2011.03.29 (Tue)
映画『レイジング・ブル』を観る
『レイジング・ブル』1980年制作、アメリカ映画
監督 マーティン・スコセッシ
出演 ロバート・デ・ニーロ
キャシー・モリアーティ
ジョー・ペシ
フラング・ヴィンセント
ニコラス・コラサント
テレサ・サルダナ
【あらすじ】1964年、ニューヨークはバルビゾン・プラザ・シアターの楽屋で肥った中年男が映画『波止場』の台詞の一節を繰り返していた。この男はかつて世界ミドル級チャンピオンで怒れる牡牛(レイジング・ブル)と恐れられたジェイク・ラモッタである。話はさかのぼって1941年、彼は黒人ボクサーと闘いKO寸前まで相手を叩きのめしたのにも拘わらず判定負けをしてやけ酒を飲み妻に当たり散らす。妻は散々ジェイクの態度に嫌気がさしていた。そこへ金髪の若い女性ビッキーとジェイクは出会い結婚する。それからのジェイクは試合で連戦連勝、当時、無敵のボクサーだったシュガー・レイ・ロビンソンをも破ったのである。だが、それでも彼は世界タイトル・マッチをやらせてもらえなかった。そこでジェイクは裏の組織に八百長を強いられた。結局、負けて、その御礼として世界ミドル級タイトルに挑戦できるようになったのである。こうして1947年、念願の世界ミドル級タイトル・マッチに臨んだ。相手のチャンピオンはフランスのマルセル・セルダン。試合は激戦となったが、10回TKOでジェイク・ラモッタはとうとう世界ミドル級チャンピオンとなった。しかし、それと引き換えに妻ビッキーとマネージャーである弟ジョーイとの猜疑心から心が離れていくようになる。こうして3度目の防衛戦でジェイクは宿命のライバル、シュガー・レイ・ロビンソンと対決。ジェイクはロビンソンに敗れ引退する。引退したジェイクはフロリダでナイトクラブの経営を始めたが、やがて彼のところから妻が去り弟が去っていく・・・・・・・。
この映画は実在したボクサー、ジェイク・ラモッタの半生を描いた映画である。ほとんど全編白黒で、冒頭からマスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲』が流れる中、ジェイク・ラモッタが1人黙々とシャドー・ボクシングをやっている。このあたり実に巧みな編集である。所謂、『ロッキー』のようなボクシング映画と対極をなす。けして成功物語ではなく、どちらかというと成功の陰で人生に挫折しかけた男の生きざまをコツコツ表現している。この映画を観ているとボクシングシーンに登場するロバート・デ・ニーロと引退してからのロバート・デ・ニーロが同じ人物かと思ってしまうほど外見が違っている。この映画のために本人は25kgも肥ったというが、この好演により彼はアカデミー主演男優賞を受賞した。ところで、この映画の中で主人公ジェイク・ラモッタが対戦するボクサーには、拳聖といわれ全階級通じても史上最高のボクサーと評されるシュガー・レイ・ロビンソンを始め、エディット・ピアフの恋人で飛行機事故で突然亡くなったマルセル・セルダンが登場する。
シュガー・レイ・ロビンソンはアマチュア時代85戦全勝(69KO)。1940年に19歳でプロデビュー。1965年、44歳で引退するまでの間、200戦175勝(109KO)19敗6引き分けを記録。世界ウエルター級タイトル獲得、その後に世界ミドル級タイトルを5度も獲得。プロデビューから40連勝した。アマ、プロ通じて初めて負けた相手がジェイク・ラモッタだったのである。そこからジェイク・ラモッタとは宿敵となり、通算で6度対戦。最後の対戦はロビンソンに打たれまくってもダウンをしなかった。だが一方的に打たれまくられるので『聖バレンタインデーの虐殺』と呼ばれた。
マルセル・セルダンは旧フランス領アルジェリア出身のボクサーでいわずとしれた歌姫エディット・ピアフの恋人だった。世界ミドル級タイトルを時のチャンピオン、トニー・ゼールから奪いフランスの英雄となる。だが、初防衛戦でジェイク・ラモッタと対戦。激しい試合となったが、左肩を脱臼したマルセル・セルダンが10回終了で棄権。ルールによりTKOでジェイク・ラモッタがタイトルを獲得した。マルセル・セルダンはラモッタがリターン・マッチを受けたのでタイトルを奪還するべく、試合の地ニューヨークに乗り込もうと搭乗したが、飛行機が墜落してしまった。この時、エディット・ピアフは公演でニューヨークにいて飛行場まで迎えに行く予定だったというが、訃報は親友のマレーネ・ディートリッヒから聞かされた。
最後になるがジェイク・ラモッタの戦歴は106戦83勝(30KO19)敗4引き分け。試合ぶりからRaging Bullと呼ばれたのである。ボクシングでの闘い方はまさにブルファイターで、史上もっともタフな選手と言われたのである。また、余談であるがかつてポール・ニューマンが主演したボクシング映画『傷だらけの栄光』の主人公ロッキー・グラジアノも実在した世界ミドル級チャンピオンで、彼は少年時代はジェイクラモッタの悪友であった。尚ジェイク・ラモッタは90歳になったが今も健在である。
映画『レイジング・ブル』トレイラー。
実際のジェイク・ラモッタとシュガー・レイ・ロビンソンの試合。
