2008.02.20 (Wed)
レイモンド・チャンドラー・・・・・『長いお別れ』を読む
私はあまりハードボイルドという類の小説を読んだことがない。でも、ハードボイルド小説が大好きで、その手の小説しか読まないという人を私は知っている。彼が言うにはとにかくお洒落で恰好がいいという。それにちまちましてなくて、行動的でバイタリティがあり、それでいて知的な探偵が登場するからいいのだそうな・・・・・。そういえば若い頃、ハンフリー・ボガートの映画を良く観たものだ。彼なんかはハード・ボイルドそのものであったなあと感じる。
ハードボイルドとは・・・・堅いゆで卵といった意味である。でも人間に例えるなら感傷や恐怖に左右されなくて、冷酷でいて強靭な肉体と妥協しないタフな精神を持ち合わせた者を言うのだそうだ。そんな人間離れした彼等は、決まってハードボイルド小説の中において、よく探偵として登場する。一般的に探偵小説とも推理小説ともミステリー小説とも言われる種類の小説があるが、その中で、シャーロック・ホームズに代表されるような考察力、分析力を駆使した思考的な推理小説もあれば、躍動的で快活で明朗な探偵小説もある。だから一言で推理小説、探偵小説と言っても色々とあるが、ハードボイルドは当然、後者の部類に属するものであろう。それで、そんなハードボイルド小説を代表するのがレイモンド・チャンドラーである。
レイモンド・チャンドラーは1888年にシカゴで生まれたというから、意外と昔の人であることに驚く。私なんか20世紀に生まれた人だとばかり思っていたが、随分と昔からハードボイルド小説というのは存在していたことになるのだろうか。レイモンド・チャンドラーは7歳の時に、両親が離婚をした関係で母親についてイギリスに渡っている。ダリッジ・カレッジに入ったが中退してミュンヘンで学んだ後、イギリスへ戻り海軍省に入るが長続きせず1912年に再びアメリカの土地を踏むこととなった。間もなく起こった第一次世界大戦では、カナダ軍、イギリス軍に従軍、除隊後アメリカに戻ることとなる。その後、石油会社の役員も務めるが、1932年に解雇される。それでレイモンド・チャンドラーは、ここでようやく小説を書く決意を持つのである。
それでは、ここでレイモンド・チャンドラーの人気小説『長いお別れ』のあらすじを簡単に辿ってみるとしよう。・・・・・私立探偵フィリップ・マーロウは偶然知り合ったテリー・レノックスに何処か惹かれるものを感じ取り、酒場で杯を傾けるようになった。やがてテリーは「僕のためにコーヒーを一杯ついで、バーボンを入れて、、タバコに火をつけてくれたら僕を忘れてくれ」と言い残し、妻を殺したと告白して死んだテリーからの手紙には、そのように書かれていた。以前から、レノックスは資産家の娘である妻殺しの容疑をかけられていて、マーロウに助けられ逃れたメキシコの街で自殺を遂げてしまう。やがて心残りのマーロウは、別の事件でレノックスの隣人達と係わるようになったが、事件の意外な真相に辿り着くことが出来るのかどうか・・・・・・・・・・・・。
この『長いお別れ』はレイモンド・チャンドラーが1953年に書いた作品である。億万長者の娘で夜も昼も男漁りに明け暮れる女を妻にしたアルコール中毒のテリー・レノックスと、腐敗と頽廃、暴力と欲望に満ち溢れた都会の空間に棲息する孤高の男フィリップ・マーロウとの出会いから、この物語は始まるが、私がよく読んでいる本格的な推理小説とは何もかも違っている。知能的な探偵ではなく酒に強く、タフであり、饒舌ではないが言葉に味がある。時々、口から発する科白が粋に感じられるのだ。つまりハードボイルドとはこのようなものなのだろう。「ギムレットには早すぎる」・・・・・とにかく気障な科白がよく似合う。そんな探偵が出てくるのがハードボイルド小説なのである。中でも『長いお別れ』は、ハードボイルド小説において出色の出来栄えにあることは歴然たる事実であるのだから、一度、ご賞味くださいとだけ申し上げておく。とりあえず「男はタフでなくては生きていけないのだ・・・・・」
