2ntブログ
2008年01月 / 12月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫02月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
EDIT  |  --:--  |  スポンサー広告  |  Top↑

2008.01.10 (Thu)

松下の名が消える

 えべっさんで沸く大阪で、今日、驚くようなニュースが飛び込んだ。それは・・・・松下電器産業株式会社が、社名をパナソニック株式会社に変更すると発表されたことだ。

 なんだ、それが驚くことかといえばそれまでであるが、私の世代にとってみると、松下電器は松下幸之助あっての松下であり、世界的家電メーカーの松下というのは、何処まで行っても松下であって、それがブランド名のパナソニックに変わってしまっては違和感があるというものなのだ。

 私が子供の頃にサクセスストーリーとして、よく聞かされた話の中に松下幸之助の出世物語というものがあった。それは、1894年に和歌山で生まれた松下幸之助が、1917年に大阪の鶴橋でソケットを製造販売したことから全てが始まるという。幸之助と妻と妻の弟である井植歳男(三洋電機創業者)の3人で始め、やがて二股ソケットが好評で売れたという。そして、1918年、大阪の大開(現・福島区大開)で松下電気器具製作所を創立し、本格的に松下電器がスタートしたのである。

 1933年には事業を拡大するために大阪府北河内郡門真町(現・大阪府門真市)に移転し、松下電器産業として成長していくのである。そして、今や売上高9兆1082億円、世界全体で650社のグループを抱え、従業員32万8000人という日本を代表する巨大企業へと成長してしまったのである。

 ただ、その松下電器の今日があるというのは、偏に創業者・松下幸之助の力があったからに他ならないのであって、松下幸之助なくしては、ここまで会社が大きくならなかったであろうと思えるのである。

 現代でも松下幸之助は、経営の神様として語り継がれる人物であり、伝記物語としてもよく名を挙げられる代表的な人物である。その松下幸之助が亡くなったのは、1989年だから、既に19年経過しているのだが、松下の名が今まで継続されていたのは、余りにも創業者の名前が大きかったということである。それが今、とうとう松下の名前が社名から消えてしまうということになった。うーん、確かにこれは驚きである。

 昔、私が子供の頃の話であるが、テレビのコマーシャルで・・・明るいナショナル・・・・なんて歌があったが、松下の社名と共にブランド名はナショナルであった。その後、テクニクスなんてブランド名も併用していた時がある。そんな松下が何時の間にか、パナソニックなんてブランドまで使い出していた。

 PAN=あまねく、SONIC=音・・・この2つの単語を組み合わせて「松下の音を世界に」といった意味を込めて、パナソニックというブランド名をスタートさせたのである。それ以降、松下は創業間もない頃から使っていたナショナルブランドは白物に限ることとなった。でも私の世代にとっては、松下はナショナルというブランド名が一番馴染みがある。

 さて、とうとう松下の名が消えることになった訳であるが、これはどういうことなのか・・・・。つまり最近の松下は5代連続で創業者以外の人が社長に就任していることから、創業者の支配力が小さくなったためと考えられる。現在の松下で創業家出身者といえば、松下幸之助の娘婿・松下正治取締役相談役名誉会長と、その正治の長男・松下正幸代表取締役副会長の2人がいる。ところが実質的に、第一線を退いており現会長の中村邦夫、現社長の大坪文雄と実務派が経営の最高幹部にいる。したがって社の創業から90年続いた「松下」の名前を社から消滅させるには、松下家の理解が必要とされたのであるが、それが解決したものと思われる。

 さらには創業家と経営とは分離が進んでいるとも言われ、海外ブランド力強化のためには、松下という名よりも海外で知名度が高いパナソニックの名を社名にする方が、営業的に見ると、海外での売り上げが伸びるという結論に至ったのであろう。要するにトヨタやソニーといった社名とブランド名が一緒の企業に比べると、ブランド力が弱いということで、海外での営業強化には是非とも必要な戦略であったともいえるであろう。

 時代の流れだから、仕方が無いとは言え、とうとう松下幸之助の手綱から解き放たれ、創業家との関係が切れ掛かろうとしている。そして、何10年もすると、松下の名前が人々の間から忘れ去られパナソニックという会社名が当たり前になる頃、松下幸之助の存在も徐々に消えていくのかもしれない。でも私の世代にとっては、松下の名前が消えていくのに、一抹の寂しさはある。かつて子供の頃、テレビのヒーロー物でナショナル・キッドというものがあった・・・。

 雲か 嵐か 稲妻か・・・こういった歌で始まるナショナル・キッドであったが、スポンサーが松下電器であった。だからナショナル・キッドなのであるが、これもやがて時代の渦の中に巻き込まれ、やがて忘却の彼方へ消えていくだろう・・・・。50年すれば、おそらく松下=パナソニックと連想する人は誰もいなくなるかもしれない。名前が変わり企業の性質も変わる。そして、グローバル企業として、何れは海外の企業を併合するかもしれない・・・・そして松下電器の名は完全に埋没してしまうのだろう。うーん、これが世の中の潮流なのだろうか・・・。
                                
EDIT  |  21:13  |  時事  |  TB(0)  |  CM(2)  |  Top↑
 | BLOGTOP |