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2008.09.20 (Sat)

朝日放送旧社屋の解体が始まった

 大阪の大淀にある朝日放送の旧社屋の解体が始まった。今年の6月22日で放送業務が終了し、その後、福島区堂島川沿いの新社屋に移転したことにより、旧社屋が解体されることになった。

 朝日放送とっいっても全国的には馴染みが無い放送局かもしれないが、同系列のテレビ朝日とは別会社である。でも朝日放送という名前はテレビ朝日誕生以前からの名前で、今では全国各地にある○○朝日放送とは違って、唯一、地名のつかない朝日放送である。別名ではABCともABC朝日放送ともいう。

 ところで何故に放送局が解体されるからといって記事にしたかというと、この放送局は我々にとっては実に馴染み深い放送局だったからである。

 そもそも朝日放送は1951年11月11日、大阪中之島の朝日会館(朝日新聞大阪本社の中にあった)内に設けられたラジオ局である。それが1959年6月1日、大阪テレビ放送と合併し、テレビ、ラジオ両方を放送するようになる。そして、この頃に『いとはんと丁稚どん』、ミヤコ蝶々、南都雄二の『夫婦善哉』、『てなもんや三度笠』等の放送で人気を博し、1966年6月1日に現在取り壊し中の旧大淀社屋に移転したのである。

 だから私は、朝日放送というと、この大淀時代の社屋しかしらないが、まあよく行ったものである。スタジオ見学にも行ったが、この社屋の中にABCホールがあり、ここでの試写会に何度か行った覚えがある。またこのホールでは当時の人気番組、『スチャラカ社員』『てなもんや三度笠』『新婚さんいらっしゃい』『プロポーズ大作戦』『探偵ナイト・スクープ』等の生放送、収録がなされた。だから私にとっても、関西の人にとっても馴染み深い放送局であったということになる。

 そういった訳で、大淀の朝日放送付近を探索してみた。

 旧社屋は人っ子一人居ない。すでに塀が設けられ中には立ち入れない。いよいよ取り壊しが始まるようだ。
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 朝日放送旧社屋の全体。
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 社屋の向こう側にある鉄塔は大阪タワーと言って、朝日放送専用の電波塔である。1966年に朝日放送が、この地に移転してきた時、同時に建てられた。高さは160m。かつては一般の人も展望台に上がれたが、1997年に立ち入り禁止となった。大阪の塔というと通天閣が歴史といい知名度といい優るが、高さではこちらの方が優っている。でも、この鉄塔も社屋同様に取り壊される。
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 一方、こちらの建物は旧ホテル・プラザ。1969年に建てられ、翌年の大阪万国博では外国人客が多数宿泊した高級ホテルであった。運営は朝日放送の関連会社であるが、1990年代に入り、付近に
阪急インターナショナル・ホテル、ウェスティン・ホテル、ザ・リッツ・カールトン・ホテルと次々にオープンし、ホテル・プラザは老朽化と共に客足が途絶え、1999年3月末で閉鎖された。その結果、このホテルも同様に壊されることになった。
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 この建物はザ・シンフォニー・ホールであり、1982年秋にオープンした、日本初のクラシック・コンサート専用ホールである。そもそも朝日放送創立30周年記念事業の一環として建築され、運営も朝日放送が行なっている。

 キャパシティは1704人と手頃で、日本初のアリーナ形式のホール。ステージの後ろにはパイプ・オルガンが設置してあり、ステージを囲むように客席が並んでいる。このホールの誕生後、全国にコンサート専用ホールが建設されるようになるなど、この手のホール建築ラッシュの先駆けとなった。残響2秒に拘っていたのか、響きは豊であるが、マーラーのような大編成の交響曲を演奏するとやや騒々しくなる。でも音質が豊潤で柔らかく演奏者にも評判がよいホールである。だから当然のように、朝日放送が移転しても、このホールだけは残されることが決まっている。
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 ザ・シンフォニー・ホールの南側にある公園から写す。ザ・シンフォニー・ホールの背景には取り壊されるホテル・プラザと大阪タワーが望めるが、この眺めも見納めか・・・・・・・・・。
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 テレビ局が壊されて、その跡地には何が建てられるのか私は知らない。いずれ時代の流れに沿って、風景は変るだろうが、テレビ黄金時代を知る人には忘れられない場所となるかもしれない。今の光景を記憶に留めて、私は現場をあとにした。

 『てなもんや三度笠』の映像。

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