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2007.10.20 (Sat)

キリンプラザよ、さようなら!

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 大阪の名所、道頓堀川に架かる戎橋の袂にあるキリンプラザ大阪が、今月末で営業を停止し、取り壊されることとなった。まことに残念である。

 キリンプラザといっても、大阪以外の人には何のことか判らないと思うが、1987年に麒麟麦酒が建てた建造物で、館内にはエントランス、地ビール工場、ビアレストラン、アート書籍売り場、カフェ、現代美術ギャラリーがあり、その文化的見地から見ても建築学的に言っても存在感のある建物だったのである。

 建築家・高松伸の代表作として知られ、1989年のアメリカ映画『ブラックレイン』では、クラブ・ミヤコとして使われ、猥雑でアナーキーな映像を撮るリドリー・スコット監督が上手く演出していたので、知る人ぞ知る建築物であった。映画は日本のやくざとニューヨーク市警、大阪府警を含めた抗争を題材とした映画であり、マイケル・ダグラス、アンディ・ガルシア、ケイト・キャプショー、高倉健、若山富三郎、神山繁が出演していたので話題になったものである。そして、なによりも癌に罹りながらも無理して出演した松田優作の遺作となった作品として有名であった。そんな映画の中で、キリンプラザは夜空に煌々と巨大な行灯のような白い光を燈していて、それが余りにも印象的であった。

 そんなキリンブラザが建てられてから、まだ20年にしかならないのに、早くも取り壊されるというのは、なんとも惜しい気がする。ちょうど大阪に観光に来る人は、まず道頓堀に行き、グリコのネオンサインの前で記念写真を撮るというのが定番のようであるが、その道頓堀川を挟んで対角線にある建物がキリンブラザなのである。

 独特の外観と、内部とのコントラストの違いをも含め、派手な看板、広告の目立つこの周辺では、地味な色合いと共に異彩を放っていた建物だったのである。それが、何故、壊されるのか理解に苦しむが、とにかく今月末で閉館の憂き目に遭い、解体され、土地は売却ということである。最近は大阪の都市部を含め、どんどんと古いものが壊され、新し物へと建て替えられていく。この道頓堀界隈も、昔は芝居小屋が五座あったことから芝居の街とされていたが、今は何の面白味もないパチンコ屋、カラオケ屋、ゲームセンター・・・・こんなのばかりで、観光客は多いが、何処にでもある繁華街に成り下ってしまった感がある。せめてキリンプラザは残しておいて欲しかったが、これも時代の流れであろうか・・・。私は、キリンプラザの前身であるキリン会館内の映画館で、映画『スター・ウォーズ』ともう一本を観た覚えがある。そういえば映画館がシネマ・コンプレックスに代わってしまい、映画を観に行く気もだんだんと起こらなくなってしまったが、昭和は遥か遠くになってしまったのだろうか・・・。

 この跡地に何が出来るのか判らないけども、せめてパチンコ屋だけは造らないで欲しいと切に願うのである。

映画『ブラックレイン』のシーン集

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