監督 マーティン・スコセッシ
出演 ロバート・デ・ニーロ
キャシー・モリアーティ
ジョー・ペシ
フラング・ヴィンセント
ニコラス・コラサント
テレサ・サルダナ
【あらすじ】1964年、ニューヨークはバルビゾン・プラザ・シアターの楽屋で肥った中年男が映画『波止場』の台詞の一節を繰り返していた。この男はかつて世界ミドル級チャンピオンで怒れる牡牛(レイジング・ブル)と恐れられたジェイク・ラモッタである。話はさかのぼって1941年、彼は黒人ボクサーと闘いKO寸前まで相手を叩きのめしたのにも拘わらず判定負けをしてやけ酒を飲み妻に当たり散らす。妻は散々ジェイクの態度に嫌気がさしていた。そこへ金髪の若い女性ビッキーとジェイクは出会い結婚する。それからのジェイクは試合で連戦連勝、当時、無敵のボクサーだったシュガー・レイ・ロビンソンをも破ったのである。だが、それでも彼は世界タイトル・マッチをやらせてもらえなかった。そこでジェイクは裏の組織に八百長を強いられた。結局、負けて、その御礼として世界ミドル級タイトルに挑戦できるようになったのである。こうして1947年、念願の世界ミドル級タイトル・マッチに臨んだ。相手のチャンピオンはフランスのマルセル・セルダン。試合は激戦となったが、10回TKOでジェイク・ラモッタはとうとう世界ミドル級チャンピオンとなった。しかし、それと引き換えに妻ビッキーとマネージャーである弟ジョーイとの猜疑心から心が離れていくようになる。こうして3度目の防衛戦でジェイクは宿命のライバル、シュガー・レイ・ロビンソンと対決。ジェイクはロビンソンに敗れ引退する。引退したジェイクはフロリダでナイトクラブの経営を始めたが、やがて彼のところから妻が去り弟が去っていく・・・・・・・。
この映画は実在したボクサー、ジェイク・ラモッタの半生を描いた映画である。ほとんど全編白黒で、冒頭からマスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲』が流れる中、ジェイク・ラモッタが1人黙々とシャドー・ボクシングをやっている。このあたり実に巧みな編集である。所謂、『ロッキー』のようなボクシング映画と対極をなす。けして成功物語ではなく、どちらかというと成功の陰で人生に挫折しかけた男の生きざまをコツコツ表現している。この映画を観ているとボクシングシーンに登場するロバート・デ・ニーロと引退してからのロバート・デ・ニーロが同じ人物かと思ってしまうほど外見が違っている。この映画のために本人は25kgも肥ったというが、この好演により彼はアカデミー主演男優賞を受賞した。ところで、この映画の中で主人公ジェイク・ラモッタが対戦するボクサーには、拳聖といわれ全階級通じても史上最高のボクサーと評されるシュガー・レイ・ロビンソンを始め、エディット・ピアフの恋人で飛行機事故で突然亡くなったマルセル・セルダンが登場する。
シュガー・レイ・ロビンソンはアマチュア時代85戦全勝(69KO)。1940年に19歳でプロデビュー。1965年、44歳で引退するまでの間、200戦175勝(109KO)19敗6引き分けを記録。世界ウエルター級タイトル獲得、その後に世界ミドル級タイトルを5度も獲得。プロデビューから40連勝した。アマ、プロ通じて初めて負けた相手がジェイク・ラモッタだったのである。そこからジェイク・ラモッタとは宿敵となり、通算で6度対戦。最後の対戦はロビンソンに打たれまくってもダウンをしなかった。だが一方的に打たれまくられるので『聖バレンタインデーの虐殺』と呼ばれた。
マルセル・セルダンは旧フランス領アルジェリア出身のボクサーでいわずとしれた歌姫エディット・ピアフの恋人だった。世界ミドル級タイトルを時のチャンピオン、トニー・ゼールから奪いフランスの英雄となる。だが、初防衛戦でジェイク・ラモッタと対戦。激しい試合となったが、左肩を脱臼したマルセル・セルダンが10回終了で棄権。ルールによりTKOでジェイク・ラモッタがタイトルを獲得した。マルセル・セルダンはラモッタがリターン・マッチを受けたのでタイトルを奪還するべく、試合の地ニューヨークに乗り込もうと搭乗したが、飛行機が墜落してしまった。この時、エディット・ピアフは公演でニューヨークにいて飛行場まで迎えに行く予定だったというが、訃報は親友のマレーネ・ディートリッヒから聞かされた。
最後になるがジェイク・ラモッタの戦歴は106戦83勝(30KO19)敗4引き分け。試合ぶりからRaging Bullと呼ばれたのである。ボクシングでの闘い方はまさにブルファイターで、史上もっともタフな選手と言われたのである。また、余談であるがかつてポール・ニューマンが主演したボクシング映画『傷だらけの栄光』の主人公ロッキー・グラジアノも実在した世界ミドル級チャンピオンで、彼は少年時代はジェイクラモッタの悪友であった。尚ジェイク・ラモッタは90歳になったが今も健在である。
映画『レイジング・ブル』トレイラー。
実際のジェイク・ラモッタとシュガー・レイ・ロビンソンの試合。
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