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2007.09.19 (Wed)

JUDOに物申す

 先日、ブラジルのリオデジャネイロで世界柔道が行われていた。私はその大会を放映したテレビをほとんど観てないので詳細は省くが、察するところ日本にとって逆風が吹き捲くり、柔道が柔道でなくなっていくような、何かきな臭い動きがあるように思えて仕方がない。世界柔道は男女16階級が行われ、日本人で優勝したのは、女子が無差別級の塚田真希、48kg級の谷亮子、男子は無差別級の棟田康幸だけという。エースの100kg超級代表、井上康生は技をかけたところを返されて逆にポイントを取られたし、100㎏級の鈴木桂治も同様な内容で負けにされてしまった。そもそも技をかけた方にポイントが加算されるべきなのに、技をかけられ、倒された時に身体を入れ替えて背中をつかなかったからという理由だけで、なぜ井上、鈴木の両名にポイントがつかないのか不思議である。

 これらは審判が柔道をあまり理解していないといえばそれまでだが、世界の柔道が日本人の知らないところで、明らかに変化しつつあるということを認識しなくてはならないだろう。そして、その結果、柔道はますます柔道でなくなりつつあり、JUDOとして武道の精神に反し、西洋風の格闘スポーツとして、日本人には耐え難い可笑しなものになっていくような気がするのである。

 そもそも柔道というのは本来「柔能く剛を制し、剛能く柔を絶つ」というものだった。明治の初期に嘉納治五郎が、日本に古来からあった柔術を研究し整理体系化し、修行面に加えて人間形成という精神面を鍛える手段として柔道と名付けたのである。明治15年に講道館を創設し、ここに講道館柔道が始まったのだが、小男でも大男を制することの出来る柔道は、嘉納治五郎の弟子達により世界へと広まっていったのである。

 しかし、武道の精神まで海外へ伝わったかは疑問符がつき、西洋式のスポーツ格闘技とは一線を画す柔道が、今や日本人の知らないところで、だんだんとただの格闘技に変わっていくのは日本人としては、やはり見ていて辛いものがある。

 私が子供の頃、黒澤明の映画『姿三四郎』を観て、藤田進演じる姿三四郎が、右京ヶ原の決闘で檜垣源之助を破ったシーンを柔道というと、すぐに思い出すのである。ところが、それからまもなく東京オリンピックが始まった。日本は重量級で猪熊功が大きなカナダのロジャースを一本背負いで破ったが、最終日の無差別級でオランダの大男アントン・ヘーシンクによって日本の神永昭夫が袈裟固めで押さえ込まれて敗れた。私は、この時「小男が大男を投げ飛ばすなんて無理だ」と思った。所詮、大男の怪力に日本人はなす術も無く負けてしまったと悔しい思いもしたものである。でもアントン・ヘーシンクは見事に日本の武道作法を会得していて、とても礼儀正しい柔道家であった。

 あれからすでに43年。昔は武道たる柔の道があったものだが、今の柔道は単なる西洋式の格闘技スポーツになってしまった感がある。ルールも外国人の圧力によってどんどんと変えられていくし、青い柔道着まで登場してしまった。効果、指導、注意とポイント制がより強化され、ただ力任せに技をかけ逃げする黒人に白人、柔道着の襟を厚くして相手に掴まさないようにしている何処かの国の選手達。もう柔道から武道の道は抜け、ただ勝てばいいだけの精神性の空虚な格闘技に成り下がりつつあるJUDO・・・・・。ああ、なんだか虚しい。

 先ほどの国際柔道連盟の理事選で山下泰裕は大差で破れ、これで日本人の執行委員はいなくなったという。これでますますJUDOはつまらなくなる。今のJUDOでレスリングとJUDOの違いはあまり無いのでは・・・。もし柔道着を着てないとすると、どちらがレスリングか判らなくなりそうだ。なんかポイントだけを稼ぐ、ちまちました面白くない競技になってしまった。私は映画『姿三四郎』の中で、三四郎が檜垣源之助を倒した時のように、時間無制限一本勝負で決着されるのが本来の柔道の有り方だと考えているのだが、オリンピックの競技に組み込まれてしまっては、もはや時代の趨勢に逆らえないから、今のようなポイントを稼ぐつまらないJUDOで我慢しなくてはならなくなってしまったのかもしれない。でも、そんな中でも全試合を綺麗な一本勝ちで優勝する選手がいれば、文句も言わないのだが・・・・。
                                
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