2007.09.30 (Sun)
ジャズ・アルバムを聴く・・・・・アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ

今時はジャズを聴く人がいるのだうろか? 大阪のブルーノート・ライブはビルボード・ライブに変わったし、往年のジャズの巨人の多くが死んでしまった現在において、ジャズは過去の音楽になってしまったのではと考えてしまう。でも昔の名盤は残ってるし、何時聴いても良いものは良い。時代を超越して古さを感じさせない。
もう亡くなったがアート・ブレイキーなんていうドラマーがいた。1919年生まれであるから日本で言うなら大正生まれということになる。ジャズメンの多くはこのように明治時代、大正時代の生まれが多いから、ジャズの全盛時代というのは1930年代と言われる。ビッグバンドを中心としてたジャズの時代である。それが戦後になってコンボ(小編成)を中心としたジャズが盛んになり即興音楽が演奏されるようになる。いわばモダンジャズの登場である。
こんな時代にアート・ブレイキーはホレス・シルヴァーとジャズ・メッセンジャーズ(初代)を結成した。戦前からビリー・エクスタイン楽団やそれ以外のバンドでマイルス・デイヴィス、セロニアス・モンク、チャーリー・パーカーと共演していたアート・ブレイキーは、自己が最大表現出来るバンドを得て大きく飛躍するのである。その後、1954年になってホレス・シルヴァーが脱退し、アート・ブレイキーが事実上のリーダーとなり、1958年10月30日に、このアルバムを録音する。ブルーノート・レーベルからリリースされた当アルバムは瞬く間に人気と評判を呼び、日本でもモダンジャズ・ブームが訪れた。アート・ブレイキーというとハードバップであるが、このファンキー・ジャズとも言われる一つの流れを作った。
当アルバムは『モーニン』『モーニン(別テイク)』『アー・ユー・リアル』『アロング・ケイム・ベティー』『ザ・ドラム・サンダー組曲』『ブルース・マーチ』『カム・レイン・オア・カム・シャイン』と7曲収録されている。メンバーはリー・モーガン(トランペット)、ベニー・ゴルソン(テナー・サックス)、ホビー・ティモンズ(ピアノ)、ジミー・メリット(バス)、アート・ブレイキー(ドラムス)である。
冒頭からファンキー・ジャズの傑作『モーニン』が流れる。ボビー・ティモンズのピアノのイントロから始まり、ベニー・ゴルソンのテナー、アート・ブレイキーのドラムが加わる。昔から何100回聴いたか判らないが、何度聴いても良い。体が高揚すると言うか、何時の間にか曲に合わせてビートを刻んでいる自分に気がつくから驚いてしまう。この曲以外では『ザ・ドラム・サンダー組曲』でアート・ブレイキーの"ナイアガラ大瀑布"と異名を持つ激しいドラムロールが披露される。これぞモダンジャズの黄金期を支えたアート・ブレイキーの真骨頂。もともとピアノを弾いていたが、エロル・ガーナーというピアノの達人に出会いドラムスに転向したという。結果的にはドラマーに転向して成功し良かったのではないだろうか。
『アロング・ケイム・ベティー』『ブルース・マーチ』はベニー・ゴルソン作のお馴染みの曲であるが、リー・モーガンのトランペットとベニー・ゴルソンのテナーがフューチャーされ、2人の対照的な掛け合いが面白い演奏である。自由な表現で奔放に吹きまくるトランペットに対して、テナーは飽くまでもクールである。
全体的に1950年代のスモールコンボを体現している象徴的な演奏が多く、これから秋の夜長、部屋を暗くして薄暗い照明の中でワインでもバーボンでもいいからグラスを傾けながらファンキー・ジャズを聴いてみるのもいいかもしれない。そんな事を思わすアルバムである。
老いたアート・ブレイキーが若いメンバーと『モ-ニン』を演奏する
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