2ntブログ
2009年02月 / 01月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728≫03月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
EDIT  |  --:--  |  スポンサー広告  |  Top↑

2009.02.09 (Mon)

手塚治虫没後20年

  手塚治虫が亡くなって今日で、ちょうど20年になるという。月日の経つのは年々、早くなるように感じるが、もうそんなに経過したのかと改めて驚いている。

 私が手塚治虫の織り成す世界に初めて触れたのはTVの『鉄腕アトム』だった。といってもアニメではない。人間が演じている『鉄腕アトム』である。少年がアトムのコスチュームを着て正義のために戦うという少年少女向けのドラマだった。私はまだ小学校に上がってなかったと思うが、真剣になって観ていたものだ。だから『鉄腕アトム』の主題歌というと ~空をこえて ラララ星の彼方 ゆくぞアトム ジェットの限り 心やさし ラララ 科学の子 十万馬力だ 鉄腕アトム~ ではなくて、 ~僕は無敵だ鉄腕アトム 良い子のために戦うぞ 勝ったつもりか 負けやしないぞ さあ来い悪者 やって来い ジェット推進 十万馬力 僕は鉄腕アトム 七つの威力を持っている~ の歌を真っ先に連想してしまうのである。

 あの頃、まだ『鉄腕アトム』が手塚治虫の原作であることも知らなくて(幼稚園児だったので、当たり前だが)、ただ漠然と観ていた気がする。それで小学校に上がり漫画というものに出会い、よく通っていた近所の散髪屋で漫画を貪り読むようになったのである。だから私は漫画を読みたいがばかりに、散髪屋に通っていたようなものである。既に週刊誌の『サンデー』『マガジン』は創刊されていたが、毎週、散髪屋に通う訳にもいかず、したがって読むのは何時も月刊誌であった。

当時だと『漫画王』『冒険王』『ぼくら』『少年』『少年画報』『少年ブック』といった漫画雑誌があったと思うが、その中で私が1番気に入っていたのが『少年』である。散髪屋に行ったものの、すぐに散髪の順番が回ってくると『少年』が読めないので、わざわざ順番待ちの多いときを選んで散髪屋に行き、読み終えない間に順番が回ってくると、後から来た子を先に刈らせたというほど漫画が好きだった。

 そんな漫画月刊誌『少年』に連載されていたのが『鉄腕アトム』であり、横山光輝の『鉄人28号』であった。だから小学校に上がり、漫画を読み始めて『鉄腕アトム』の存在を知ったときの印象は強烈であった。それまで観ていたテレビのアトムが実に陳腐なものに見えてしまい、手塚治虫の漫画のアトムの話は、もっとスケールが大きくてストーリーも遥かに面白かった。こうして私は手塚治虫の名を知った訳である。それから数年、とうとう手塚治虫が自ら製作に加わったアニメ版『鉄腕アトム』の本放送が始まり、日本に本格的アニメ・ブームがやってくることになる。

 アニメ『鉄腕アトム』が始まってから以降は、どんなアニメがテレビで放送されたかは、ほとんどの人が知っているので、この先は書かない。でも今や、世界中で愛される日本制アニメと日本のコミックの、礎を築いた人物こそ手塚治虫その人といっても過言ではないだろう。つまり現在活躍中の漫画家の大半の人は、何らかの形で手塚治虫の影響を受けているからである。

 戦前から、田川水泡の『のらくろ』、阪本牙城の『タンクタンクロー』、島田啓三の『冒険ダン吉』といった児童漫画はあったが、展開も遅く、舞台芝居を観ているようなのんびりとした話が多く、如何にも少年向けの内容であった。それが戦後に登場した手塚治虫の漫画は新鮮に映ったであろうと思える。私が、その後に手塚治虫初期の作品である『新宝島』『ロストワールド』を読み直したとき、これが昭和20年代初頭に描かれた漫画なのかと驚くやら、手塚治虫の斬新な手法に唸ったというべきなのかもしれない。それまでの舞台劇のような漫画から、映画のような動きのある漫画に変えてしまった最大の功労者が手塚治虫である。こうして児童向けのストーリー漫画は、大きく可能性を秘めるようになり、飛躍して行ったのである。

 その後に手塚治虫に触発された漫画家の卵たちが手塚治虫の下へ集まるようになったことは言うまでもないだろう。これはトキワ荘の話として有名であるが、寺田ヒロオ、よこたとくお、藤子不二雄、石森章太郎、赤塚不二夫、水野英子、つのだじろう等・・・・・現在、漫画界の重鎮として名を残した人ばかりであるが、このような人材が集い、日本の漫画が世界へ飛躍していく出発点がここにあるとしたら、手塚治虫の残した功績というのは余りにも大きいといわざるを得ない。
EDIT  |  20:25  |  その他  |  TB(0)  |  CM(0)  |  Top↑
 | BLOGTOP |