2008.01.03 (Thu)
ショートケーキを食べる

正月の3日ともなるとお節料理も飽きてきて、そろそろ普段の食事に戻したいところであるが、何故か、今日は食べなれないショートケーキを食べた。甘党というのでもないが、食べない訳でもない。
お菓子はどちらかというと和菓子の方が好きなのであるが、今日は姉が子供二人を連れて、我が家にやって来た。その時、ついでにケーキを持ってきたから、食べたまでである。
姉の子供と言っても二人とも成人してしまった。上の子は社会人一年生で、下の子が大学生である。それで、その一人が誕生日だというので、ケーキを買って来たのであろう。何と自分用の誕生日ケーキを買って来るという奇妙な話。流石に今の子はちゃっかりしてる・・・。でも姉の子と言っても、昔はよく我が家に来たものであるが、最近はとんとご無沙汰で、見る度に大人になっていく。もう、昔の子供らしさはすっかり消えているのだが、相変わらず食い意地だけは張っているから面白い。それで、下の女の子に何処で買ったのか聞いてみた。すると伊勢丹のJR京都店だという。
「いや、買った店を聞いてるのと違うで・・・どこのケーキか聞いてるのや・・・」というと、アンリ・シャルパンティエだという。
まあ無難なところかもしれないが、アンリ・シャルパンティエなんて、昔は良かったが、最近は全国展開しているから、特別美味しいとも思わないと言うと・・・「芦屋の駅前が本店?・・・」と姪が聞く。
「そうや、かなり昔からある」「東京の銀座に本店がある」と返すので、「あれは東京の拠点として、2003年に東京本店となっただけで、もともとは芦屋の洋菓子屋で、登記上の本社は今も芦屋」と言った。
「神戸方面は洋菓子屋とパン屋が多いね。シーキューブとかは・・・何処?」
「シーキューブはアンリ・シャルパンティエと同じ会社や」
「そうなの・・・・梅田の大丸にあるラジィも?」
「あそこも同じところの経営かな・・・それでも、まだ東京に店出してないから、今が食べ時かもしれんで・・・全国的に店出し始めると味も落ちるしなあ」
「モロゾフとかユーハイムも神戸の店?」
「そういうこと。それからケーニヒスクローネ、ゴンチャロフ、レーブドゥシェフもパン屋のドンクも神戸が発祥の地」
「どうりで・・・この前、東京の友達のところへ行った時、銀座で食べたケーキがメッチャ美味しかったんで、帰ってから調べたら神戸が本店だったんでがっかりしたけど・・・・ところで、叔父さん、堂島ロールて知ってる?」
「ああ、食べたことあるで」
「ええーー! 食べたいーー。店は大阪にしかないらしいけど」
「一昨年の秋、神奈川の川崎にも支店が出来たらしいで・・・大阪の堂島本店と同じ品質かどうか判りかねるけど。それから堀江にも店が出来たらしい」
「それで、どんな味・・・」
「中のクリームに特徴があって、甘すぎず「の」の字に巻いてなくて、クリームがたっぷり入ってるケーキかな。一人でも食べ切れるような軽さがあるけど、食べて見ないと判りにくいケーキではあるなあ・・・・・」
「この前、大阪の堂島に用事で行った時、サントリーの本社前の堂島本店覗いてみたら長い行列だったので、諦めたよ」
「そら、しょうがないなあ・・・諦めなはれ・・・・そやけど、大阪で食うのに行列するって珍しいなあ」
「大阪の人も行列してる店あるよ。阪神のイカ焼きとか、りくろーおじさんのチーズケーキとか、道頓堀の大たことか、道頓堀の神座とか」
「それは、観光客も入ってるやろ・・・道頓堀の大たこなんか一つも美味しいことないよ。あの程度のたこ焼きなんか大阪に山ほどあるやろ。それに、神座も不味くなったて評判やで。先入観で並んだらあかん」
「それもそうね。でも、堂島ロールは食べてみたい!」
「一生懸命並んで、食べたらいいのと違う」
「口惜しい・・・食べたい」「今から、このショートケーキ食べたらいい」
「もちろん食べるよ・・・・・」
甘い物を食べるとなると、若い女の子は眼が輝くので呆れ返ってしまう。しかし、聞く所によると堂島ロールは本当に、なかなかありつけないらしい・・・・知らなかった。でも堂島ロールが全国的に話題になると、堕落への道が始まるかも・・・・それで美味しくなくなるかもしれないから要注意。しかし、次に話題になるのは小山ロールかもしれないなあ・・・・・・・。この店こそは、支店など出さないで欲しいと思うが・・・・・。東京なんかに店を出せば、瞬く間に拡がってしまい注文が追いつかなくなる。そんな調子で、良いケーキなど作れるでしょうか・・・・・?
