにも老眼が進んでしまい眼が疲れやすいから長時間は読めない。でも、どうせならこの悠久の時間を無駄に過ごしたくないと思い立ち買ってはいたが日頃、忙しくてゆっくりと観ることのできない歌劇のDVDでも観ることにした。それで今回、観たのがヴェルディの歌劇『イル・トロヴァトーレ』である。
一般的にイタリアのオペラと言うと恋愛劇が主である。ストーリーも単純なものが多くけして話が込み入ってない。しかし、この『イル・トロヴァトーレ』は数多くのイタリア・オペラの中でも話が込み入っていて私としては気に入っている。ベースは三角関係になるのだが、そこへ復讐劇が加わるという代物である。舞台は15世紀初頭ののスペイン・アルゴン地方。彼の地の貴族ルーナ伯爵の家臣フェルナンドが先代の伯爵の惨い所業を語る。彼には2人の息子がいたが、その赤子の弟の方は身体が弱く、それはジプシーに呪いをかけられたからだと思い込んでいた。こうして伯爵はジプシーの老女を捕えて火あぶりの刑にした。すると老女の娘は恨んで赤子を誘拐。間もなく火刑場の燃えさしの中から子供の骨が見つかったのである。
宮殿では女官のレオノーラが吟遊詩人(トロヴァトーレ)に恋をしたと侍女に語っていた。一方ルーナ伯爵もレオノーラに恋焦がれていてレオノーラに接近していった。その時、吟遊詩人の歌声が聞こえレオノーラが慌てて姿を見るために庭に出たきた。こうして吟遊詩人とルーナ伯爵が鉢合わせし吟遊死詩人の名がマンリーコだということを知り、ついでにレオノーラはマンリーコを愛していることを知る。憤慨したルーナ伯爵は剣を抜きマンリーコも剣を抜く。いわばこの歌劇も恋仇同士が1人の女性を奪い合う三角関係の恋愛劇なのだが、そこへ復讐に燃えるジプシー女が絡んでくるから話はややこしい。ジプシー女アズチェーナは母が火刑にされたことを恨み伯爵の赤子を奪い火に投げ込んだつもりが、実は自分の息子を投げ込んでしまったと激白する・・・・・。
こうして話が複雑に入り組んでいくのだが、オペラなんて言うのはそもそも話は単純でも、結局はオーケストラの演奏をバックにした出演者の歌唱力で退屈を補っているものである。とはいうものの初めてオペラを観た人はつまらないと感じるかも知れない。それにオペラというのは時代背景が古く、現代では考えられないような事象が話の中に起こりうるので理解しがたいところもある。でもヴェルディのオペラというのは比較的に良質のものが多くイタリア・オペラ最大の巨匠と言えるだけある。
『イル・トロヴァトーレ』全4幕で1853年1月9日にローマで初演されている。原典はスペインの劇作家グティエレスによって書かれた舞台劇だという。本来は中世の騎士物語、男女の恋愛、ジプシー女の呪いといったテーマが幾重にも含まれている舞台劇でヴェルディがオペラ化に踏み切ったのは当然かもしれない。それで、当作品を作曲するにあたり台本家のサルヴァドーレ・カンマラーノと手紙のやり取りを何10通にもわたって行ったとされ、初演前にカンマラーノが亡くなったため急遽、レオーネ・エマヌエーレ・バルダーレが字句の調整を行い、初演予定だったナポリからローマに変更されたという経緯がある。書簡によるとヴェルディ自身は歌劇の内容そのものが「美しく、想像力を刺激し、力強い場面に満ちていると思う」とし、意外にもジプシー女を主人公とみなしているらしく、母親像を描くことが少ないヴェルディにしては珍しい作品となっている。また音楽においても色々と工夫が見られ、4人の主要登場人物がそれぞれソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バリトンとそれぞれに別れ、二重唱、三重唱、合唱など見せ場が多く、ことにレオノーラのアリア『恋はバラ色の翼に乗って』、アズチェーナのアリア『炎は燃えて』、ルーナ伯爵のアリア『君は微笑み』等、聴かせどころ満載のオペラなのであるが、この『イル・トロヴァトーレ』ではマンリーコのアリア『見よ、恐ろしい炎を』が最大の注目である。とにかくテノールの最高音ともいえるハイCを出さないといけないので、歌手は緊張するという。とにかく歌劇の中でも歌唱力を試される作品としては格別面白いといっていいだろう。
第2幕『鍛冶屋の合唱(アンヴィル・コーラス)』
ピエロ・カップチョリ、ライナ・カバイヴァンスカ、フィオレンツァ・コソット、プラシド・ドミンゴ
指揮 ヘルベルト・フォン・カラヤン
ウィーン国立歌劇場合唱団&管弦楽団(1978年収録)
