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2008.05.06 (Tue)

ウェス・モンゴメリーを聴く

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 ウェス・モンゴメリーのギター演奏を聴くと心地よい。彼の特徴であるオクターブ奏法が妙に耳障りが良いのである。音色は太くて柔らかい。エレクトリック・ギター独自のギンギンした音ではなく、親指一本でピッキングしているためか包み込むような音色が心にまで響いてくる。

 ジャズ・ギターというと今ではウェス・モンゴメリーが第一人者であるが、彼はすでに1968年に亡くなっている。でもその後、ジャズ・ギターというジャンルで、彼以上の名声を得た人はいない。もっとも彼の死後は、ジャズ・ギターというよりもフュージョンという枠組みで扱われることが多くなったからかもしれないが、その過渡期に彼は存在した。だからウェス・モンゴメリーのイージー・リスニング風のジャズがポピュラー・ファンにも受け入れられ、その後、音楽のクロスオーバー、各種の融合があってフュージョンへと受け継がれていくのである。だからウェス・モンゴメリーをジャズ・ミュージシャンであると思ってない人もいて、昔からあるようなビッグバンド・ジャズとは一線を画している。それはジャズ・ギターというものがあまりジャズの世界において花形の楽器ではなかったからであろう。戦前のジャズというのは管楽器が中心で、その後、ビッグバンドからコンボへと移り変わっていくにしたがって、色々な楽器が用いられるようになるが、ジャズ・ギターというものは、トランペットやテナー・サックス、ピアノほどメジャーな楽器ではなかった。そんな中でジャズ・ギターというものの創造性を大いに引き出した人がチャーリー・クリスチャンなのである。そのチャーリー・クリスチャンが影響を与え、多くのジャズ・キダリストが現れるが、50年代末期になってようやく現れたオクターブ奏法のウェス・モンゴメリーこそが、ジャズ・ギタリストの最後の天才と言えるかもしれない。

 ウェス・モンゴメリーは1923年に生まれているが、彼が有名になるのは1950年代末期のことである。独学でギターをマスターし、30代半ばまで出身地のインディアナポリスで活動する。だが50年代末期にウェスト・コーストへ進出し、サックス奏者のキャノンボール・アダレイに見出されレコーディングし、傑作『インクレディブルー・ジャズ・ギター』を発表。ジャズ・ギター奏者として一躍、有名になり1968年に亡くなるまで活躍の期間は短かったが、その後のジャズ・ギター及びフュージョンの奏者に与えた影響は大きい。

 またウェス・モンゴメリーはジャズ・ギタリストであるが、ポップス曲の録音が非常に多い。彼はジャズという音楽に拘っていたかどうか知らないが、ポップスとジャズの間で行ったり来たりしていて、大勢のポップス・ファンの心をも掴んだ。私が知っているだけでもフォーク・ソングの曲『花はどこへ行った』だとか『スカボロー・フェア』をイージー・リスニング風に演奏している。そして、彼の得意曲の一つにビートルズの『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』がある。これらの曲を軽いタッチで弾きこなしていて、時々、これがジャズなのかなあという錯覚に囚われるが、彼自身は「私がやっていることのコンセプトは、常にジャズなのだ」と語ったという。なるほど、彼が言うからジャズなのだろう。でも20世紀の商業音楽というのは、絶えず変化してきたのだから、ロック、フォーク、ジャズ、フュージョン、ボサノヴァ・・・・あまりジャンルごとに枠の中に閉じ込めて、理屈を捏ねるのはよそう。どんな音楽でもいいものはいいのだから・・・・。


 『ラウンド・ミッドナイト』を弾くウェス・モンゴメリー 
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