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2009.11.18 (Wed)

古い映画『キング・コング』を観る

『キングコング』1933年製作、アメリカ映画

 監督 メリアン・C・クーパー
     アーネスト・B・シュードサック

 出演 フェイ・レイ
     ロバート・アームストロング
     ブルース・キャボット
     フランク・ライチャー
     サム・ハーディ
     ノーブル・ジョンソン

 【あらすじ】世界大恐慌直後のアメリカ。不況下にありながらも野心家の映画監督は、未知なる島の伝説を聞いてから、南海の秘境のその島で映画を撮ることにした。そこで主演女優、脚本家等を連れて髑髏島に到着する。だが、その島には原住民が神と崇める巨大動物キング・コングがいた。キング・コングは主演女優をさらってジャングルの奥深く逃げていってしまった。やがてキング・コングを捕らえた人間達は見世物にすべきと、ニューヨークにつれて帰るが・・・・・・・。

 今さら説明の必要もない元祖怪獣映画である。それで製作されたのが1933年というから驚嘆する。まだ無声映画からトーキーになって3年ほどのことである。あたかも世界大恐慌から立ち直れていないアメリカで、このような映画が作られたということに意味合いがありそうだが、映画『キング・コング』は大ヒットした。所謂、ゲテモノ映画なのであるが、この映画のヒットにより製作したRKOは一気に経営が安定したというから判らないものである。しかし、この映画は後の映画人に多大な影響を与えレイ・ハリーハウゼンや日本の円谷英二が特撮に目覚めたという。

 この映画は40㎝ほどの人形のキング・コングを1コマずつ撮影するという面倒くささで、日本のゴジラが人間が中に入って撮影したというのとは違っている。そのせいか動きはどこかギクシャクしているが、当時の人にとっては本物のように見えたという。この映画が封切りされ映画館で観た人の何人かは本当にキング・コングがいるのだと思って、制作会社のRKOに確認の電話をかけたという。

 キング・コングはニューヨークに連れてこられ、やがて完成して間もないエンパイア・ステート・ビルに上る。この文明社会の象徴のビルと未開の怪物とのアンバランスが面白く、飛行機(複葉機というの興味深い)によって落下するが、当時の世情不安と相成ってどこか虚しい結末であった。でも、この映画を製作総指揮したデビッド・O・セルズニックは『キング・コング』がこれほどヒットすると思っていたのだろうか。作品に口出しすることで有名なセルズニックだが、彼がプロデュースする作品はヒットすることが多かった。そんな敏腕プロデューサーの最初のヒット作が、この『キング・コング』なのである。これで大儲けしたセルズニックはRKOから独立し、セルズニック・インターナショナル・ピクチャーズを設立し、その後、彼がプロデュースした作品から『風と共に去りぬ』『レベッカ』『白昼の決闘』『第三の男』『終着駅』等が生れることになる。

 何れにせよこの『キング・コング』がその後、2度に亘ってリメイク版が製作されたということは、この作品が映画史上に残る名作だという言っているようなものだろう。また日本の東宝が1962年に『キング・コング対ゴジラ』を製作したのも、元祖怪獣に敬意を表したものなのかもしれない。もっとも『キング・コング対ゴジラ』を当時、映画館で観た小学生の小生は、キング・コングがアメリカ生まれの怪獣だなんて、その時は微塵も思わなかったが・・・・・・・。

 映画『キング・コング』トレイラー

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