年が改まって2日目になる。日頃、時間に追われていて暇がなく、早くゆったりとした時間が欲しいと思っていてやっと正月になった。待ち焦がれた正月だけに何もしなくてもいいが、いざ正月になったらなったで夜更かしをしてしまう、せっかく時間が余計にあるのに、ただ寝て過ごしてしまうと勿体ない。テレビはくだらないから観ないが、読書をしようにも老眼が進んでしまい眼が疲れやすいから長時間は読めない。でも、どうせならこの悠久の時間を無駄に過ごしたくないと思い立ち買ってはいたが日頃、忙しくてゆっくりと観ることのできない歌劇のDVDでも観ることにした。それで今回、観たのがヴェルディの歌劇『イル・トロヴァトーレ』である。
一般的にイタリアのオペラと言うと恋愛劇が主である。ストーリーも単純なものが多くけして話が込み入ってない。しかし、この『イル・トロヴァトーレ』は数多くのイタリア・オペラの中でも話が込み入っていて私としては気に入っている。ベースは三角関係になるのだが、そこへ復讐劇が加わるという代物である。舞台は15世紀初頭ののスペイン・アルゴン地方。彼の地の貴族ルーナ伯爵の家臣フェルナンドが先代の伯爵の惨い所業を語る。彼には2人の息子がいたが、その赤子の弟の方は身体が弱く、それはジプシーに呪いをかけられたからだと思い込んでいた。こうして伯爵はジプシーの老女を捕えて火あぶりの刑にした。すると老女の娘は恨んで赤子を誘拐。間もなく火刑場の燃えさしの中から子供の骨が見つかったのである。
宮殿では女官のレオノーラが吟遊詩人(トロヴァトーレ)に恋をしたと侍女に語っていた。一方ルーナ伯爵もレオノーラに恋焦がれていてレオノーラに接近していった。その時、吟遊詩人の歌声が聞こえレオノーラが慌てて姿を見るために庭に出たきた。こうして吟遊詩人とルーナ伯爵が鉢合わせし吟遊死詩人の名がマンリーコだということを知り、ついでにレオノーラはマンリーコを愛していることを知る。憤慨したルーナ伯爵は剣を抜きマンリーコも剣を抜く。いわばこの歌劇も恋仇同士が1人の女性を奪い合う三角関係の恋愛劇なのだが、そこへ復讐に燃えるジプシー女が絡んでくるから話はややこしい。ジプシー女アズチェーナは母が火刑にされたことを恨み伯爵の赤子を奪い火に投げ込んだつもりが、実は自分の息子を投げ込んでしまったと激白する・・・・・。
こうして話が複雑に入り組んでいくのだが、オペラなんて言うのはそもそも話は単純でも、結局はオーケストラの演奏をバックにした出演者の歌唱力で退屈を補っているものである。とはいうものの初めてオペラを観た人はつまらないと感じるかも知れない。それにオペラというのは時代背景が古く、現代では考えられないような事象が話の中に起こりうるので理解しがたいところもある。でもヴェルディのオペラというのは比較的に良質のものが多くイタリア・オペラ最大の巨匠と言えるだけある。
『イル・トロヴァトーレ』全4幕で1853年1月9日にローマで初演されている。原典はスペインの劇作家グティエレスによって書かれた舞台劇だという。本来は中世の騎士物語、男女の恋愛、ジプシー女の呪いといったテーマが幾重にも含まれている舞台劇でヴェルディがオペラ化に踏み切ったのは当然かもしれない。それで、当作品を作曲するにあたり台本家のサルヴァドーレ・カンマラーノと手紙のやり取りを何10通にもわたって行ったとされ、初演前にカンマラーノが亡くなったため急遽、レオーネ・エマヌエーレ・バルダーレが字句の調整を行い、初演予定だったナポリからローマに変更されたという経緯がある。書簡によるとヴェルディ自身は歌劇の内容そのものが「美しく、想像力を刺激し、力強い場面に満ちていると思う」とし、意外にもジプシー女を主人公とみなしているらしく、母親像を描くことが少ないヴェルディにしては珍しい作品となっている。また音楽においても色々と工夫が見られ、4人の主要登場人物がそれぞれソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バリトンとそれぞれに別れ、二重唱、三重唱、合唱など見せ場が多く、ことにレオノーラのアリア『恋はバラ色の翼に乗って』、アズチェーナのアリア『炎は燃えて』、ルーナ伯爵のアリア『君は微笑み』等、聴かせどころ満載のオペラなのであるが、この『イル・トロヴァトーレ』ではマンリーコのアリア『見よ、恐ろしい炎を』が最大の注目である。とにかくテノールの最高音ともいえるハイCを出さないといけないので、歌手は緊張するという。とにかく歌劇の中でも歌唱力を試される作品としては格別面白いといっていいだろう。
第2幕『鍛冶屋の合唱(アンヴィル・コーラス)』
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