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2010.09.07 (Tue)

レッド・ツェッペリンのファースト・アルバムを聴く

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 このアルバムが発売されたのは1969年のことである。元ヤードバーズのギタリストであるジミー・ペイジが当時、無名の3人を集めて結成されたグループである。最もグループは1968年に結成されたものであるが、ヤードバーズに在籍していたジミー・ペイジが解散直後に急遽結成したものでアルバム発売は1969年初頭となった。この頃の音楽シーンというのは日本ではまだグループ・サウンドが活躍していたし、フォーク・ソングも流行っていた。一方、海外ではビートルズ、ローリング・ストーンズ、ボブ・ディラン、ジミ・ヘンドリックス、クリーム、プロコル・ハルム、サイモン&ガーファンクル、ドアーズ等・・・・色々な毛色の音楽が巷で流れ、まさに洋楽の全盛時代というべき時代であった。そんな中で登場したのがレッド・ツェッペリンだった。

 そもそもスタジオ・ミュージシャンをしていたジミー・ペイジが伝説のグループ、ヤードバーズの3代目リード・ギタリストとして活躍していたものの、レコード製作をする過程で彼の求める音楽的欲求が目覚てきて、レッド・ツェッペリン結成となったようだ。この時、ジミー・ペイジはプロコル・ハルムのドラムスであるB・J・ウィルソンをメンバーに誘ったというが断られたらしい。結局、集まったのがヴォーカルのロバート・プラント、ドラムスのジョン・ボーナム、旧友であるベースのジョン・ポール・ジョーンズだった。つまりジミー・ペイジ以外は全くの無名であったが実力は何れも折り紙つきであった。

 グループ名は当初、ニューー・ヤードバーズと名乗っていたらしいが、1968年10月の初コンサートにおいてはニュー・ヤードバーズ・フューチャリング・レッド・ツェッペリンという長ったらしい名前でステージに立っている。ジミー・ペイジによると名前の語尾にSがつく当時のポップ・グループ名の流行とは訣別したかったもので、ヤードバーズの音楽性の継承をさらに発展させ、よりヘビーなサウンドに持って行きたかったのであり、言い換えればヤードバーズ時代のヴォーカリストが下手でジミー・ペイジの音楽性にそぐわなかったため、新たにブルースを基盤とした新グループで新しいグループ名で出発したかったものと思われる。こうしてレッド・ツェッペリンはスタートしたのである。基本的にはブルースなのであるが、所謂、黒人ぽいブルースではなく白人によるブルース、それをより一層ハードにしたロックといえばいいだろうか、こういった音楽をやってみたかったというのが、このレッド・ツェッペリンのファースト・アルバムを聴けば明確である。

 ところで、このアルバムが発売された当時、私は中学生である。最初、このアルバムの冒頭に収められている曲『グッド・タイムズ・バッド・タイムズ』がラジオで聴いた時、いきなりの重いサウンドに驚いたものであるが、そのサウンドに乗ってロバート・プラントの伸びのある甲高い声が重い伴奏に一つも引けをとらず踊るように唄っていたのがとても印象的であった。

 しかし、このアルバムを全て聴き通したのは発売から1年あまり経ってからである。私が高校に入った頃であろうか、級友が持っていたものを借りて聴いたというのが本当のところである。今のようにロックの輸入盤CDなら1000円で買える時代ではないから、ほとんどの洋楽ファンはよほどのマニアでもない限りアルバム全曲を聴いていなかったと思う。
また、あの頃、一般的にポップスといってもバブルガム・サウンドのような音楽も一方では主流であり、どちらかというとこちらの方が、まだ一般受けしていた。そういった理由で実力はピカイチでも、レッド・ツェッペリンのような先鋭的音楽というのはファースト・アルバムの頃は、まだ受け入れられなかったように記憶している。

 やがて時代が進み、ハードロック、ヘビーロック、ニューロックなんて語句が音楽雑誌に頻繁に記載されるようになり、だんだんとレッド・ツェッペリンもファンに受け入れられるようになっていったと思う。そして、1971年の秋にレッド・ツェッペリンは初来日する。そして、私はレッド・ツェッペリンの初ライヴに当然のように行ったのである。あれから40年近くなる。今では伝説のロック・グループなんていわれるが、あの頃、そのような雰囲気はなく、ただ音楽が好きな4人のイギリスの若者がステージを楽しんでいるといったものだった。

 ところでLed Zeppelin(ledはleadの過去分詞)という名前は飛行船の開発者に由来するのはご存知だろうが、このツェッペリン博士の子孫であるエヴァ・フォン・ツェッペリン女史に名前の無断使用で訴えられ法廷で争われたという話も今となっては笑い話になってしまった。

 最後になるが収録曲は全部で9曲、以下の通りである。『Good Times Bad Times』『Babe I’m Gonna Leave You』『You Shock Me』『Dazed And Confused』『Your Time Is Gonna Come』『Black Mountain Side』『Communication Breakdown』『I Can’t Quit You Baby』『How Many More Times』


 『Good Times Bad Times』を演奏するレッド・ツェッペリン。2007年11月のライヴから。

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