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2007.09.26 (Wed)

力士の急死事件について

 今年の6月26日、大相撲時津風部屋の力士・時太山が死亡した事件で、愛知県警が刑事事件として立件する方針を固めたというニュースを今朝、テレビを見ていて知った。

 調べによると6月26日、名古屋場所前のぶつかり稽古を兄弟子としていた時太山が体調不良を訴え、病院に運ばれ死亡した件について調べていた愛知県警によると、死因は当初、虚血性心疾患とされていた。しかし、遺体の顔、体に何ヶ所も傷やあざがあり、遺族の希望で行政解剖された結果、多発性外傷によるショック死の可能性があることを示唆したのである。そして、時津風親方に任意の聴取を求めたところ、親方、兄弟子による集団暴行を認めたという。

 時太山は前日の6月25日の午前中、部屋から逃げ出そうとした。ところが兄弟子等に連れ戻され、その日の夕方、親方からビール瓶で額を殴られ、兄弟子達によってたかって数10分間、殴る蹴るの暴行を受けたという。それで私は、このニュースを聞いて、時代錯誤の体罰主義が相撲界ならありうると思った。

 こんなことを言うと何だが、戦前の軍隊というのは理不尽な事がまかり通る集団組織であったが、その体質を何時までも引きずっていたのが、日本の学校の体育会系のクラブや組織であった。常に質実剛健であり、そこには先輩後輩という縦社会が形成され、指導という大義名分の下で虐め、体罰、しごき等が平然と行われていた。またそれが組織の規律と団結力を強め、相手に対して負けない精神力を養ってきたのである。そして、それらは時代が進むにつれ、次第と旧態依然の体育会系的な体質から合理的な組織へと変わりつつあるのも確かなのだが、そんな中、最も昔からのやり方に固執しているのが相撲界である。

 今回、亡くなった時太山は今年の春に入門したばかりで、力士になってまだ2ヶ月であった。体力的に見ても、まだ力士の体になりきってなく、激しい稽古にもついていくのが精一杯だったろうと思われる。今時の日本で、15歳、16歳の年齢から、個人プライバシーもない状態の大部屋に放り込まれ、毎日毎日、大勢の仲間とともに暮らさなければならない。おそらく、このような体験をする少年は稀有な存在だろう。また稽古が厳しいうえ、部屋の規律、掟、習慣、これら全てが本人の育った環境と180度、異なっていることも彼等にとっては耐え難い試練である。

 当然のように、新弟子達は部屋から逃げ出そうとする。これらのことは日常茶飯事で起こっていることであり、表面化したこの事件は氷山の一角にしか過ぎないとも考えられる。ところが、今回、何故に死亡事件まで起こってしまったのか・・・・・。問題はその辺りにある。

 逃げ出そうとして部屋に連れ戻され、暴行を受けたというのは、今に始まったことではないだろうし、今回は死亡事件があったので、発覚したに過ぎないとも考えられる。しかし、問題は親方の対処の仕方ではなかったろうか。大事な人の子供を預かっているのである。時代は平成である。太平洋戦争に息子を借り出されていた時代とは違うのである。世の中、高校や大学の体育会系クラブをも含め、古い体質では対外試合や競技に勝てなくなっている時代である。スポーツ根性物語なるアニメやテレビドラマが流行った時代もあったが、それでさえ30年以上前のことである。最近のスポーツ強豪校というのは、これまでの質より量の練習から、量より質に変わりつつある。意味の無い体罰、しごきというものは影を潜めようとしている。出来れば練習は短時間で効率よく行うというのが、好成績を挙げる必要条件でもある。でもなかなか無くならないのが、陰湿な集団暴行、いじめ、体罰といったところで、今回の時津風部屋で起こった死亡事件というのは、やはり時代に取り残された不可解な事件ということが言えると思う。

 現在、昔のように殴りつけてでも従わせるといった強引なやり方が通用する時代ではない。時代は変わりつつあり、それは古い体質そのものの大相撲界でも同様である。強引に従わせるのではなく、相手を尊重して、納得させてから従わせなくてはならない。つまり対話も求められるし説得力もいる。言い換えれば親方に必要なのは包容力と指導力であろう。

 要するに時津風親方に指導力があったのかどうか・・・・・。部屋を逃げ出そうとしたからビール瓶で額を殴ったというのでは、お話にならない。その上、先輩達でよってたかって暴行し、倒れている時太山を廊下に一時間以上も放置していたというから、これはまさに言語道断としか言いようが無い。

 稽古で死者が出たというのも聞いたことが無いし、親方がビール瓶で額を殴ったというのも悪質な行為である。時津風親方は指導力不足ととられてもやむを得ないだろう。あまり言いたくは無いが、今までと同じやり方では通用しないと考えている親方が多いだろうと思う。人間の気質も昔と比べると変わっているし、時代は進んでいるのだ。そんな世の中で、唯一、時計が止まったかのように錯覚するところが、大相撲という世界である。現在、大相撲界も外国人力士が増え続け、幕内の上位を日本人以外が占拠しつつある。柔道界が日本人不在の中で、どんどんと変わっていくのに対して、大相撲界は良き伝統ならず悪しき伝統まで変えようとしないでいる。新弟子力士に相撲道の精神までを教えるのはいいが、彼等の体に染み付いたとは思えず、行き過ぎた過剰な体罰やいじめ、暴行が横行するようでは、今後、ますます大相撲は衰退していくような気がしてならない。これは時津風部屋だけの問題ではなく大相撲界全体の問題であり、改善すべきことは今後、改めなければならないだろう。
                          
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