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2010.10.04 (Mon)

第89回凱旋門賞

 昨日の深夜(現地時間10月3日)に行なわれた第89回凱旋門賞はご存知のとおり、日本のナカヤマフェスタが大健闘の2着に入り、ヴィクトワールピサも7着でゴールインした。

 2010年度のヨーロッパ競馬のクライマックスを飾る第89回凱旋門賞(G-Ⅰ・3歳以上、2400m、19頭)がフランスはパリのロンシャン競馬場において行なわれた。今年は出走馬が1頭取り消しの19頭と多く、本命不在の混戦とされ、一応は前走のニエユ賞で勝ったBehkabadが1番人気に支持され、2番人気がFame and Glory、3番人気がPlanteur、4番人気が英国ダービーで圧勝したWorkforce、5番人気が凱旋門賞で3年連続2着のYoumzainだったが、日本の2頭は人気こそないが、それぞれが前哨戦を使い、ことにナカヤマフェスタは2着と頑張り、ロンシャン競馬場の馬場適性があることを立証し期待を抱かせた。

 馬場はベリーソフトというから日本で言う重馬場に近い。これだと時計がかかりそうな超スローペースになるだろうと思って観戦していたが・・・・・・。19頭というのは最近の凱旋門賞では多い。したがって馬群に包まれると抜け出すのに往生する。なにしろ日本の競馬とは違って、馬群が固まりになって進むから気をつけなければならない。とにかく馬群がバラけないから抜け出すのに一苦労する。最後で一瞬の脚を持っていないと馬ゴミを捌けない。そのあたりが問題なのである。さて、それで凱旋門賞であるが、予想通り超スローペースになった。ナカヤマフェスタは中団のあたり、ヴィクトワールピサはその後ろにつけていた。ただあまり後ろだと最後の追い比べで前が壁になって追い出しが遅れることがある。ヴィクトワールピサは後ろ過ぎないか?

 フォルスストレートを通過して各馬が追い出しにかかろうとする。そして直線に向いた。各馬に鞭が入る。ヴィクトワールピサは案の定、前の馬ゴミを捌けず、仕方なく外へ持ち出して追い出すようだが、ジリ脚のこの馬には瞬発力勝負は辛い。それでも徐々に前の馬を少しでも捉えようとしている。一方、ナカヤマフェスタは巧く馬ゴミを捌いて、追い出しに入る。だがナカヤマフェスタの内から同じようなタイミングで追い出しに入ったのがWorkforceだった。この2頭は抜け出しびっしりと競った。僅かにWorkforceがリードして、ナカヤマフェスタと馬体を接して競り合った。日本競馬界の悲願なるか・・・・・・。しかし最後まで差は詰まらずWorkforceに凱歌が上がった。

 1着 Workforce 2分35秒30、2着 ナカヤマフェスタ アタマ、3着 Sarafina 2馬身1/2、4着 Behkabad 1馬身1/2、5着 Fame and Glory。

 結果は意外だった。ナカヤマフェスタが英ダービー馬Workforceとびっしり競りながら2着に入線したのを確認するものの正直いって驚いた。ナカヤマフェスタがあれだけ見事なレースをするなんて・・・・・。確かに今年は成績はいいが、昨年の3歳時には皐月賞7着、日本ダービー4着、菊花賞12着というもう一つ成績のぱっとしない競争馬だったからだ。それが今年は成長したからなのか。気性に問題があって、昨年は成績が伸びなかったのに、今年になって宝塚記念を勝ってしまった。でもそれは驚きの序章でしかなく、今日の好走を観て改めてナカヤマフェスタに拍手を送りたくなった。

 でも言い換えれば今年はメンバーがもう一つだから好走できたともいえる。勝った英国ダービー馬のWarkforceはダービーで驚異的なダービーレコードで突っ走り、2着を4馬身差に切って捨てている。それで古馬との緒戦になったキング・ジョージでHerbingerに16、17馬身も千切られる5着。それ以来の競馬となったが見事に凱旋門賞を制したことになる。一方、ナカヤマフェスタは宝塚記念を勝って、その勢いで凱旋門賞挑戦をほのめかし、早めに現地へ渡り前哨戦を経験できたことは大きい。結果的には過去の日本の馬の中では最もいい成績を挙げたのは、同じ馬場で一度レースを使ったことが好走に繋がったのだと思う。ところでナカヤマフェスタが過去の凱旋門賞に出走した中で日本馬最高の成績を挙げたのは賞賛に値するが、だからといってナカヤマフェスタが日本競馬史上最強をいうことにはならないし、今日はスローペースがこの馬に味方したし、短い距離の瞬発力勝負になったことが結果的に良かったということになるだろう。

 好走に水をさすようだが、ナカヤマフェスタというけして自他共に認める日本の最強馬でもない馬があれだけの好走をするということは、凱旋門賞を日本馬が制覇するのもそんなに先の事ではなさそうだという気がしてきた。確かに今年のナカヤマフェスタは成績が安定しているが、正直なところあれだけの好走を見せるとは思えなかった。これだと今年、ディープインパクト級の日本馬が出走していたら勝ったのではと思えてくる。だが、競馬というのはそういった単純なものでもなく、最強馬が遠征したからといって必ずしも勝てるものでもない。それだけ海外の競馬は難しいのである。ナカヤマフェスタが好走したのは、所謂、順応力に優れていたからであろう。フランスの馬場が合っていて、彼の地の環境にも適応したからであろう。そこへ一度、ステップレースを経験させ、馬場に馴れさせて本番に望めたからいい結果に繋がったのだと思う。やはりぶっつけ本番では凱旋門賞は勝てないことが、これで明白になった。今後、日本から遠征する場合、今年のように凱旋門賞の前にロンシャンの馬場で競馬をさせること。そして、そこである程度の手ごたえを掴むこと。これが今後、遠征する日本馬に求められる条件であろう。



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