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2010.11.11 (Thu)

ブラームス・・・・・『弦楽六重奏曲第1番』を聴く

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 何時もこの季節になるとブラームスが聴きたくなるのは何故だろう。ブラームスの曲はメロディアスではなく渋いので夏に聴くと暑苦しくなるという人は多いが、人々が冬支度をし始める頃になると、その渋さが気温の低下と共に心地よさに変ってくるのである。でも何故ブラームスの曲は渋いのが多いのだろうか・・・・・・。彼は北ドイツの大都市ハンブルクで生まれている。ハンブルクというところはエルベ川の支流アルスター川の河口にあり、北海に面する港湾都市である。だから冬は凍てつく寒さである。この地方は緑豊な南部ドイツのバイエルン辺りとは明らかに違っている。つまりこんなところでブラームスは育ったのである。だからブラームスの曲はどの曲も渋いだけでなく、どこか重苦しく感じられる時がある。彼と同時代の作曲家ヨハン・シュトラウスの明るさはなく、チャイコフスキーやドヴォルザークの曲のように芳醇で流麗なメロディもない。それでいて楽想がロマン的でいて情感があり曲そのものに崇高な気品がある。

 ところでそんなブラームスの多くの曲の中でも弦楽六重奏曲第1番はよく聴く曲である。全4楽章からなり、35分ほどにもなる曲である。管弦楽曲あたりと比較すると室内楽は地味な曲が多いが、ブラームスの弦楽六重奏曲第1番の例によって地味ではある。でも、私がこの曲を初めて聴いた時の印象は強烈であった。確か学生の頃だったが、3本立ての映画館でヌーヴェルバーグの旗手といわれたルイ・マルの映画『恋人たち』を観た時だった。この映画の主題曲がブラームスの弦楽六重奏曲第1番の第2楽章だった。ルイ・マルの若い頃の作品というと、アンニュイな雰囲気で気だるさを感じるが、何故か映画に使う音楽は先鋭的であり斬新であり革新的だった。ルイ・マルが監督した最初の劇映画というと『死刑台のエレベーター』があるが、この時はマイルス・デイヴィスの即興演奏を使用した。これは話題になったのだが、2作目である『恋人たち』ではジャズのアドリブから一転して、クラシックの室内楽を使用した。ブラームスの弦楽六重奏曲第1番の第2楽章が映画の冒頭で流れ、ルイ・マルの映画同様、どこか情感のある気だるさを漂わせた曲だと私はこの時、感じたものである。それ以来、この時期、他の多くのブラームス作品と共に弦楽六重奏曲第1番はよく聴く曲となった。だが、室内楽の王道といえば弦楽四重奏曲だろう。なのにブラームスは弦楽六重奏曲を作曲した。だが彼が目標にするベートーヴェンの多くの交響曲とともに弦楽四重奏曲があったことはいうまでもない。ブラームスはベートーヴェンの優れた多数の弦楽四重奏曲と対峙し、それらを意識せずにはいられなかった。若い頃、ブラームスは弦楽四重奏曲の作曲に取り掛かり始めているのだが、1度も公にすることはなく自らの手で破棄してしまったほどだ。それというのもベートーヴェンの弦楽四重奏曲の作品群があるからなのだが、ブラームスは弦楽六重奏曲をいうやや変則的な方法を試みたということなのかもしれない。弦楽六重奏曲は弦楽四重奏曲のヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロの編成に対しヴィオラ、チェロを一つずつ加えることでより渋さと重厚さを醸しだす。これこそまさにブラームス好みの音色だったのかとも思える。

 1860年、ブラームス27歳の時に作曲された弦楽六重奏曲第1番。弦のみの室内楽曲としてはブラームス最初の作品になる。第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ。変ロ長調 3/4拍子。第2楽章 アンダンテ・マ・モデラート ニ短調 2/4拍子。第3楽章 スケルツォ ヘ長調 3/4拍子。第4楽章 ロンド 変ロ長調 2/4拍子。

 映画『恋人たち』でのこの曲の第2楽章の甘美的なメロディを聴いていると、物憂い感じで無聊なジャンヌ・モローの表情と共にとろけるような陶酔感に巻き込まれそうになる。


 弦楽六重奏曲第1番第2楽章の演奏

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