ハードボイルドとは・・・・堅いゆで卵といった意味である。でも人間に例えるなら感傷や恐怖に左右されなくて、冷酷でいて強靭な肉体と妥協しないタフな精神を持ち合わせた者を言うのだそうだ。そんな人間離れした彼等は、決まってハードボイルド小説の中において、よく探偵として登場する。一般的に探偵小説とも推理小説ともミステリー小説とも言われる種類の小説があるが、その中で、シャーロック・ホームズに代表されるような考察力、分析力を駆使した思考的な推理小説もあれば、躍動的で快活で明朗な探偵小説もある。だから一言で推理小説、探偵小説と言っても色々とあるが、ハードボイルドは当然、後者の部類に属するものであろう。それで、そんなハードボイルド小説を代表するのがレイモンド・チャンドラーである。
レイモンド・チャンドラーは1888年にシカゴで生まれたというから、意外と昔の人であることに驚く。私なんか20世紀に生まれた人だとばかり思っていたが、随分と昔からハードボイルド小説というのは存在していたことになるのだろうか。レイモンド・チャンドラーは7歳の時に、両親が離婚をした関係で母親についてイギリスに渡っている。ダリッジ・カレッジに入ったが中退してミュンヘンで学んだ後、イギリスへ戻り海軍省に入るが長続きせず1912年に再びアメリカの土地を踏むこととなった。間もなく起こった第一次世界大戦では、カナダ軍、イギリス軍に従軍、除隊後アメリカに戻ることとなる。その後、石油会社の役員も務めるが、1932年に解雇される。それでレイモンド・チャンドラーは、ここでようやく小説を書く決意を持つのである。
それでは、ここでレイモンド・チャンドラーの人気小説『長いお別れ』のあらすじを簡単に辿ってみるとしよう。・・・・・私立探偵フィリップ・マーロウは偶然知り合ったテリー・レノックスに何処か惹かれるものを感じ取り、酒場で杯を傾けるようになった。やがてテリーは「僕のためにコーヒーを一杯ついで、バーボンを入れて、、タバコに火をつけてくれたら僕を忘れてくれ」と言い残し、妻を殺したと告白して死んだテリーからの手紙には、そのように書かれていた。以前から、レノックスは資産家の娘である妻殺しの容疑をかけられていて、マーロウに助けられ逃れたメキシコの街で自殺を遂げてしまう。やがて心残りのマーロウは、別の事件でレノックスの隣人達と係わるようになったが、事件の意外な真相に辿り着くことが出来るのかどうか・・・・・・・・・・・・。
この『長いお別れ』はレイモンド・チャンドラーが1953年に書いた作品である。億万長者の娘で夜も昼も男漁りに明け暮れる女を妻にしたアルコール中毒のテリー・レノックスと、腐敗と頽廃、暴力と欲望に満ち溢れた都会の空間に棲息する孤高の男フィリップ・マーロウとの出会いから、この物語は始まるが、私がよく読んでいる本格的な推理小説とは何もかも違っている。知能的な探偵ではなく酒に強く、タフであり、饒舌ではないが言葉に味がある。時々、口から発する科白が粋に感じられるのだ。つまりハードボイルドとはこのようなものなのだろう。「ギムレットには早すぎる」・・・・・とにかく気障な科白がよく似合う。そんな探偵が出てくるのがハードボイルド小説なのである。中でも『長いお別れ』は、ハードボイルド小説において出色の出来栄えにあることは歴然たる事実であるのだから、一度、ご賞味くださいとだけ申し上げておく。とりあえず「男はタフでなくては生きていけないのだ・・・・・」
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