2009.08.19 (Wed)
竹入水羊羹

先日の盆休み中に姉の娘が突然のように我が家を訪れた。高校生の頃までは頻繁に来ていたのに、この数年は正月ぐらいしか来なくなった。どういう風の吹き回しかしらないけども、いきなりやって来たので驚いた。黒縁の眼鏡に穴の空いたヨレヨレの洗いざらしたGパンという装いで最初は誰か判らなかった。でもよく見ると姪であった。相変わらず大柄でズタズタと大股で歩くところは変わってない。それで何しに来たのかと訪ねたら、暑いだろうから御機嫌伺いに来たという。それも実家からではなく、今は1人暮らしをしているので、姉には報告せずに独断で来たという。まあ親が無くとも子は育つというが、ちょっと育ちすぎだというほど大きい。でも、それも僅かの間、家に上がっていたかと思うと、さっさと用事があるといって去っていってしまった。何と落ち着きが無い子であろうか、手土産だけ残して帰っていったが、手土産は竹入水羊羹であった。
甘春堂の竹入水羊羹である。京都洛西は乙訓の青竹に入った小豆の水羊羹である。最近は抹茶の水羊羹の方が売れているというが、この伝統的なあまり甘くない小豆の水羊羹の方が懐古的で、如何にも夏特有の和菓子といった趣がある。それで三十三間堂の近くの本店で買ったのかと訪ねたら、JR京都駅の伊勢丹で買ったという。まあ、今は何処の百貨店でも買えるからいいけど、青竹に入っているのは傷みが早いから、なるだけ早く食べたほうがいい。それで早速、頂いた。竹の底に押し針で穴を空けて口で吹くとツルッと出てくる。久しぶりに食べたが、最近は似たような水羊羹が出回っていて、甘春堂の水羊羹が格別の物というのでもなく、小豆の水羊羹はどれもこれも味付けが似てきている。でもここの甘春堂は創業が慶応元年というから余所の水羊羹とはちょっと違う。つまり伝統の味といえばいいのか、余所の菓子屋が見本にした水羊羹なのである。
ところが現在のように、食べるのが余りあるほど出回っている時代にあっては、ここの水羊羹なんていっても有り難く思わない。お菓子といっても洋菓子が氾濫しているし、和菓子でも新作が次から次へと出てくる時代である。いわば現在の日本は飽食の時代であり、味覚の肥えた人ばかりで溢れている。だから美味しいという感想を持つ人は少ないだろう。だが、これぞ水羊羹という味付けと食感がなされていて、ここに伝統的なものを感じ取れるのだ。ただ、ここの水羊羹ではなく、私が贔屓にしていて大好きな水羊羹を売っている和菓子屋が京都にある。それは何処だろうか・・・・・といいたいが・・・・・・・・・いや、教えるのはやめた。
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