2008.01.03 (Thu)
古い映画を観る・・・・・『第三の男』
『第三の男』1949年製作 イギリス映画
監督 キャロル・リード
出演 ジョセフ・コットン
オーソン・ウェルズ
アリダ・ヴァリ
トレヴァー・ハワード
【あらすじ】第二次世界大戦直後の荒廃したウィーン。親友ハリー・ライムの招待でウィーンに訪れた作家のマーティンスであるが、到着するや否やハリーが亡くなったことを知らされる。ハリーの死には3人の男が立ち会っていたという。それで2人の男は判ったが、3人目の男だけが判らなかった。その間、マーティンスは何者かに脅かされ始める。そして、ここから話は思いがけない展開へと進んでいくのである。
グレアム・グリーンの原作による著名なサスペンス映画であるが、映画のために書いた原作があって、同時にシナリオも書いていたという。このような一流作家によるストーリーもさることながら、何処にこの映画の素晴らしさがあるかというと、モノクロのスクリーンに映されたウィーンの街角である。第二次世界大戦後の物々しいウィーンの光と影。巧みなカメラワークにより見事に陰影で表現し、まさにキャロル・リードの演出が冴えわたっている。また、天才オーソン・ウェルズ演じるハりー・ライムが闇の取引人として姿を現す時。ウィーンの地下水道に消えたハリー・ライムを追うマーティンスとの緊迫した映像。映画の手本ともいえるべきショットが各所に見られ、全体としては優れた映画である。ただ、アリダ・ヴァリ演じるアンナと、ハリー・ライムとの関係や、ジョセフ・コットン演じるマーティンスがアンナに密かに恋心を抱くまでの過程の描きが希薄ではないかと思える。
考えて見れは僅か1時間半ほどの中で、全てを描ききるのは難しいかもしれない。おそらく、今の時代にリメイクするならば、2時間以上の映画になってしまうだろう。つまり『第三の男』は1949年の映画であることを我々は忘れてしまっている。今の映画人は、これらの見本的な映画があってこそ、よりよい作品を生み出しているのであって、現代の視点から映画の批評をしたところで、あまり意味がないだろう。
それでなくても、この映画は、ウィーンのプラター公園の観覧車も物語に組み込まれ、随所にウィーンらしき光景が現れてくるし、ところどころに見られる時代というものを十分に感じさせてくれるのだ。そして、あまりにも有名なラストシーンに到るまで、穴がほとんどない。我々が映画を文化として捉えるならば、この『第三の男』などは、歴代に残る映画として殿堂入りは確実である。それ故に覚えておかなくてはならない作品なのである。
アントン・カラス奏でるツィターの音色で、あまりにも有名な『第三の男』のタイトル曲
マーティンスはプラター公園でハリーと落ち合う。そして、観覧車に乗り・・・・・
ハりーの葬式の後、マーティンスはハリーの恋人であったアンナ(アリダ・ヴァリ)を道路の脇で待つ。しかし、アンナは知らぬ顔をして通り過ぎる・・・・これもまた、映画史上に残る有名なラストシーンである
監督 キャロル・リード
出演 ジョセフ・コットン
オーソン・ウェルズ
アリダ・ヴァリ
トレヴァー・ハワード
【あらすじ】第二次世界大戦直後の荒廃したウィーン。親友ハリー・ライムの招待でウィーンに訪れた作家のマーティンスであるが、到着するや否やハリーが亡くなったことを知らされる。ハリーの死には3人の男が立ち会っていたという。それで2人の男は判ったが、3人目の男だけが判らなかった。その間、マーティンスは何者かに脅かされ始める。そして、ここから話は思いがけない展開へと進んでいくのである。
グレアム・グリーンの原作による著名なサスペンス映画であるが、映画のために書いた原作があって、同時にシナリオも書いていたという。このような一流作家によるストーリーもさることながら、何処にこの映画の素晴らしさがあるかというと、モノクロのスクリーンに映されたウィーンの街角である。第二次世界大戦後の物々しいウィーンの光と影。巧みなカメラワークにより見事に陰影で表現し、まさにキャロル・リードの演出が冴えわたっている。また、天才オーソン・ウェルズ演じるハりー・ライムが闇の取引人として姿を現す時。ウィーンの地下水道に消えたハリー・ライムを追うマーティンスとの緊迫した映像。映画の手本ともいえるべきショットが各所に見られ、全体としては優れた映画である。ただ、アリダ・ヴァリ演じるアンナと、ハリー・ライムとの関係や、ジョセフ・コットン演じるマーティンスがアンナに密かに恋心を抱くまでの過程の描きが希薄ではないかと思える。
考えて見れは僅か1時間半ほどの中で、全てを描ききるのは難しいかもしれない。おそらく、今の時代にリメイクするならば、2時間以上の映画になってしまうだろう。つまり『第三の男』は1949年の映画であることを我々は忘れてしまっている。今の映画人は、これらの見本的な映画があってこそ、よりよい作品を生み出しているのであって、現代の視点から映画の批評をしたところで、あまり意味がないだろう。
それでなくても、この映画は、ウィーンのプラター公園の観覧車も物語に組み込まれ、随所にウィーンらしき光景が現れてくるし、ところどころに見られる時代というものを十分に感じさせてくれるのだ。そして、あまりにも有名なラストシーンに到るまで、穴がほとんどない。我々が映画を文化として捉えるならば、この『第三の男』などは、歴代に残る映画として殿堂入りは確実である。それ故に覚えておかなくてはならない作品なのである。
アントン・カラス奏でるツィターの音色で、あまりにも有名な『第三の男』のタイトル曲
マーティンスはプラター公園でハリーと落ち合う。そして、観覧車に乗り・・・・・
ハりーの葬式の後、マーティンスはハリーの恋人であったアンナ(アリダ・ヴァリ)を道路の脇で待つ。しかし、アンナは知らぬ顔をして通り過ぎる・・・・これもまた、映画史上に残る有名なラストシーンである
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