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2007.11.16 (Fri)

古典文学を読む・・・・・『ドン・キホーテ』

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 最近は『ドン・キホーテ』なんていうと、ディスカウント・ストアだと思われがちだが、もとはスペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスが書いた小説である。

 簡単に筋書きをいうと・・・・ラ・マンチャの田舎に住む50歳の郷士キハーダは、当時に流行っていた騎士道物語を読み過ぎて気が狂いだす。彼は荒唐無稽に書かれている内容を歴史的な事実と混同してしまう。また中世の騎士道の理念を甦らせることは可能だと思い込んでしまったのである。

 やがて彼は、それを実行するため古ぼけた甲冑に身を固め、騎士ドン・キホーテと名乗り、田舎娘を姫ドゥルシネーアに仕立て上げ、近所に住む百姓サンチョ・パンサを従士にして、痩せ馬ロシナンテに跨って旅に出る。騎士道に関係ないことは分別あるが、狂気と正気の両面を持っている彼は、宿屋を城、風車を巨人、囚人達を暴政、悪政の犠牲者とみなし、何かあると悪を見出し、自分がそれを正さなければならないと思い込む。

 結局、色々な冒険にいどむが巧くいかず、村の友人の住職、床屋たちの策略によって檻に入れられた後、村に連れ戻される。

 後編は公爵夫妻のドン・キホーテ主従に対する愚弄が話の中心と考えられている。内容はサンチョ・パンサの太守就任。その他ではライオンの冒険、モンテシーノスの洞窟の体験、魔法の船の冒険等の場面が思い出されるが、銀月の騎士との血統に敗れて、遍歴の騎士をやめさせられる。そして故郷に帰ったドン・キホーテは、病の床で夢から醒め、善人アロンソ・キハーノに戻って死んでいくのである。

 よくあいつはドン・キホーテだという場合、思い描くのは前後の見境もなく猪突猛進する常軌を逸した男を連想させる。でもセルバンテスが小説『ドン・キホーテ』を書いた理由は、騎士道を罵倒するためだったらしい。つまりパロディを通しての古い時代の小説の否定だというのだ。かくして『ドン・・キホーテ』は騎士道物語打倒という当初の目的を遙かに飛び越えて、書物は現実において有効で有りうるのか・・・。さらには書物と現実の関係にまで扉を開け、今では文学全体にとって大きなテーマとなっている。

 結局、ロシナンテに跨ったドン・キホーテは、騎士道物語のスーパーマンに対する皮肉、風刺であり、背伸びしすぎた当時のスペインと自分自身に対する風刺でもあったのだと思える。

 この物語の最後・・・・ドン・キホーテが故郷に帰り、夢から醒めて死ぬが、カトリックによる世界制覇の夢破れたスペインも世界史の表舞台から姿を消してしまったのである。
                                
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