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2008.12.30 (Tue)

ポール・マッカートニーのアルバム『マッカートニー』を聴く

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 ビートルズのポール・マッカートニーが個人で製作した最初のアルバム『マッカートニー』が発売されたのは1970年4月のことであった。時期も時期で、ポール自身がビートルズ解散とも取れるような発言をしたばかりであったから、このアルバムは大いに注目された。本当にビートルズは解散してしまうのかという疑問が成り立つ訳だが、現実問題として、その後、4人が集まって演奏したことなど一度もなかったから、今から考えれば、あの時のポールの発言は事実上の解散宣言であっただろう。また、この頃、ビートルズの最後のアルバムとなった『レット・イット・ビー』も発売されていて、何かとビートルズを取り巻く周辺が騒がしかったという印象がある。

 そのような慌しい頃に発売されたアルバム『マッカートニー』だけに、私は直ぐにでも聴いてみたいと思い立ったが、10代半ばの貧乏少年にアルバムを買う資金力などある筈もない。どうにかならないものかと、洋楽好きの仲間で持っているものはいないかと方々を当ってみたが、誰も持っていなかった。すると大学生の姉が友人から借りてきたといって、家のステレオ・プレイヤーで『マッカートニー』を聴いていたのである。うん、流石は大学生である。所詮、ガキの我々とは資金力が違う。それで私は姉と一緒に、このアルバムを聴いた事はいうまでもない・・・・が・・・・・。このアルバムを聴いて正直、がっかりした。

 同時期に聴いたビートルズのアルバム『レット・イット・ビー』もさほどいいとは感じなかったが、でもビートルズらしさはあった。でもアルバム『マッカートニー』は出来栄えが粗雑で、私には手抜きにしか思えなかった。これが、あのポール・マッカートニーの初のソロ・アルバムなのか・・・。前年の秋、ビートルズの数あるアルバムの中でも傑作と言われるアルバム『アビイ・ロード』で、あれだけ精緻な音作りに拘って、見事なまでの完成度を見せた、ビートルズの音楽的支柱の人物ポール・マッカートニーが、こんな雑で貧弱なアルバムしか出せなかったのかと不思議に思えたのである。

 その後、そのような事情で私はこのアルバムを長い間、聴かなかった。でも10数年経ってから、LP盤からCDの世に変り、この『マッカートニー』を懐かしくなって買い求め、改めて聴きなおしてみた。すると昔、下らないと感じたこのアルバムが、素朴で簡素な音に聴こえるだけで、そんなに悪くないなあと思えるようになったのである。要は録音技術の粋を集約し、4人の才能を結束させたアルバムが『アビイ・ロード』とするならば、『マッカートニー』は飽く迄、個人の趣味に徹し、出来る限り違うコンセプトで手作りの音を目指していたのだという考えに、私はようやく到達したのである。

 曲は全部で13曲。『The Lovely Linda』『That Would Be Something』『Valentine Day』『Every Night』『Hot As Sun Glasses』『Junk』『Man We Was Lonely』『Oo You』『Momma Miss America』『Teddy Boy』『Singalong Junk』『Maybe I'm Amazed』『Kreen-Akrore』

この中には手抜きと思えるような、なんでこんな曲を入れたのかといえるようなのもあって、必ずしもジョン・レノンが出したアルバム『ジョンの魂』のように好きには成れないが、所々、流石にポール・マッカートニーだといえるような部分がある。これこそ、まさにメロディメーカーであるポールの真骨頂かもしれない。ことに『ジャンク』などはポール・マッカトニーならではというべき曲で、2分に満たないこの曲に小躍りしたものである。

 このアルバムは1969年秋に、妻のリンだとスコットランドにある自己の農場に篭って録音されたといわれ、その僅か前にロンドンのスタジオで録音された『アビイ・ロード』と対比をなすアルバムと言ってもいいだろう。つまり、ビートルズという呪縛から逃れるために、わざとこの手抜きとも思えるようなアルバムを作ったのではないかと最近、考えるのであるが・・・・・。また、個人的なアルバムということで、全ての楽器をポール・マッカートニー1人でこなし、ダビングを重ねて収録され、アルバム・ジャケットの写真も、写真家であった妻リンダ・イーストマンが撮ったもので、完全なプライベート・アルバムといってもいいかもしれない。

 『ジャンク』のインスルメンタル曲『シンガロング・ジャンク』をギターで奏でるポール・マッカートニー。
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