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2015.04.26 (Sun)

ハービー・ハンコックのアルバム『テイキン・オフ』を聴く



 何年か前にハービー・ハンコックのアルバム『処女航海』を紹介したことがあるが、今回のアルバムはハービー・ハンコックが初リーダーとして出した最初のアルバムである。つまり『処女航海』を出す3年前の1962年5月に録音されたものである。この2年前にハービー・ハンコックはプロのピアニストとしてデビューしていて、謂わばグリネル大学で音楽と電子工学を学び(両方とも博士号を修得)ながらプロのミュージシャンであったというから、そりゃ才能豊かだったと想像できるし11歳で既にシカゴ交響楽団と共演したというから天才肌である。1960年の20歳の時ブルーノート・レーベルでセッションマンを経験。スタジオ・ミュージシャンとしてキャリアを積み、1962年に当アルバム『TAKIN’ OFF』をリリース。
 このアルバムは大ヒットした『Watermelon Man』が最初の曲として収録されていることで有名となったのであるが、メンバーにデクスター・ゴードン(ts)を迎えたことでバンドに厚みが加わり一躍ジャズ・シーンに躍り出たのである。このアルバムを出した翌年にはマイルス・デイヴィスのバンドに呼ばれ約5年間苦楽を共にする。その後の活躍も華々しいものである。ジャズからフュージョン、ジャズ・ファンクやヒップホップといったジャンルとのクロスオーバーを果たし、グラミー賞をいったい何度受賞していることやら。とにかくマイルス亡き後の現在のジャズ界の大御所と言えそうだ。そんなハービー・ハンコックの出発点がこのアルバムなのではないだろうか。
 収録曲は『Watermelon Man』『Three Bags Full』『Empty Pockets』『The Maze』『Driftin’』『Alone And I』の6曲。メンバーはピアノがハービー・ハンコック、テナー・サックスがデクスター・ゴードン、トランペットがフレディ・ハバード、ベースがブッチ・ウォ-レン、ドラムスがビリー・ヒギンスである。ハービー・ハンコックが22歳と本当に若い。現在75歳になる大御所が瑞々しく溌剌として、それでいて控え目に鍵盤を叩いている。このアルバムがリリースされ、しばらくしてからは『Watermelon Man』が大ヒットし、カバーする人が続出するのだが、驚いたのはジャズ・ヴォーカル界の大御所ジョン・ヘンドリックスが歌詞をつけて歌っていたこと。それほど曲が当時の商業音楽界に影響を与えたということになるのだろう。後にはハービー・ハンコック自身も1973年のアルバム『ヘッド・ハンターズ』でエレクトリック・ジャズのフュージョン版としてリメークしているのも判るが、この曲はハービー・ハンコック本人にしても特別な曲なのかもしれない。ただこのアルバムがリリースされた1962年当時はいきなり受けたというものでもなく、翌年のモンゴ・サンタマリアによるヴォーカル・カバーがヒットしてから、このが注目を浴びる形となった。その影響により『Watermelon Man』というとヴォーカル曲のような印象がある。でもハービー・ハンコックはインスルメンタルこそジャズの命と言った流儀があり、この曲こそが自身をファンクに導いたと言っている。
つまり原典がこのアルバムにあることは彼も理解しているのであろう。どれだけ彼が進化しよりエレクトリックになろうとファンクになろうとクロスオーバーしようと、このアルバム『テイキン・オフ』こそが彼のキャリアのスタートなのである。また今聴いても、このグルーヴ感は一つも失われていない。

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