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2008.03.11 (Tue)

映画『お熱いのがお好き』を観る

 『お熱いのがお好き』1959年製作 アメリカ

 監督 ビリー・ワイルダー

 出演 ジャック・レモン
     トニー・カーティス
     マリリン・モンロー
     ジョージ・ラフト
     ジョージ・E・ブラウン
     パット・オブライエン

 【あらすじ】禁酒法時代のシカゴで、聖バレンタインデーの虐殺を目撃したサックス奏者のジョーと、ベース奏者のジェリーはギャングに追われることとなる。それで何とかシカゴから逃げ出そうと、フロリダへ行く楽団の団員募集に応募し、晴れて楽団に入ることに成功した。ところが、この楽団は女性ばかりの楽団であった。そこでジョーとジェリーは女装して、ジョセフィンとダフネと名乗ることとなった。こうして巧く潜り込みフロリダへ出発する。でも楽団には色気ムンムンのウクレレ奏者でシンガーのシュガーがいた。当然のようにジョーはシュガーに恋してしまう。それでどうにかフロリダへ楽団は到着したが、そこにはギャングの一行も現れた・・・・・・・。

 この映画を私が観たのは小学校に入った頃である。母と姉に映画館へ連れて行かれ観ていたが、私にはあまり面白味が判らなかった。ただ覚えているのはコケティッシュな女の人が出ていて、面白い歩き方をしているなあと思ったぐらいで、その人がマリリン・モンローだと知ったのは、それから4、5年経ってからのことである。

 私が小学校高学年になってから、テレビで『お熱いのがお好き』を放映していた。その時はストーリーも含め、この映画の持つエッセンスやユーモアが十分楽しめて、これはかなり傑作のコメディ映画であると感じたものである。でもよく考えてみると、トニー・カーティスはともかく、ジャック・レモンの女装は誰がどのように見ても女とは思わないだろうし、現実では考えられないような無理な設定である。でもそんな虚構性に目を瞑って、馬鹿げてるとは思いながら最後まで大笑いしながら観てしまう。とにかくビリー・ワイルダーの見事な演出もあって、マリリン・モンロー、トニー・カーティス、ジャック・レモン等の持ち味が生きていて、ウィットにとんだ洒落たコメディである。

 でも聞くところによると、この当時、マリリン・モンローは精神状態が安定しておらず、撮影に遅刻してきたり、とにかく奇行が目立ったという。それで、、映画をモノクロで撮るということに対して不平を言ったり「ワイルダーは独裁者」発言したりしたため、ビリー・ワイルダーは随分とモンローに手を焼いていたようだ。またトニー・カーティスは、モンローとのラブシーンを「ヒトラーとキスするようなものだ」と発言。まさに映画の出来とは正反対で、撮影時の雰囲気は最悪だったらしい。

 映画の撮影は最悪・・・でも、やはりそこはプロフェッショナルである。私生活と切り離して演技に没頭できる役者達を含めた脚本家、監督、映画関係者らは、そのような裏話、スキャンダラスな一面を彼らは微塵も感じさせないでいる。その結果、ハリウッド映画史上に残る傑作映画が生まれたとしたら、結果オーライというべきか。つまり仲良し同士の集まりよりも、互いに反目しあっていて凌ぎを削り、火が出るような一触即発のような中で撮影される方がいい作品が出来るのではないだろうか。結局、この頃のマリリン・モンローの私生活は行き詰っていて、この3年後には謎を残して死んでいく。自殺なのか他殺なのか・・・事故死なのか・・・・何かとお騒がせなマリリン・モンローではあったが・・。

 映画の挿入曲"I Wanna Be Loved By You"を唄うマリリン・モンロー

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